素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

マユハケオモト

2023年11月04日 | 日記
 今の家に引っ越す前に住んでいた家では隣に定年を迎えた老夫婦が暮らしていた。私はまだ40代だったのでピンとこなかったが折に触れて「年金生活だと・・・」話をよくされた。同じ年齢に近づいてきた今は、話されていたことがよく分かるようになった。奥さんがよく愚痴っていたのは旦那さんの趣味である万年青(オモト)である。我が家との境界にずらりと並べられていた。奥さんに言わせれば「金食い虫」で年金生活者にはこたえるとのこと。

 知識のない私にとっては、並べられている鉢は同じに見えるが、旦那さんに言わせれば全部違っていて半端な値段でないものもあるとのこと。日曜日などに植え替えなどの手入れをしている時、万年青についていろいろ解説してもらった。

 万年青(オモト)は、漢字の通りいつも青々と色褪せず、葉の様子も張りのある美しいグリーンをしている事から長寿や健康を司る縁起の良い植物として日本では400年も前から交配が繰り返され1000種以上の豊富な品種があり親しまれ愛されてきた歴史を持つという。有名な話では1590年、徳川家康が江戸に移る時に3種類の万年青を贈られ、家康は大変喜び城にその3鉢の万年青を持ち込んだ。その後、徳川家は隆盛を極めたことから日本中に引っ越し祝いとして万年青(オモト)を送り邪気を祓うため鬼門の方角に置かれる風習が広まった。

 明治に入ってからも品種改良が盛んに行なわれ、100種類以上の品種があるらしい。「値段は言えないが、これなんかは貴重な種類なんですよ」と見せられても悲しいかな私にとっては「豚に真珠」違いがわからなかった。

 万年青は中国が原産で、ユリ科またはスズラン科といわれているが、我が家に今ある「マユハケオモト」は万年青と付いているが南アメリカが原産で、ヒガンバナ科である。「似て非なるもの」かなと思っている。

 「眉刷毛」という漢字の通りの花が今咲いている。玄関の棚に置いているのだが何とも不思議な魅力を持つ花である。長い期間、目を楽しませてくれるのも嬉しい。

 

コメント
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