蜜柑の挿絵がいいですね。例によってbenさんの作ですが、枯れた描線が形と色彩をぐっと引き締めています。俳句ではこのような例句を知りません。
雑詠より九句 連葉子選
落蝉の掃かれ切なき声あぐる 東京 向江八重子
片陰の献血車にて献血す 札幌 山岸博子
ひめむかしよもぎを揺らし列車過ぐ 島原 原田祥子
帰燕のち空広くなり高くなり 島原 林三枝子
若者の声にぎやかに島晩夏 宇城 橘一瓢
斑猫の誘ひに乗ればぬかるめり 人吉 野元八重子
マネキンの八頭身に秋来る 札幌 中山双葉子
秋の蚊に悲鳴のあがる美容院 群馬 河本育子
会釈して休まぬ掃く手涼しかり 東京 福島公夫