山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

昭和レトロ

2009-02-27 23:53:36 | 蕎麦、うどん、ラーメン
小学生だった頃、父に連れられて良く行ったものである。


あの頃はまだ、商店街も殆どがバラックだったような。
薄暗い店で食べた中華そばの懐かしい味が今でも忘れられない。


酒を飲めない父はサイダ-、僕はラムネのビンをチュ-チュ-と吸っていた。
真ん中がへこんだビンの中で踊るビ-玉をカランコロンと振りながら
一体このビ-玉はどこから入れたんだろうと思いあぐねていたものである。


隣の席では中年のオジさんがやけに難しい顔をして
焼酎をキュっと音を立てながら旨そうなつまみに箸を運んでいた。


大きくなったら絶対に僕もあんな風にお酒を呑みたいと憧れたものである。




あの頃が懐かしくなると僕は決まってこの場所に足を向ける。
しかも決まって雪の降る日だと言うのも不思議なことである。










暖簾をくぐると一瞬にしてあの頃にタイムスリップしてしまう。








勝 新太郎の兵隊やくざ、繰り返し観たものである。







若き日の原 節子だろうか?
そう言えばあの頃は、うちわと蚊帳とアイスキャンデ-で熱い夏を凌いでいたものである。







カウンタ-で一人、煮込みをつまみながら昼酒を楽しむ人がいた。
僕もここではいつも煮込みとお酒で始めることにしている。

おばちゃんに注文しようとして、はっと我に返った。
そうだ、今日はこれから歯の治療があったんだっけ。
お酒を楽しんだ代償に麻酔が効かなくなって苦しむのはたまったものではない。








お酒は諦めていつもの鴨汁蕎麦。蕎麦は二八であろうか?
もちっとした食感の太打ちが大皿にたっぷり450グラム。
これで2.5人前ほどの並盛り650円は大拍手ものである。

並の胃袋なら200グラムの小盛り、大食いなら山盛り600グラムの大盛りが嬉しい。







この店に来るなら洗練された小粋な蕎麦を期待してはいけない。
あくまでも田舎のばあちゃんが打ってくれる懐かしい蕎麦を味わいたい。

大きなお椀にたっぷりの鴨汁とこの蕎麦は抜群の相性である。
懐かしい味を最後まで熱々で頂ける、そして病みつきになってしまうのである。







今日は不覚にも呑んではいけない日に来てしまった。
近いうちにここでまた呑まなければ収まりそうもない。







外はまだ雪が降り続いていた。
午後2時だと言うのに、この店の味を求めてファンの足は後を絶たない。



手打ちうどんそば『甚五郎』

国分寺市本町3-3-13
042-325-6916
午前11時~午後11時
年中無休

コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

道草

2009-02-22 23:11:05 | 蕎麦、うどん、ラーメン
土曜日の午後
ぼっかりと空白の時間ができてしまった。

仕事をすれば良いのだろうが、たまには散歩も気持ちいい。
かつて毎日のようにモモと歩いたコ-スを久しぶりに一人で歩いてみた。

国分寺跡の広い原っぱを通り抜ける。
あの先の茂みは3億円事件で使われた偽の白バイが放置されていたお墓である。





風情のある『お鷹の路』を抜ける。
徳川将軍が鷹狩り場に向う路であったそうだ。





お鷹の路を抜けると武蔵国分寺。
万葉集に詠われた草花が境内を彩り
それを目当てに春から初夏にかけては訪れる人が後を絶たない。





最後の急な石段を数十段登る。





そして、その先に手打ち蕎麦の『山泉』と『潮』が
ほんの数十歩の間隔で並んでいる。今日は『山泉』の暖簾をくぐった。





1時をとうに過ぎていると言うのに
玄関先のテ-ブルに二組、小上がりに僕と同じ年格好の男の人が一人。
僕は反対側の小上がりの席について胡座をかいた。





一息ついて、今月のお酒『景虎』





お酒のあては『鳥わさ』と『自家製のお新香』
何故か最近、飲み屋でも蕎麦屋でも大好きな『鳥わさ』が姿を消しつつある。
ぎゅうっと一気に一口、日本酒はこれが何とも言えずに旨い!




