リクエストがありましたので、『信心銘』の続きです。
多言多慮、 (たごんたりょ)
転た相応せず。 (うたたそうおうせず)
絶言絶慮、 (ぜつごんぜつりょ)
処として通ぜざるなし。 (ところとしてつうぜざるなし)
意 訳
ぺらぺらしゃべり、あれこれ考えてると
どんどんピント外れになってしまうぞ。
だまって、よぶんなことを考えないで、
〔まっすぐ進めば〕どこにだって通用するんだ。
これは、浅く読んでしまうと、「言葉じゃないよ、行動だよ」という話のようです。
また、「不立文字(ふりゅうもんじ)」、言葉でいうことはできない、というのは禅のキャッチ・フレーズです。
しかし、仏教の流れ全体でいえば、膨大な経典の言葉や詳細厳密な論書の言葉が積み重ねられた上で、最後の最後のところは「言葉を超えている」という話になるのであって、最初から言葉を軽視したり無視したりしたのではありません。
学ぶべき言葉はしっかりたっぷり学んだ上で、言葉を超えたものをつかんだら、もう人生のどんなところでちゃんと生きていける、という話なのです。
そう読むと、これは一見とても平易ですが、実はとても深い話です。
言葉の世界から言葉を超えた世界へ、そして言葉を超えた世界からもう一度言葉の世界へ、という自由自在な往復ができる、しなやかな心を得たいものです。
今年も、ご一緒に学びを深めて行きましょう。*
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