文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

ところがあろうことか、公共放送のNHKがそれと反対のことを行っている。

2018年02月28日 22時35分17秒 | 日記

以下は前章の続きである。

諸葛 

NHKがベントによる大量放出の根拠の一つとしているのは、茅野政道氏(日本原子力研究開発機構)がドイツの科学雑誌『シュプリンガー』に書いた論文です。

ところがこの論文は、東大の早野龍五氏ら多くの専門家から早い時期に誤りを指摘されていました。

奈良林 

問題は、一方の見解だけを用いて記事を書いたり、番組を放送したりするメディアの姿勢です。

特に、科学報道はどこまでも事実に公平な姿勢で臨まなければなりません。

ところがあろうことか、公共放送のNHKがそれと反対のことを行っている。

しかも、139人もの専門家が間違いを指摘しているのに全く訂正しない。

これは大問題です。

この稿続く。

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NHKは何としても「日本はダメだ」と言いたいようなのですが、そこだけが先に立って勉強しないものだから

2018年02月28日 22時07分17秒 | 日記

以下は前章の続きである。

諸葛 

NHKは何としても「日本はダメだ」と言いたいようなのですが、そこだけが先に立って勉強しないものだから、細かな事実誤認や根拠不明の報道が散見されます。

こんな報道を信じた一般視聴者は気の毒。

不正確な情報を信じ、原発は何となく「危険だ」と思い込んでしまう。

牧 

吉田所長によるIC稼働の誤認に関連して、情報共有がうまくなされなかったことの失敗を問題視していますが、では、はたして吉田所長に全ての情報が集まっていたら事故を防げたのか。

私は日立でいろいろな製品の事故対応を経験してきましたが、その原則は全て現場に任せるということです。

今回の失敗の本質は、官邸や東電本社の幹部が現場に「ああしろ、こうしろ」と指示しすぎたことではないでしょうか。

官邸や本社は、現場の要望に耳を傾けて後方支援に徹すべきだったと思います。

この稿続く。

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空っぽになった原子炉の水を冷やす装置などは必要ない。なのでECCSの指針から除かれている。

2018年02月28日 22時05分15秒 | 日記

以下は前章の続きである。

たしかに米国の炉設置変更申請(196811月)において、ICは非常用炉心冷却設備(ECCS)の筆頭に記載されている。

だが、1968年と言えば、まだ原子力発電の黎明期、50年も昔の話。

日本にあった原発といえば、原研のJPDR(動力試験炉)と英国型の東海炉だけ。

軽水炉はlCを持つ敦賀一号が建設中で、ECCSという言葉は米国の安全実証研究計画で誕生したばかりの頃だ。

ECCS指針が世界でできたのは1973年、指摘の68年から5年もあとのこと。 

ちなみに日本では、lCはECCSの設備ではない。

理由は、ECCS指針が原子炉の太い配管が破断した事故に対する安全対策だから、原子炉のなかの水が短時間になくなるところを出発点とする。

空っぽになった原子炉の水を冷やす装置などは必要ない。

なのでECCSの指針から除かれている。

この稿続く。

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「日本はダメ」と言いたい

2018年02月28日 21時59分52秒 | 日記

以下は前章の続きである。

諸葛 

SAMPSONは解析コードですから、きちんと物性値データを入力しなければ答えは出てこない。

高温のデブリの物性値の根拠を示す必要がありますね。

根拠のない偏った見方を、「検証」と称してさも真実であるかのように書いていたら大問題です。

「日本はダメ」と言いたい

奈良林 

非常用復水器(IC)の記述にしても、吉田所長がICがずっと勣いていると誤認していた初動対応のまずさが一号機の水素爆発を招いた主因であり、日米の比較を持ち出しながら〈失敗から学んだアメリカと学ばなかった日本〉(P120)などといって、日本ではICの安全設計などについての正しい認識を持っていなかったと断罪します。

ところが、ICは日本原電の敦賀原発1号機にも設置されており、そこでは20回以上も正常に稼働しているのです。

諸葛 

敦賀では落雷が多くありますが、ICの作動によって事故をきちんと防いでいますね。

奈良林 

日米の差で日本がダメだったのではなく、これまで使用する必要があったかなかったかの違いこそが本質です。

「福島原発はダメだ、失敗した」ばかりで、では、同じ日本の敦賀はなぜしっかりと稼働できているのか。

公平な検証であれば、そうしたこともきちんと読者に伝えるべきです。

石川 

本では、アメリカではICは非常用炉心冷却系(ECCS)の一つに位置付けられているのに、東電ではそうなっていなかった。

日本の認識は甘いとしているが(P123)、これがまた不勉強の間違い。 

この稿続く。

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問題は、数多い消火用配管の分岐管に起きた一つのリークでしょう。漏れてよいとは言わないが、

