我ら北丹沢の釣り師と、ひとつ山を隔てた西丹沢の釣り師たちとの交流が始まったのは5年も前のことであろうか?
生粋の釣り師から見れば我らの釣りの様式は亜流も亜流、まさに『渓飲渓食、時々釣り』の世界なのであって
釣りはそこそこに渓で車座になって昼間から酒を酌み交わして語り合う少しばかり毛色の違う釣り師の集団なのであった。
だからこそ我らは自虐的立場と開放的自由を自らの魂に刻み込むために川原乞食と名乗ってはばからないし
それは生き方そのものになりつつあると言っていい。その中心的存在が西丹沢の川原乞食ホリャさんその人なのである。
今回は、そのホリャさんと2年ぶりに山で酒を酌み交わそうと約束して丹沢の犬越路を目指した。
西丹沢からのル-トでにぎわう丹沢も神の川からの北丹沢ル-トはいつもながら静寂そのものである。
今回も下山してくる7人パ-ティ1組とすれ違っただけであった、ほとんど道なき道を下山してゆく。
ここがちょうど中間地点、1本とって沢の水で喉を潤す。
数年前の豪雨で登山道が崩壊し全く違う経路になっていて踏み跡程度の激しい登りが続く。
大量の水分を背負った老体にはちと厳しい道のりである。
急登を喘ぎ喘ぎ登ってようやく犬越路に辿り着いた。
犬越路は神の川、大室山、西丹沢、檜洞丸からの登山道の交差点になっているので絶えず登山者が行きかっている。
先ずは犬越路の避難小屋に向かう。
先に到着していた西丹沢の川原乞食ワカモトAさんが待っていてくれた。
あろうことか主役のホリャさんは激務の過労がたたって犬越路の急登を断念するとの事前の連絡が入っていた。
なんのことはない、ワカモトちゃんの話によれば夜ごと藤沢の街を飲み歩いて腑抜けになってしまったのだと、このバカヤロが!
風の強い外界と隔絶された小屋の中は陽だまりのように暖かくて山の中にいることを一瞬忘れてしまうほどである。
使い込んだ百均調達のフライパンでワカモっちゃんがさっそく何かを作り始めた。
実は釣り師仲間なのに彼とも一度も一緒に釣りをしたことがないのだ。
世附の川原で呑み、吉田類が推奨する一風変わった酒場でホリャさんを交えて呑み歩く仲である。
今回は貧粗を良しとするホリャさんにならって貧粗ではあるが酒のすすむ酒肴をこしらえた。
まろやかなカニタマは穏やかなワカモトちゃんの人格そのままの優しい味がした。
彼と初めて呑んだのは世附の川原、彼がふるまってくれたチ-ズフォンデュの味が忘れられない。
避難小屋の中はいつしか居酒屋特有の匂いで充満していた。
ビ-ルと缶チュ-ハイと彼が担ぎあげた越後の地酒に酔いしれながら
午後1時過ぎまで呑みながら語らった2時間半があっという間に過ぎて行った。
彼の醸し出す穏やかな空気とこの小屋の温もりがいっそう居心地のよい空間を作り出してくれたのかも知れない。
次回は是非この小屋に泊まって下山を心配することなく心ゆくまで呑もうと約束した。
綺麗に片付けた小屋の中ではあるけれど居酒屋に充満する煙は差し込む日差しに白く霞んでいる。
ワカモトちゃんが下山したあと、僕は2時半まで暖かい小屋の中で午睡を楽しんだ。
僕にとって山とはいったい何なのだろうか?
日常の仕事の中ですり減らした心と頭をひたすら休ませリフレッシュさせる空間、ただそれだけでの理由で山に来る。
ワカモトちゃん、久しぶりに会えてよかった。
来年はぜひ北丹沢と西丹沢の川原乞食集会を実現したいものですね。
生粋の釣り師から見れば我らの釣りの様式は亜流も亜流、まさに『渓飲渓食、時々釣り』の世界なのであって
釣りはそこそこに渓で車座になって昼間から酒を酌み交わして語り合う少しばかり毛色の違う釣り師の集団なのであった。
だからこそ我らは自虐的立場と開放的自由を自らの魂に刻み込むために川原乞食と名乗ってはばからないし
それは生き方そのものになりつつあると言っていい。その中心的存在が西丹沢の川原乞食ホリャさんその人なのである。
今回は、そのホリャさんと2年ぶりに山で酒を酌み交わそうと約束して丹沢の犬越路を目指した。
西丹沢からのル-トでにぎわう丹沢も神の川からの北丹沢ル-トはいつもながら静寂そのものである。
今回も下山してくる7人パ-ティ1組とすれ違っただけであった、ほとんど道なき道を下山してゆく。
ここがちょうど中間地点、1本とって沢の水で喉を潤す。
数年前の豪雨で登山道が崩壊し全く違う経路になっていて踏み跡程度の激しい登りが続く。
大量の水分を背負った老体にはちと厳しい道のりである。
急登を喘ぎ喘ぎ登ってようやく犬越路に辿り着いた。
犬越路は神の川、大室山、西丹沢、檜洞丸からの登山道の交差点になっているので絶えず登山者が行きかっている。
先ずは犬越路の避難小屋に向かう。
先に到着していた西丹沢の川原乞食ワカモトAさんが待っていてくれた。
あろうことか主役のホリャさんは激務の過労がたたって犬越路の急登を断念するとの事前の連絡が入っていた。
なんのことはない、ワカモトちゃんの話によれば夜ごと藤沢の街を飲み歩いて腑抜けになってしまったのだと、このバカヤロが!
風の強い外界と隔絶された小屋の中は陽だまりのように暖かくて山の中にいることを一瞬忘れてしまうほどである。
使い込んだ百均調達のフライパンでワカモっちゃんがさっそく何かを作り始めた。
実は釣り師仲間なのに彼とも一度も一緒に釣りをしたことがないのだ。
世附の川原で呑み、吉田類が推奨する一風変わった酒場でホリャさんを交えて呑み歩く仲である。
今回は貧粗を良しとするホリャさんにならって貧粗ではあるが酒のすすむ酒肴をこしらえた。
まろやかなカニタマは穏やかなワカモトちゃんの人格そのままの優しい味がした。
彼と初めて呑んだのは世附の川原、彼がふるまってくれたチ-ズフォンデュの味が忘れられない。
避難小屋の中はいつしか居酒屋特有の匂いで充満していた。
ビ-ルと缶チュ-ハイと彼が担ぎあげた越後の地酒に酔いしれながら
午後1時過ぎまで呑みながら語らった2時間半があっという間に過ぎて行った。
彼の醸し出す穏やかな空気とこの小屋の温もりがいっそう居心地のよい空間を作り出してくれたのかも知れない。
次回は是非この小屋に泊まって下山を心配することなく心ゆくまで呑もうと約束した。
綺麗に片付けた小屋の中ではあるけれど居酒屋に充満する煙は差し込む日差しに白く霞んでいる。
ワカモトちゃんが下山したあと、僕は2時半まで暖かい小屋の中で午睡を楽しんだ。
僕にとって山とはいったい何なのだろうか?
日常の仕事の中ですり減らした心と頭をひたすら休ませリフレッシュさせる空間、ただそれだけでの理由で山に来る。
ワカモトちゃん、久しぶりに会えてよかった。
来年はぜひ北丹沢と西丹沢の川原乞食集会を実現したいものですね。