文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

3発目も日本…そういう狂気が日本海の向こうから確かに伝わってきていないか。

2022年06月02日 11時07分57秒 | 全般

以下は本日発売された週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も、彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである事を証明している。
日本国民のみならず世界中の人達が必読
3発目も日本
少し前、核兵器廃絶を訴えてノーベル平和賞をもらったNGOの代表ベアトリス・フィンが来日した。
趣旨からいって唯一の被爆国、日本には同情的かと思いきや、この女はやたら刺々しかった。
彼女のお勧めの核兵器禁止条約を日本がシカトした。それが気に食わなかったからか。
ただ日本はマッカーサー憲法のせいで核もまともな軍隊も持てない。
国を守るには米国の核の傘が必要なのに核禁条約に入れば核の傘からも出なくてはならない。
批准しないもう一つの理由は「唯一の被爆国の権利」だ。
再び核の脅威に曝されないよう、日本はどの国よりも優先して身を護る核をもつ権利がある。
それに非人道的な原爆を投下した米国に対し、日本は今も2発の核の報復権を留保している。
トルーマンが投じた原爆で死んだ20万のうち8割は国際法で言う非戦闘員の女子供だった。
しかも長崎では「プルトニウム型の人体実験」(米エネルギー省)もやった。
米国はその蛮行を未だに謝罪もしていない。 
日本人はあのとき必ず仇を取ると誓った。それを自ら放棄する理由はこれっぽっちもない。
フィンはそんな事情を理解もしないで、私の顔を潰すような不貞腐れは許さないと怒って言い放った台詞が凄い。
「広島、長崎に加えて日本は3発目を食らうだろう」だと。
彼女に差別意識がなければ日本で暇っぶしなどせずに、今ならモスクワにすぐ飛んで核使用を仄めかすプーチンにその思いをぶつけているところだろう。
実に姑息な女だが、ただ彼女の言った「日本が3発目を食らう」は決して非常識な言葉ではない。
根拠は実は国連憲章にある「旧敵国条項」だ。
先の大戦で連合国と戦った日、独、ハンガリー、フィンランドなどを指す。
この前歴がどれほど重いかは憲章53条の「武力制裁」を見ればいい。
例えば目下ウクライナ侵攻中のロシアだ。
この国は以前、日本が降伏したあと日本に攻め込んで今ウクライナでやっているのと同じに強姦、略奪、殺戮を恣(ほしいまま)にした。
挙句に南樺太から北方四島まで日本の領土を奪っていった。
ロシアは東欧でも共産化を拒む市民に躊躇いなく発砲し、戦車で轢き殺して喜んでいた。
そういう悪い国に憲章53条は「各国が協力して軍事制裁を科す」ことにし、ただその発動には安保理の承認を求めている。
今回もそうなるはずだったが、常任理事国のロシアが拒否権を使うから通らない。
ただ53条には後段があって、ならず者国家が日本やドイツなど旧敵国だった場合、脅威を感じた国々は「安保理の承認なしでも武力制裁をしていい」ことにしている。
旧敵国とはロシアの如き生来のならず者国家で、非行に走れば勝手にリンチしていいと言っている。
例えば日本が敵基地攻撃用ミサイルを装備したとしよう。
それを支那、北朝鮮が日帝復活の兆しと勝手に判断したら日本に核を降らせてもいいとしている。
しかもそれは国連憲章で認められた正当な行為と判断される。
いやいや旧敵国条項は30年前の国連総会で廃止が決まった、もはや死文化の条項だという声がある。 
しかし安保理はまだ廃案を決めていない。
それどころか支那の楊潔篪は尖閣に絡んで「旧敵国のくせに支那の領土を取る気か」と、旧敵国条項を使う気すら見せている。北も然り。
そんなならず者国家に敵国条項は「正義の刃」を持たせている。
それなのに日本では首相が「非核三原則があるから核論議はしない」と核報復を否定し、敵基地攻撃はいかがなものかとバカな野党が声をそろえる。
日本は3発目をぶち込んでも報復する気もないとなれば支那も北も躊躇いはないだろう。
そういう狂気が日本海の向こうから確かに伝わってきていないか。



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