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どこまでも読ませます!『隠蔽捜査5 宰領』by今野敏

2018年12月17日 | 小説レビュー
~衆議院議員が行方不明になっている伊丹刑事部長にそう告げられた。
牛丸真造は与党の実力者である。
やがて、大森署管内で運転手の他殺体が発見され、牛丸を誘拐したと警察に入電が。
発信地が神奈川県内という理由で、警視庁・神奈川県警に合同捜査が決定。
指揮を命じられたのは一介の署長に過ぎぬ竜崎伸也だった。
反目する二組織、難航する筋読み。解決の成否は竜崎に委ねられた!「BOOK」データベースより


今野敏氏の『隠蔽捜査』シリーズの5です。

ホンマに今野敏氏の作品は素晴らしいですね!

警察の内部構造がよくわかりますし、緊迫した場面での判断を下す基準というか、自分の座標軸をしっかりもっていれば、色々なことに対応が可能であるということを示してくれています。

「信頼を勝ち得る人間といのは、こういう人のことを言うんだろうな」と、考えさせられます。

竜崎は確かに素晴らしい警察官僚ですし、上司としては100点でしょう!

今作でも、竜崎の前には、相変わらずの難題が積み上がりますし、警視庁と神奈川県警が同じ警察組織であるのにも関わらず対立しているという、市民レベルでは理解不能な壁が立ちはだかります。

それでも、「竜崎なら!」と期待せずにはいられません。

同じように、ヒーローが難題を解決していくという、『加賀恭一郎』と『竜崎伸也』ですが、加賀の『犯人VS刑事』という構図に対して、竜崎の『竜崎VS旧い体制(常識・前例主義)』壁をぶち破る!という感じです。

加賀の場合、「まぁ、間違いなく簡単にトリックを見破り、そして解決」と、あらすじもエンディングも見えてくるんですよね。

それに対して、竜崎は、展開も相手も不透明ですし、竜崎自身も自問自答し、時には家族の問題で悩み苦しみながらも、何とか答えを導きだしていくといやり方に拍手喝采を送ってしまうのは、男が男に惚れるというような憧れがあります。

いずれにしても、とても面白いシリーズですし、是非、『隠蔽捜査』シリーズを読んでみて下さいな!

★★★☆3.5です!