素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

「教室を生きのびる政治学」(岡田憲治著・晶文社)

2023年11月17日 | 日記
  立ち寄った本屋の店頭で目に留まったり、新聞や週刊誌の書評、知人からの推しなど本との出会いにはいろいろある。「教室を生きのびる政治学」(岡田憲治著・晶文社)との出会いは、7日(火)朝刊にあった小国綾子さんの「あした元気になあれ」というコラムである。タイトルは「本を囲み、人と出会う」。

 小国さんは、街の本屋さんを拠点に政治や社会問題を語り合えるコミュニティーを作ってみたいという思いで、東京・谷中のシェア型書「TAKIBI」(安藤哲也店長)の「棚主」になった。そして初めて主催した「読書会」のことを書いている。その読書会の課題図書になったのが「教室を生きのびる政治学」(岡田憲治著・晶文社)である。

 読書会の参加者は、現役の大学教員、学校教諭、海外暮らしが長くて日本の組織への違和を感じている人、海外にルーツのある人、マンションの管理組合で交渉事に悩んでいる人など実にさまざま老若男女9人。

 一番自分の心に響いたページを一斉に見せ合った時、全員違っていた時の驚きを次のように書いている。
『ある人は、議論する目的は「正しい結論」を出すためじゃない、という一節を選び、別の人は、異なる意見に触れた時、恐れず、自分の考えを変える可能性のある他者と言葉への敬意を持とう、と書かれた箇所を選んだ。<誰にも迷惑をかけない人>になるよりも、自分の弱さを認め、<他者に適切に助けを求める決断のできる人間>になることが大切、という箇所を選んだ人もいた。語る理由に、その人の生きざまがにじむ。
 
 著者の岡田さんによると、大学1、2年生だと「立派な人間にならなくていい」「学校なんて命がけで行く所じゃない」「友だち100人なんていらない」の三つのメッセージに感想が集中するそうだ。一方、私が選んだのは若者が「自己責任」という価値観を内面化し、何もかも自分のせい、と考える風潮に対し、岡田さんが「自由に選択できる場合以外、『自己責任』なんて問う必要も意味もない」と説く箇所だった。私の今の問題意識がそこにあるからだろう。』


 「私だったらどのページを選ぶだろう?」とふと思い、それなら読むしかないと注文したのである。〈国会でも会社でも商店の会合でも、そして学校のなかでも、人間の行動には同じ力学=「政治」が働いている・・・必要なのは、半径5mの安全保障(安心して暮らすこと)だ!〉という帯の言葉は魅力的である。新しい本との出会いにワクワクしている。
コメント
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