築地市場の豊洲移転をめぐってテレビのワイドショーが舛添政治資金問題以来、その追及に活気づいている。
小池知事を全く評価する気がなかったが「パンドラの函」を開けたのは確かだ。増田寛也が知事になっていたら「豊洲への移転」は実行されていただろう。そして移転後に問題続出で東京オリンピックも吹っ飛ぶ。果たしてどちらがよかったかということになるが、「食べ物の安全」がかかっているから、これは移転前に問題発覚でよかったのだろう。
これが「無責任石原都政4期(任期を放り出して辞めたが)」の結果でありツケだった。
それにしてもやるはずで、やることになっていた建物下の盛り土が実はなされていなかった理由は何か。
盛り土をする予定で計上された予算の一部が他に回っていたわけで、石原とその周辺がそれを受け取っていたのかとも思うが、実は石原が大言壮語ですすめた「新銀行東京」の失敗でこげついた都税の穴埋めにまわしたのではないかという指摘が、テレビ朝日の番組でコメンテーターの川村氏が言及していて、「なるほどそうか」と思った。
元都庁職員だった別のゲストが豊洲移転のための予算を他へ流用することはできないと反論していたが、トップの指示があれば、職員はその方法をひねり出すのではないだろうか。東芝などでも無理筋な会計操作をしていたではないか。いつかバレルわけだけど。
暴言と妄言で人々の目をごまかしてきた石原だが、実は自民党都議団とはなれ合い関係で、週二日だか三日程度の出勤で勝手なことをしていたわけだ。
それでも「俺は知らん」は当時の都の最高責任者として通らない。これで石原のファンも目が覚めただろう?
テレビの演出だろうが、都知事選の前になると必ず「はっきりものを言う石原さんは何かしてくれそう」などというノー天気な都民の声を拾っていたが、「何かしてくれそう」の中身はこんなこと=税金の無駄遣いだった。これは大阪でまだその息の根を止められていない橋下とその召使の維新も同様だ。
これと並行するようにして、富山市議会議員の政務活動費の不正常な使い方がニュースになった。
富山は石川・福井と並ぶ北陸3県保守王国の一画だ。保守系の議員で議席が占められていて、やりたい放題になっている。
自治体議員の選挙は投票率が低く、身内組織を固めればほぼ当選できる仕組みが出来上がっていて、それが長年積み重なっていつかはこういう結果になる。
市民の政治意識が低いのが最大の原因だが、選挙制度がそれを助長し、学校教育が「政治への中立性」を盾に国民の権利を教えない(教師自体が教師としてそうした教育を受けていない)。
それこそが支配層のねらいではあるが。富裕層以外は首を絞められる一方の安倍政権を支持する国民がこれほど多いのには、国民も「病にかかっている」ということだろう。
そして安倍政権とっては「豊洲移転問題」は今、南スーダンに派遣されている自衛隊員に犠牲者がいつ出てもおかしくない状態への国民の目をそらせる役に立っているぐらいに考えているかもしれない。
自衛隊から犠牲者を出し、それをいけにえにして「9条改憲へ」。これが2016年後半の安倍政権のシナリオと自覚したい。