ピンポン、と玄関のチャイムが鳴る。
我が家にはインターホンがないので、まずは駐車場側の窓から外を見て、車やバイクが止まっているかを確認する。
それから、ドアを開けずに「どちら様ですか?」と声をかける。
友人・知人で何の予告もなしにいきなりやってくる人はまずいない。
宅急便なども9割方は到着日の予想が立っている。
だから、予定もなく、会社の看板を背負わない車や徒歩でやってくる訪問者は、まず招かざる客であることが多い。
先日、テレビの特集で、年金生活のおじいちゃんが訪問販売に騙されて3500万円もの大金を失ったというニュースをやっていた。
「金塊は儲かりますよ、老後の蓄えを増やすためにも、資産運用を」。
家に上がりこんだセールスマンは言葉巧みに誘い、金塊を販売した。
が、それは書類上だけの販売で、実際の金塊は一度も手にしておらず、運用のレポートと称した書類だけが定期的に送られてきた。
そこで利益の出た分を振り込んで欲しいとおじいちゃんが言うと、のらりくらりと交わされて、ついには原資を割り込んだから還元はできない、と告げられてしまったという。
(このおじいちゃんは、その後息子さんの協力によって1000万円を取り返すことができたというが、それでも全額返還には至っていない。
犯罪性が立証できないため、警察に動いてもらうこともできなかったという)。
うちの両親は、テレビに出ていたおじいちゃんよりはいくつか若いが、年金をもらえる年齢である点は一緒だ。
「水質検査に廻ってます」「粗品をお届けにあがりました」「寄付をお願いします」……。
訪問者は、あの手この手でドアを開けさせようとする。
でも相手の目的がはっきりするまでドアは開けちゃダメ。
母から教え込まれたそのことは、最初に一人暮らしを始めたときから守ってきた。
一度だけいつもの新聞屋さんと間違えて開けてしまい、さっさと洗剤と野球のチケットを玄関に運び込まれてサインを求められ、
「これって新聞の契約と違うんですか?」
と詰め寄ったら「そうです」と言われ、「じゃあ書きませんから全部持って帰ってください」と、持ち込まれた粗品を全部付き返したことはあるけれど。
別の時、しつこいセールスマンをしつこく断っていたら、インターホンに大きく×マークを書かれたこともあったけど(これは訪販業者同士の暗号だったらしい)。
そんな私を育てた母だから、変な業者をうかつに家に上げることはないとは思っているが、「ウチの○○に限って」は一番危険でもある。
訪問者には神経を尖らせても、個人情報の残った郵便物を「どうせ誰も見たりしないわよ」と破らずに捨ててしまうような一面もあったりするし。
一番悪いのは悪徳業者であることは間違いないが、被害に遭わないためには自己防衛するしかない。
自分たちはもちろんのこと、離れて暮らす両親にも、「ウチなんかお金持ちじゃないし、狙われないわよ」などと思わずに、気をつけていて欲しいと願うばかりだ。
ところで、今日の訪問者は「聖書をお配りしています」の人だった。
のぞき窓から相手がそこにいるのは見えているのに、こちらがいくら「どちら様?」と聞いても返答がない。
こちらもしつこく尋ね続けて、ようやく返答が来た。
この人も、返答がないからとしびれを切らした私がドアを開けるのを待っていたのではないかと思われる。
だけどそんな手には、残念ながら乗れません。
我が家にはインターホンがないので、まずは駐車場側の窓から外を見て、車やバイクが止まっているかを確認する。
それから、ドアを開けずに「どちら様ですか?」と声をかける。
友人・知人で何の予告もなしにいきなりやってくる人はまずいない。
宅急便なども9割方は到着日の予想が立っている。
だから、予定もなく、会社の看板を背負わない車や徒歩でやってくる訪問者は、まず招かざる客であることが多い。
先日、テレビの特集で、年金生活のおじいちゃんが訪問販売に騙されて3500万円もの大金を失ったというニュースをやっていた。
「金塊は儲かりますよ、老後の蓄えを増やすためにも、資産運用を」。
家に上がりこんだセールスマンは言葉巧みに誘い、金塊を販売した。
が、それは書類上だけの販売で、実際の金塊は一度も手にしておらず、運用のレポートと称した書類だけが定期的に送られてきた。
そこで利益の出た分を振り込んで欲しいとおじいちゃんが言うと、のらりくらりと交わされて、ついには原資を割り込んだから還元はできない、と告げられてしまったという。
(このおじいちゃんは、その後息子さんの協力によって1000万円を取り返すことができたというが、それでも全額返還には至っていない。
犯罪性が立証できないため、警察に動いてもらうこともできなかったという)。
うちの両親は、テレビに出ていたおじいちゃんよりはいくつか若いが、年金をもらえる年齢である点は一緒だ。
「水質検査に廻ってます」「粗品をお届けにあがりました」「寄付をお願いします」……。
訪問者は、あの手この手でドアを開けさせようとする。
でも相手の目的がはっきりするまでドアは開けちゃダメ。
母から教え込まれたそのことは、最初に一人暮らしを始めたときから守ってきた。
一度だけいつもの新聞屋さんと間違えて開けてしまい、さっさと洗剤と野球のチケットを玄関に運び込まれてサインを求められ、
「これって新聞の契約と違うんですか?」
と詰め寄ったら「そうです」と言われ、「じゃあ書きませんから全部持って帰ってください」と、持ち込まれた粗品を全部付き返したことはあるけれど。
別の時、しつこいセールスマンをしつこく断っていたら、インターホンに大きく×マークを書かれたこともあったけど(これは訪販業者同士の暗号だったらしい)。
そんな私を育てた母だから、変な業者をうかつに家に上げることはないとは思っているが、「ウチの○○に限って」は一番危険でもある。
訪問者には神経を尖らせても、個人情報の残った郵便物を「どうせ誰も見たりしないわよ」と破らずに捨ててしまうような一面もあったりするし。
一番悪いのは悪徳業者であることは間違いないが、被害に遭わないためには自己防衛するしかない。
自分たちはもちろんのこと、離れて暮らす両親にも、「ウチなんかお金持ちじゃないし、狙われないわよ」などと思わずに、気をつけていて欲しいと願うばかりだ。
ところで、今日の訪問者は「聖書をお配りしています」の人だった。
のぞき窓から相手がそこにいるのは見えているのに、こちらがいくら「どちら様?」と聞いても返答がない。
こちらもしつこく尋ね続けて、ようやく返答が来た。
この人も、返答がないからとしびれを切らした私がドアを開けるのを待っていたのではないかと思われる。
だけどそんな手には、残念ながら乗れません。