素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

2023年秋・西本願寺界隈

2023年11月16日 | 日記
 知人が、10月中旬に龍谷ミュージアムで開催中の秋季特別展「みちのく・いとしい仏たち」のチケット(1600円/枚)を4枚郵送してくれた。バタバタして過ごしている間に会期末が迫ってきてせっかくの好意を無にしてはいけないと妻と京都へ出かけた。

 西本願寺には無料の大駐車場があるのでありがたい。せっかくなので西本願寺、梅小路公園、京都駅をブラブラと巡ってみることにした。西本願寺の2本ある大銀杏はまだ黄葉が進んでいなかった。1本は緑一色、もう1本は黄色に変わりつつあった。菊花展を開催していて小ぢんまりとした規模だが主だった菊はすべて見ることができた。今年は枚方の菊花展に行けずじまいだったのでラッキーであった。唐門はいつ見ても煌びやかである。

 梅小路公園では、家族連れ、小学校の遠足、中高年グループの散策、犬の散歩仲間の談笑する風景などのどかな秋の一日だとほのぼのとした気持ちになった。京都水族館の中からは元気な小学生の声が聞こえてきた。

 京都駅の方にいくと人の多さに圧倒された。オーバーツーリズムで市営バスが混雑して地元住民から苦情が出ているという報道がよくされているが、駅前のバスターミナルでの長蛇の列を見ると「さもありなん」と納得した。「そのあたりで昼食を」と思って行ったのだが人の多さと値段の高さに退散した。

 退職後数年、仏像巡りに勤しんだが、それらは洗練された技術を持った仏師によるものであったが、「みちのく・いとしい仏たち」で展示されているものはその対極にあるもの。小さなお堂や祠、民家の仏壇や神棚などにあるその土地の大工さんやお坊さんたちの手による素朴でユニークな仏像・神像である。

 青森・秋田・岩手の三県に伝わった約130点の仏像・神像を見ていると民衆の暮らしという別の世界があったことを実感する。ミュージアムを出て堀川通りを渡って向かいの西本願寺に行くために信号待ちをしていたら甘いほのかな香りが鼻をくすぐった。街路樹の1本に小さな白い花が咲いていた。「これか?」と鼻を近づけていたら「銀木犀やで」と妻が言った。金木犀はよく見かけるが銀木犀はあまり見かけない。妻に言わせれば同じ時期に花を付け芳香の強さで圧倒する金木犀が目立つため、ほのかな香りの銀木犀に気づかないことが多いとのこと。こんなに大きな木になるんだと驚き、信号待ちの退屈さが紛れた。


2023年秋・西本願寺界隈
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする