どうすれば原発を止められるか

2011年09月19日 | 原発と放射能

 一昨日、「いのちを見つめる」展のオープニングの講演をしてきました。

 講演に共感してくださった方も多く、後の懇親会では話が弾み、久しぶりに帰りが午前さまになりました。

 弾んだ話には、講演のテーマの「宇宙の中のいのちの意味」についての質疑応答だけでなく、どうすれば原発を止められるかという話題も含まれていました。

 懇親会に残った方のほとんどが原発反対で、デモに行ったり、署名をしたり、政治家に手紙を書いたり、会える政治家には行って話しをしたり、などなど、いろいろな方法を考え、非常に積極的に行動している方もいました。

 そこで、あえて、今までの市民運動では日本の政治は基本的に変わらなかった・今回も変わらないだろう――原発も止まらなかった・止まらないだろう――という指摘をし、市民運動をしている方たちが決定的に見落としていることがあるという話をしました。

 「なぜ、ドイツやイタリアやスイスは脱原発の決定ができた(スウェーデンはとっくに決まっている)のだと思いますか?」と問い、いろいろな意見が出るのをしばらく待ってから、「そういうこともあるでしょうが、結局のところ、それは主権政党-政府が決定したからできたんです」と指摘しました。

 議会制民主主義の国では、主権政党-政府が決めれば、原則的にはどんなことでも決めてしまえるのです。

 逆に言えば、主権政党-政府が決めないかぎり、何も決まりません。どんなに市民運動が盛り上がっても。

 だから、原発を止めたかったら、止める意志がある政党を主権政党-政府にするしかない、そういう政党がなかったら作るしかないのではないでしょうか? と。

 日本は、幸いにして議会制民主主義の国で、結社の自由つまり自分で自分が支持できる思想をもった政党を作ることができるのです。

 その政党が主権政党になって、国民を代表して権限・権力を行使すれば、原発はまちがいなく止めることができます。

 民主主義国家における政府は、選挙によって国民の委託を受け、国民のために権力を行使するものです。

 それは、民主主義の常識のはずなのですが、日本の市民の常識になっていないのではないでしょうか?

 そもそも政府は権力を行使するものであって、権力=悪=政府=政治という情緒的同一視は民主主義とはそぐわないものなのですが、日本の良心的市民にはどこかそういう感覚が強くあるようです。

 〔あくまでもグラデーションですが〕正しい権力と悪しき権力があるのであって、権力そのものは善でも悪でもないのです。

 そして、権力を行使する政府を形成する政党(を形成する議員)を選ぶのは国民なのです。

 だから、もう一度言いますが、もし原発を止めたかったら、止めるという決定をすることのできる権限・権力を行使する意志のある政党を主権政党にするしかない。そういう政党がなかったら、作るしかない。

 現在の民主党には、成り行きで原発を減らす・減っていくという意志ともいいにくいあいまいな方向性しか見えません。

 自民党、公明党も脱原発の意思表示はしていません。

 共産党と社民党が意思表示をしていますが、残念ながら、この二つの政党共に日本の経済、外交、安全保障を任せられるとは思えません。

 その他の政党についても、日本の未来を託すことのできるような理念とビジョンがあるとは思えません。

 だから、脱原発を含め日本の未来を託すことのできるような、自分が支持できる政党を作るほかないのではないでしょうか?

 政党を作るのは大変? いいえ、政党は基本的には任意団体なので、たった二人でも合意して「○○党」と名乗ったら、それは政党なのです。

 政党助成金を受けられる政党になるには、国会議員が数名加わっている必要があるのだそうですが。

 初めはごく少人数だった政党がやがて主権政党になる、ということは、起こりえないことではないのです。

 そういうわけで、私の属している「持続可能な国づくりの会」では、「理念とビジョン」の試案を作り、「こういう理念とビジョンを実行する政党が必要だとは思いませんか」という呼びかけをしています。

 会のHPやブログを見て、よかったら「清きご一票を」……と呼びかけてきました。

 みなさん熱心に話を聞いてくださり、「ブログを見てみます」と言っていました。

 ともかく、市民運動をしている人に向って、あえて「従来の市民運動では限界がある」と言って、反発されず、関心をもって最後まで話を聞いてもらえた集まりは、初めてでした。

 これが日本の市民の意識が変わりはじめている兆しだといいのだが、と期待しているところです。


コメント (2)
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