原発は熱汚染源でもあったのか

2011年03月20日 | 広報

 こうした状況の中で、素人が原発について発言するのは混乱の種になるだけでどうかという気もするのですが、まわりの方から「どう思いますか? どうしたらいいでしょう?」と聞かれることも多く、立場上まるで答えないわけにもいかず、「あくまで個人的にはですが、こういう情報に基づいてこう判断しています」と言っています。

 そうはいっても直接にお答えすると、その方の判断・決断にかなりの影響を与えてしまいそうなので、「そうなっても責任は取れないと思うので、今後、直接お答えはしないことにさせてください。私はこういう情報に基づいてこういう判断をしているということを、ブログに時々書きますから、もしよければ、参考にしてください」とお願いすることにしました。

 それで、17日の広瀬隆氏の発言を聞いていて京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏の名前が出てきたので、ネット検索してみたら、同じく17日に「ビデオニュース」(http://www.videonews.com/)で電話インタビュー(http://www.videonews.com/interviews/001999/001761.php)があったので聞いてみました。

 広瀬氏も指摘していたように、NHKは基本的に原発推進派の「専門家」ばかり起用していて、原発の安全性についての認識がまったく違う反対派の専門家には発言の機会を与えていないようです。

 元日立の技師で4号機の設計に関わり、その後危険に気づいて退職し、今では原発を止めようと必死の活動をしておられる田中三彦氏(個人的にも知り合いで非常に信頼できる人だと思っていますが)などは、ぜひ発言してもらいたい人ですが、NHKなど大きなメディアには起用されていないようです。

 官房長官の記者会見もそうですが、そのあたり、社会的パニックを引き起こさないように配慮しているのかもしれませんし、それはある程度必要なことかもしれませんが、危機の大きさに見あった、市民の適切な判断―決断―行動のための公平な情報提供という意味で、「それでいいのだろうか」と強く疑聞に思います。

 NHKTVでは昨日あたりから朝の連続ドラマが始まり(我が家も見ていますが)、今日はのど自慢をやっていて、被災地以外ではもういつもの日常が始まっている・始めていいかのような「空気」が醸し出されていますが、それでいいのでしょうか。

 人間は、長い緊張には耐えられないとか、辛い話ばかりの時には明るいニュースがほしくなるというのは、私自身もよくわかる人情ですが、しかし現実の危機に対しては、過度に感情的な「危機感」ではなくむしろ正確な「危機認識」を持ち続けながら、適切な危機管理をしていかなければならないと思います。

 小出氏の話を聞いていて、やはり大変な危機なのだと思うと同時に自分の不勉強を恥じたのは、原発が放射性物質を扱うという点で危険なだけでなく、CO2を出さないので温暖化問題(環境問題の一部)への切り札に見える(実際はそうではないことは小澤徳太郎氏が指摘しておられるとおりだと思いますが)という話もまるで違うということでした。

 現在、火山列島日本の上には54基もの原発があり――それだけでも結局もうどこにも逃げ場所はないという気がします――平均すると一日当たりウラン3kgを使って100万キロワットの電力を作り出しているのだそうです。

 広島に投下された原爆に使われたウランが800gくらいなので、その3、4発分のウランが毎日のように使われているわけです。

 原爆3、4個×54基分の核反応が毎日続いている……思っただけで頭がくらくらします。

 その結果生み出されたエネルギーの3分の1は電力になるのですが、なんと3分の1はもとの海水より7度熱くなった排水・廃熱として毎秒7tも海に排出されるのだそうです。

 結論を言うと、原発は海に大量の熱を捨てており、そういう意味で大変な「熱汚染」源だったようです。

 もしそれが正しいとすると、原発が環境問題(温暖化はその一部です)の切り札でありえないことは、ここからも明らかだと思われます。

 それとも海は広いので「問題になるほどの量ではない」ということになるのでしょうか。

 このことについて(も)、私が知らなかっただけなのか、多くの国民が知らされていないだけなのか……こんな原発を誰が作ったのか、作らせたのか……さまざまな思いが頭の中を駆け巡っています。

コメント (6)
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