今日は待望の『田舎蕎麦』
いつ来ても売り切れで味わったことがなかった。





香り立つような粗挽き。
しっかりと角がたった細切りが艶やかで美しい。
丹精込めて打った親爺さんの心意気を感じる。




濃いめの汁にちょっとだけつけて蕎麦の香りと味を楽しむ。
新蕎麦の季節ならその香りは更に際だつのだろうな。
初めての『田舎蕎麦』を堪能した。





そしていつもの『鴨せいろ』





この鴨の付け汁は絶品である。





酔いが心地よく体を弛緩させてくれる。
散歩の楽しみはこんなところにもある。






手打ち蕎麦『山泉(さんせん)』

11:30~14:30
夕方は17:00から
国分寺市西元町2-17-16
042-327-7400
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ずっと一緒さ。。。。。。。

2009-02-14 23:22:53 | 独り言
毎年この時期になると、決まってAさんは
大きなマグロのカマを抱えて陣中見舞に来てくれたものである

豪快な笑い声で事務所の疲れた空気に元気を吹き込んでくれたものである
そして僕は、いつしかそんなAさんの来訪を心待ちにするようになっていた




しかし、、、、もう、、、、それは叶わぬ夢となってしまった












突然の訃報であった



きさらぎ、中旬、野辺送り





女性のナレ-ションに乗せて

元気だった頃のAさんの姿が

大きなスクリ-ンに流れた

僕の知らないAさんの歴史が

そこにはいくつもあった

どんなに親しくても

友との時間のすべてを

共有している訳ではない

自分の時間もまた同じなのだと、、、

そのことを強烈に突きつけられた思いがした

そして、それでいいんだと気づかされもした





♪ずっと一緒さ♪



Aさんは大好きだった山下達郎の曲に送られて旅立った

スロ-なテンポで抑え気味に奏でる

生のピアノとバイオリンを聴きながら

僕は何度もメガネを外して

溢れ出る涙をぬぐっていた

それでもなお止めどなく溢れる涙に

Aさんの遺影が滲んで見えなくなった




ふと僕は、カミさんのことを思った

もし彼女が先に眠りについたら、、、

僕には決めていることがあった


彼女の棺にそっと手を置いて

彼女が好きだった本や映画や

旅や友の思い出を語ろうと、、、


一番輝いていた季節に出会えたことへの感謝を

結ばれて家庭を築いてくれたことへの感謝を

貧しい時代を耐えて励まし続けてくれたことへの感謝を

仕事の良きパ-トナ-であり続けてくれたことへの感謝を

つい世俗に流されそうになる僕を叱り

真っ当な生き方に引き戻してくれたことへの感謝を

そして彼女のお陰でいまの僕があることへの感謝を

参列者の方々へ伝えるためにではなく

ただ僕の心に深く刻み込むために語ろうと決めている



でも、先に眠りに就くのは多分僕の方である

そのとき、僕は誰の曲で送ってもらおうか?

それよりも生前葬の方がいい

出来ることなら元気なうちに

親しくさせていただいた方々と

酒を酌み交わしながら感謝の言葉を告げ

別れをすませておけたらいいのにと思っている















コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

痛っつっつっつぅぅぅ!

2009-02-08 23:32:43 | モモ
長いこと人間をやっておりますとね。
色々と痛い思いをしなければなりませんわな。

僕なんて繊細なものだから心がチクチク痛んだり(嘘)
脳神経が複雑なものだから頭痛がひどかったり(嘘)

実は昨夜から歯がずきずき痛み始めましてね。
疼くような歯痛特有の鈍痛は何とも耐えられないものですね。

理由は2年前、軽率にも『どヘタ』な歯医者にかかってしまったこと。
とにかく忙しくて『どヘタ』で評判が悪くても近場で痛みが取れて噛めればいいやと。

そもそもこれが間違いの元でしたね。
やはり良い歯医者さんを選んでジックリと完璧な治療をしてもらうことが何より大切。

歯が痛いとね、金融危機だの政府紙幣だのそんなのどうでも良くなっちゃう訳でして。
今日は鎮痛剤で痛みを抑えながら仕事を続けましたがもう限界。

一大決心をして歯医者さんに通うことに決めましたわ。
歯医者さんにかかるなら絶対にココという絶大な信頼を置く歯医者さんがおりましてね。
カミさんにもカミさんの友達にも大満足してもらっているので間違いありまへん。

先生とアシスタントの二人だけのちっちゃな歯医者さん。
何も大規模な医院が良いということは決してないのです。

患者としては未熟な若い先生じゃなくて一番信頼できる院長先生に診て欲しい
忙しそうな流れ作業じゃなくてタップリ時間をとってジックリ診て欲しい
自分だけに向き合って集中して治療して欲しいという訳でしてね。

小さいということは、そんな患者の希望をすべて満たしてくれるんですな。
医療の基本と原点が凝縮されたまさにプライベ-トDrと言ってもいいでしょう。

さあ、僕もいよいよ歯医者さん通いが始まる訳でございます。




さてさて、痛いことは重なるものでして。
カミさんがモモにご飯を上げている時でございました。

突然『うぎゃぎゃぎゃぁぁ、いった~いっ』と唸るような叫び声が、、、、。
見ると左の人差し指が大きくえぐられて血が噴き出しているではありませんか。

油断してモモに思いっきり咬まれてしまったということでして。
あまりの痛みに痙攣と出血は翌朝まで続いたということでした。
皆さんもくれぐれもご注意下さいね。



そもそも犬というものは気心が知れた人間を咬むことはないのですが
何かの弾みで咬んでしまったんでしょうね。

モモも心からゴメンナサイと詫びておりました。

互いに辛い痛みを分かち合ったという熱い夫婦愛のお話でございました、ジャンジャン!

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ひだまり

2009-02-01 23:38:42 | 山歩き.散歩
新年早々、中学時代の友と再会した。
会いたいと思いつつ38年の歳月が過ぎていた。

彼とは中学、高校と陸上競技部で同じ釜の飯を喰った仲間である。
苦しくて逃げ出したくなるほどの合宿を共に耐え抜いた戦友である。

今年の年賀状に『呑もう!』とケイタイの番号が記されてあった。
38年ぶりだというのに会えば一瞬にしてあの頃にタイムスリップしてしまう。
呼び捨てにできる昔の友はこれだからたまらない。

酒を酌み交わしながらタップリ4時間を語り合った。
自己主張をしない優しい性格だった彼が今では地方銀行の役員に昇り詰めて立派になっていた。

人は仕事の中でこそ成長する。彼を見てそう確信した。
これからは時々呑もう。そう約束して彼を見送った。




彼のふる里は『篠原の里』
石砂山を挟んで僕のふる里の向側の集落である。

今日はその篠原の里から峠まで歩いて石砂山に入った。
入ったと言っても歩いたのは峠からほんの少しだけ。

小道からはずれてお気に入りの雑木林に腰を下ろしコ-ヒ-を湧かした。
陽だまりに寝ころんで土の匂いと若草の匂いを感じているだけで満たされる。







コ-ヒ-とタバコとチョコレ-ト。   
これだけあれば2時間でも3時間でも退屈しないで本が読める。







雑木林を少し歩くと不思議な空間が忽然と現れる。
下草の生えた3坪ほどの平坦な地を楕円形にススキが取り囲む。
そのまた外周を灌木が取り囲んで小さな砦のような空間。
誰が手を入れた訳でもないのだろうに、、、、、。

吹き抜ける冷たい風もここにはない。
まるで母の胎内に居るような心地よいぬくもりを感じる。







午後は、ここで呑んで心ゆくまで眠った。
今日はツェルトもシュラフも必要なかった。

こんな陽だまりでは乾いた下草の上に大の字になって寝転がるのが気持ちいい。







秘密の場所ではないが、とっておきの空間。
誰にも邪魔されず、な~んにもしない一日。
そんな一時が欲しくてここへやって来た。


戦闘態勢に入る前。
こんな怠惰な1日も、たまにはいいものである。
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする