山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

いのちの森の台所

2013-06-17 00:41:30 | 山歩き.散歩
梅雨時の台風とあって天候不順は仕方のないこと
それでもヘロヘロの体を何とかしなければと森のホスピタルへとやってきた。

明け方までの雨に濡れて森はしっとりと落ち着いた雰囲気を醸している。
まだ森に馴染んでいない気だるい体を引きずりながら小さな沢をゆっくりと釣り上がる。







小さな岩魚がポイントごとにフライを咥えて、一瞬ごとの緊張に少しずつ精気が蘇る。







荒々しい源流もいいけれど、優しい森を縫う小さな沢もまたいいものですね。







この小さなポイントで今日一番の岩魚が顔を見せてくれた。
2~3尾キ-プして夜の酒肴にしようと思っていたのだけれど
喰われるのはイヤだと彼が目で真剣に訴えかけてくるのでやめることにした。







2時間ほど釣り上がって、今日のテン場をここに決める。







午前10時、遅めの朝食とする。
冷たい水で〆たひやむぎが旨い。

              
 




銀マットに横になって本を読む。
木漏れ日の森を抜ける風が清々しくて心地よい。







『いのちの森の台所(佐藤初女著)』
いのち、森、台所、この三つのキ-ワ-ドを見て思わず手に取ってしまった一冊。
岩木山麓の森の中、この施設を訪れる人たちを、心を込めた料理で迎え
道に迷った人、心を病んだ人、苦しみや悲しみを抱える人たちの心を癒しています。





食はいのち、食材もまたいのち
土から生まれた食材を慈しみながら心を込めて美味しい食事を作る
食べ物を大切にする人は、人をも大切にする。

お母さんの包容力と優しさは、ほかの誰もかないません
家族には美味しいご飯を食べさせてあげて下さい。
家族が同じものを分かち合って一緒に食べることで心もひとつになり和にもなる。

僕も、そしてあなたも、健康で健全な心を持って成長し今まで生きてこられたのは
母親の心のこもった食事を家族一緒に分かち合ってきたからこそかとつくづく思う次第です。

これからの子供たちとお母さんや家族の関係も是非そうあり続けて欲しいものだと心から願っています。  
うちの孫にも歯が生えて、ご飯を美味しそうにモリモリ食べて、ようやく歩けるようになりました。
この子たちがすくすくと成長できるのも両親の無償の愛と、心のこもった美味しいご飯のチカラなのかもしれませんね。

 



91歳になる初女(はつめ)さんは、老いること、死の準備など一切せずに今のこの一刻一刻を喜びとともに大切に生きている。
人の未来ほど不確かなものはないけれど、この一刻一刻が確実に死に近づいている、だから今この一刻一刻を大切に生きることが死への準備なのだと。

僕も、死に関する書は何冊も読んではいるのですが、なかなか求めている答えを見つけることができないでおりました。
いずれ将来、確実に訪れる自分の死を思っても現実感もなく、だから心の準備など尚更できるはずもなくいるのですが
『喜びとともに今を大切に生きる』、この一言ですっと腹に落ち今の自分の生き方で間違いないのだと確信した次第です。

しなやかな心と、一本芯の通った初女さんの生き方と強さに触れられた1冊となりました。


午後1時、そろそろテントを設営しようとする頃、ポツリと雨粒が落ちてきました。
そして1分もしないうちにどしゃ降りとなってたまらずに急いで山を下りました。
それから3時間あまり、前も見えないほどのどしゃ降りは断続的に続いて
森の中での天泊はやむなく断念せざるをえなくなったという次第です。


これからも、もっともっと、いのちの森の台所に癒されていきたいとおもっております!


コメント (26)
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こんな日もあるさ

2013-06-09 22:32:06 | フライフィッシング
登山道を歩き始めたのは早朝5時半。
空が泣き出しそうになってきたので1時間半歩いたところで渓に降りた。








ここは初めて入る甲州の源流







岩魚の気配ムンムン、と思っていたら雨が落ちてきた。







素晴らしくちっさい岩魚を釣り上げて一気にやる気が失せた。
どうも真夏にならないと釣欲も湧いてこないし遡行の集中力も長続きしなくなってきた。



             






こんな日もあるさと早々に釣りを切り上げて山を下りた。
車にはカヌ-も積み込んであることだしと千曲に向かう。

先ずは朝飯代わりに蕎麦でも食べようと富倉に向かう。
が、はしば食堂は本日休業だって、おばちゃんに何かあったんだろうか?


 




かじか亭は僕が一番乗りであった。







富倉蕎麦の特盛、のど越し滑らかな『はしば』のお蕎麦に比べると普通のお蕎麦に近いのだけれどこれはこれで美味しかった。







山菜の天ぷらでビ-ルをやる。
コシアブラとタラノメが2本、大葉と舞茸とシメジが一つづつでお腹がいっぱいになった。








千曲を下ろうと川原に行ったのだがカヌ-を組み立てるのが面倒になってやめることにした。
それなら釣りでもしようかと今年すでに尺上を何本も上げている飯山の寅さんに電話をしようと思ったのだけれど
ロッドを繋いでガイドにラインを通してフライを結ぶことさえ面倒に思えてきて釣りもやめることにした。

カヌ-を始めた27~8年前から立ち寄っている『もみじ荘』で温泉に浸かってお蕎麦を味わう。
ここは日帰り温泉の草分け的存在で、古くて湯船も小さいけれどなぜかとても落ち着くのです(露天風呂もあります)







大広間に横になって『半島を出でよ』を上下巻とも読んだ。
北朝鮮の武装コマンド9人に福岡の街が占拠され、やがて500人の特殊部隊が来襲して福岡の中心部が制圧される。
危機管理意識もなにもない日本政府も自衛隊も手も足も出せない。
平和ボケした今の日本を象徴するような物語に身震いする思いがした。

結局、北朝鮮部隊を殲滅したのは政府や自衛隊とは何の関係もない20人ほどの若者たちであった。
国の危機管理意識、差し迫るの日本経済、国民総背番号制のリスクなどなど、これから起こりうる近未来小説として考えさせられる。


             



なんともメリハリのない週末で面目なし。
そろそろ僕も復活しなければ、、、、、。
コメント (50)
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