山と溪を旅して

丹沢の溪でヤマメと遊び、風と戯れて心を解き放つ。林間の溪で料理を造り、お酒に酔いしれてまったり眠る。それが至福の時間。

千曲川 カヌ-の旅

2008-05-05 10:50:54 | カヌ-ツ-リング
ゆらゆらと、根無し草のように川面に漂いながら、そよ吹く風に吹かれてみたい。
男は、そんな叶わぬ夢を見ていた。

世の中どこもかしこも、きらびやかな連休モ-ドだと言うのに、男はひたすら仕事に励んでいた。
沸点に達しつつある男の脳みそは、すでに煮えたぎって気が狂いはじめていた。
おまけに外は『くらやみ祭り』の大太鼓がド~ンド~ンと鳴り響いて気もそぞろになる。
浮足だって、こんな時に仕事なんかやってられるかってんだベランメエ!

お~い、オレをここから出してくれ~い!
誰かこの足枷を外してくれ~い!
一生のお願いだ~、オレを今すぐ解放してくれ~い!

男の口癖が、一生のお願いだ~と言うことを知りながらも、慈悲深い神様は
『一日だけだかんね』とウインクして、このオレを仕事の呪縛から解き放ってくれた。

夜行日帰り、夜討ち朝駆け、脱兎の如く?
まあ、この際なんでもいいじゃないか。
とにかく一日、明日一日だけでも自由の身になれるんだから。

午後9時、中央高速に飛び乗って一心不乱に車を走らせた。
辿り着いたのは北信濃の姨捨SA、午後11時のことであった。



なんてったって解放されたばかりの奴隷っすからね、酒に飢えてます。
なにはともあれビ-ルでカンパ-イということで。
高速道路であろうが、パトカ-がいようが先ずはビ-ルなんですよ。
ついでに焼酎もいっちゃいましょうね、気持ちよく酔っぱらいたいもんね~。
で、やっぱり仕上げはメンマに味玉、モヤシたっぷりの味噌ら-めんっすよね、暖ったまるなあ。



たっぷり呑んで気持ちよく酔ったら素直に眠りに就きましょう。
寝床は北信濃の大地、心を解き放つには何と言っても野宿に限ります。
人間にとって極上の悦楽とは、こういう事を言うのであります。
こうしていると、大地の発する気を受けて心身共に浄化されてゆくのです。

草木も眠る丑三つ時、摂氏1度の冷たい外気を感じながら、心はホンワカと暖まってゆくのでした。

あぁ極楽極楽!
昔むかし、姨捨山に捨てられる姨さんも、お酒と暖かい布団があったら幸せだったのにね。
明日はもう、このまま帰ってもいいなあ、と思うほど心は満たされたのでありました。

ぐっすり眠って疲れも吹き飛んで、SAでお蕎麦を食べて千曲の河原へ。
先客が6名様、横浜の中年カヌ-イストがツ-リングの準備をしておりました。
しばしビ-ルをご馳走になりながらのカヌ-談義、ゴ-ル地点も一緒ということで、これは楽しくなりそうだ。
それにしても、最近のカヌ-イストは中高年だけになっちゃった感じですねえ。

若者よ、もっと冒険の旅に出ようぜ!



6人衆が一足先にスタ-ト、我らはのんびり漂うのです。



今日はちょいと増水気味、しかも追い風、絶好のツ-リング日和です。
暖かい陽差しも嬉しいですねえ、キャッホッホ-。



時間はたっふりある。のんびり行こうぜ!

視界いっぱいに開けたこの風景、これぞ大河の証しです。
この開放感が人の心を解き放してくれる訳ですね。

蕩々と流れる千曲に漂いながら、ビ-ルをあおり
タバコをくゆらせながら命の洗濯をしようではないか。



川岸と川岸を行き来する渡し船。
♪連れて~逃~げ~て~よ~、ついて~お~い~で~よ~♪
ビ-ルを煽りながら思わず一曲うなってしまいました。



千曲に架かる橋は、それぞれに色が違います。
だから千曲のカヌ-ツ-リングは、この橋の色を目印にすればいいのです。



19年来のオイラの愛艇、もう体の一部のような感じです。
しかしまあ、いい男は絵になりますなあ、ってか?





遠く北信濃の山々は、まだ雪を頂いています。
こりゃ支流の沢は、まだドライフライじゃ無理だべなあ。



エッチラオッチラ、、、、、ス-イスイっと、アメンボになった気分です。



ここから10羽ほどの水鳥が水しぶきを上げて飛び立ちました。
たぶん住処があるのでしょう、偵察隊は水鳥の巣の偵察に向かいます。



カヌ-の上の河原乞食は、ねじりハチマキが正装なのでございます。
隠してあるビ-ルはすでにカラッポ。顔がちょっと赤味がかっておりますが、
これはただの日焼けっすからね。



千曲の風景はどこまでも優しくのどかです。
川岸は、至る所に菜の花の淡い黄色のお花畑が広がっておりました。
そこここで仲良し家族がお弁当を広げて平和な時をすごしているのです。よかですね~!



ラッキ-!
2時間に1本しか走らない飯山線のディ-ゼル列車に遭遇しました。
ここ飯山は、列車までもがのんびりとスロ-ライフを楽しんでいるかのようでした。



今日のコ-ス最後の橋、湯滝橋。
ここの瀬は可成りの落ち込みになっていて、ちょっとしたスリルが味わえるのです。ひゅうひゅう!



コイツら、一丁前に瀬の中で遊んでますわ。





いよいよ千曲の旅も終ります。寂しいなあ。

爽やかなリバ-ブリ-ズを頬に感じながらの旅でした。
優しい川岸の風景に癒された旅でした。
雄大な北信濃の山々に心洗われる川旅となりました。
川面に漂う心地よさを1年ぶりに体感できた旅でもありました。

旅の終りは、なぜこんなにも寂しさがこみあげてくるものなのでしょうか?



さて、ここでもまたビ-ルで乾杯!
そして昼寝。寝る子は育つの言い伝えどおり、頑強な体に成長してくれて
コイツはアメフトの選手をやっておりました。



そして〆はいつもの『もみじ荘』へ。
温泉にまったり浸かって世俗の垢を流しましょう。



足もみマッサ-ジで顔をゆがめて悲鳴を上げております。
これってアタマにも効くのかしらね?



そしてやっぱり〆はビ-ル、性懲りもなくビ-ルなのです、ビ-ルしかないっしょ。



美味しい山菜の天ぷらと飯山の手打ちそば。
これで幸せの千曲の旅も、ホントに終りを告げるのでありました。寂しいなあ。





菜の花一面の飯山の里とも、しばしの別れです。

千曲の流れと、のどかな風景に身も心も浄化され、精気が蘇りました。

次は飯山の尺岩魚に逢いたいと思います。待っててね!

コメント (18)
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