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常に名作!『隠蔽捜査 4 転迷』by今野敏

2018年12月01日 | 小説レビュー
~大森署署長・竜崎伸也の身辺は、にわかに慌しくなった。
外務省職員の他殺体が近隣署管内で見つかり、担当区域では悪質なひき逃げ事件が発生したのだ。
さらには海外で娘の恋人の安否が気遣われる航空事故が起き、覚醒剤捜査をめぐって、厚労省の麻薬取締官が怒鳴り込んでくる。
次々と襲いかかる難題と試練―闘う警察官僚竜崎は持ち前の頭脳と決断力を武器に、敢然と立ち向かう。「BOOK」データベースより


いやぁ~おもしろい!まさに『おもしろ地獄』です(^o^)

読み出したら止まりません!同僚から借りた『隠蔽捜査シリーズ』ですが、通勤電車の中、昼御飯を食べながら、家に帰ってから・・・、寝食を忘れるほどではありませんが、手元から離せません!

何が良いって、竜崎がいいんですよ!

ミステリー小説にありがちな、犯人が巧妙に仕立てたトリックを名探偵が推理していき、謎を解き明かし、最後に鮮やかに「犯人はあなただ!」となる。

それはそれでおもしろいのですが、現実味がないというか、イマイチのめり込めないんですよね。

しかし、この今野敏の隠蔽捜査は、竜崎という警察官僚が、これまでの常識や前例、慣習、そして勘違いした権力構造に対して、毅然と整然と最も合理的かつ大胆な発想、そして明晰な頭脳と手腕で立ち向かっていくという話です。

今野敏氏は、警察組織のことはもちろんのこと、その他の様々な社会情勢について、とても詳しく調べてあり、突拍子もない出来事や人物などは出てきません。

よって、物語は極めてクールに現実的に進んでいき、そして気持ち良く収束していきます。

そのプロットと文章力には脱帽というか、大きな拍手をおくりたいです!

隠蔽捜査シリーズの5冊目を読み終えた訳ですが、竜崎の前に立ちはだかった、かつての敵(警察内部の常識人たち)は、次第に竜崎の真っ当な論理と行動に脱帽し敬慕の念さえ抱きます。

僕も小さな組織で働く一人ですが、竜崎の思考論理を参考にしながら、仕事に励みたいと思います。

★★★☆3.5です。