2018年02月28日 21時49分47秒 | 日記

以下は前章の続きである。

石川 

問題は、数多い消火用配管の分岐管に起きた一つのリークでしょう。

漏れてよいとは言わないが、大きく取り上げる問題か。

特別な問題は何も起きていないのだから。 

NHKスペシャル本の著者も良心の呵責を感じたのだろう、本は注水系の抜け道をことさら強調したあとで、次のように逃げ道を作っている。 

〈1号機の注水ルートに「抜け道」がなければメルトダウンを防ぐことができたのか?答えはNOだ。吉田が官邸の武黒からの指示を拒否し、注水を継続していた局面は312日午後7時過ぎのこと〉(P187) 

注水の抜け道以前にメルトダウンは始まっていた。

しかもその後、核燃料は冷やされている。

「公平な検証」なのか

牧 

注水の遅れによってメルトダウンが進展し、溶融炉心が原子炉圧力容器底部を貫通し、格納容器下部のペデスタル床に落下、床のコンクリートを溶かし続けるMCCI(溶融炉心-コンクリート相互作用)を起こしたと書いてありますが、〈コンクリートの侵食は止まることなく、323日午前2時半には深さは3.0メートルに達した〉〈「デブリ」と呼ばれる塊になった。1号機のデブリの量はおよそ279トン〉(P188)と断定する根拠は何なのか。 

 

単に〈SAMPSONの解析では〉としか書いていないのですが、MCCIの現象は欧州を中心に世界的に研究されていますが、まだ十分に解明されておらず、ましてどのぐらいの速さで侵食するのか、反応速度式も明らかになっていない。

それを全て断定している。

一体、どのような根拠を基にしているのか疑問です。

この稿続く。

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NHKは、何でも「自分たちが初めて明らかにした」かのようにしてしまう(笑)。

2018年02月28日 21時45分27秒 | 日記

以下は前章の続きである。

牧 

NHKは、消防車による外部からの注水が、原子炉へ向かう途中で抜け道があり、十分に届いていなかった点を問題視して、〈その可能性を最初に社会に示したのは、取材班だった〉(P173)と自負します。

奈良林 

NHKは、何でも「自分たちが初めて明らかにした」かのようにしてしまう(笑)。

しかし、実際は、この事実は、事故当時から多くの職員や専門家の間で認識されていました。

当時の保安院がマスコミに配布した資料にも明記されています。

牧 

〈消防注水の「抜け道」については、他ならぬ事故の当事者である東京電力もかなり早い段階から認識しており、柏崎刈羽原発の再稼働に向けて対策を進めていた〉(P176~177)と数行だけ書いてありますが、安全審査を通った柏崎刈羽原発ではすでに対策済みです。

奈良林 

〈注水の「抜け道」という弱点に東京電力が気づいているのであれば、他の電力事業者や世界の原子力関係者にいち早くこの情報を公開し、問題意識を共有すべきではないのか〉(P177)とも書かれていますが、20136月に東電は公開していますし、東電は抜け道を特定して英訳で世界に発信する努力をしています。

この稿続く。

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一部の日付の注水減少を、特別な意味もないのに大きく取り上げて問題視する。これは、読者の誤解を煽る一種のアジ文書といえる。

2018年02月28日 21時42分45秒 | 日記

以下は前章の続きである。

誤解を煽るアジ文書

石川 

本では1号機の原子炉への注水量が不十分だった、として東電が公表している資料を引きあいに出して、注水量と実際に炉内へ入った値に大きな乖離が見られると書いてある(P171)。

だが、NHKが太枠で囲い比べている日付を見ると、乖離があるのは319日から23日で、それ以前の1718日は水量の乖離はない。 

そもそも、乖離が見られるのは事故から1週間以上が経過した19日から。

もうメルトダウン(炉心溶融)はとっくの昔に過ぎて、溶融炉心は落ち着き始めている。

そこにきて、一部の日付の注水減少を、特別な意味もないのに大きく取り上げて問題視する。

これは、読者の誤解を煽る一種のアジ文書といえる。

諸葛 

全くです。

1号機では、311日の夕方から12日にかけてメルトダウンしてしまっています。

圧力容器から格納容器まで燃料が落ちているので格納容器の圧力が下がり、原子炉への注水が入りやすくなった。

実際、315日以降は毎時19立方メートルほどの水が、溶け落ちた核燃料を冷やしています。

この稿続く。

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この本でNHKが言いたい核心の一つでしょう。 死人に鞭を打つ許し難い書き方です。

2018年02月28日 21時33分30秒 | 日記

以下は前章の続きである。

諸葛 

そのNHKスペシャル「メルトダウン」取材班が、昨年、『福島第一原発1号機冷却「失敗の本質」(講談社現代新書)を出版しました。これを読むと、全く反省することなく、同じ報道姿勢を繰り返しています。

奈良林 

この本を私も読みましたが、タイトルからして違和感を覚えました。

1号機の冷却に失敗したことがまるで全ての事故の始まりであり、「福島を汚染した原因だった」と読者に錯覚を与えてしまいます。

これまで述べてきたように、原因は2号機なのです。

失敗を繰り返しているのはNHKです。

諸葛 

本の帯に〈1000人以上の関係者取材とAIで解析した独自調査でつかんだ衝撃の新事実〉と、NHKは「俺たちが初めて知ったことは“衝撃の新事実”にしてしまう(笑)。

石川 

帯にはこうも書かれている。

〈吉田所長の英断「海水注入」で原子炉に届いた水はほぼゼロだった!〉。

さらに本文でも、〈吉田の”英断”は1号機の冷却にほとんど寄与していなかった〉(P168)と。

奈良林 

この本でNHKが言いたい核心の一つでしょう。

死人に鞭を打つ許し難い書き方です。

吉田所長の名誉のために申し上げておきたいのですが、たしかに注水は十分ではなかったかもしれません。

しかし、注水は決して無駄ではありませんでした。

東電の第5回進捗報告で、1号機の注水流量に関して、従来解析で仮定していた流量よりも多かったという結果がきちんと示されています。

一号機で水素爆発が起きた312日と海水注入前の314日を除くと、少なくともゼロではありません。

この稿続く。

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この放送は朝日新聞の吉田調書についての大誤報に匹敵します。

2018年02月28日 21時24分51秒 | 日記

以下は前章の続きである。

嘘を報道しっぱなし

奈良林 

実はこの写真は、2015年に行われた日本機械学会のシンポジウムのものです。

こうした写真もデータも全てNHKに示したのですが、NHKは一切反省することなく、「我々は専門家にきちんと取材した。番組で言っていることは正しい」の一点張り。

自分たちの主張と異なる専門家の意見を一切聞こうとしない。

これは公共放送としての科学取材とは到底言えません。 

NHKに協力した専門家の人たちも「こんな使われ方をするとは思わなかった」という不信感を抱いているように、NHKはあらかじめ自分たちが描いたシナリオに基づいて、素人判断で都合よく素材をつまみ食いして番組を作ったのではないか。

この放送は朝日新聞の吉田調書についての大誤報に匹敵します。

牧 

いま原発の新規制基準では、奈良林さんの尽力もあって排気中の放射性物質を1000分の1まで除去するフィルターベントが安全対策の柱に位置づけられていますが、もしNHKのこのシナリオが世の中に広く認知されてしまったら、ベントが汚染原因だと思い込まれて「ベントを外せ」となりかねない。

大変な事態を招く畏れがあることの自覚がNHKにあるのか、と問いたい。

奈良林 

それをNHKはいまに至るまで、一切訂正も謝罪もしていません。

結果が公表されて、いわば嘘であることがはっきりしても訂正せず、報道しっぱなしです。

この稿続く。

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我々は、解析したデータも全てNHKに提出している。それでもNHKは一切誤りを認めない。

2018年02月28日 21時11分22秒 | 日記

以下は前章の続きである。

奈良林 

さらに、番組内でベンドの可能性に言及していたエネルギー総合工学研究所の内藤正則氏もこう述べています。 

「大量放出には多くの原因があるかもしれない。そのひとつとして、3号機の地下埋設管に溜まった水がべントによって押し流されたということはあるのではないか―。私が言ったのはそういう可能性のひとつとしての話で、それが全体の10%もの放出を引き起こしたと断定したのだとしたら、明らかな間違いです」(『週刊新潮』2015年2月12日号)

根拠を示さない

牧 

我々は、解析したデータも全てNHKに提出している。

それでもNHKは一切誤りを認めない。

遂に「そこまで仰るなら科学的な技術解析書を出してください」とエビデンス(根拠)を求めました。

すると回答書には、〈番組にご協力いただいた専門家の方々の科学的見解につきましては、これまで3度にわたる回答で、可能な範囲でご説明していますので改めてご参照ください〉と。

これが公共放送の姿勢ですか。

訂正する気など毛頭ないばかりか、その最後にはこう書いてきたのです。 

〈こちらの回答を顧みることもなく番組に対する批判を繰り返していることにつきましては、当協会としてきわめて遺憾だと考えていることをお伝えいたします〉 

傲慢な態度に愕然としました。

諸葛 

NHKは科学的な技術解析書が出せない。

にもかかわらず、いまでは「3号機の5回目のベントが原因だった」と言わなくなってしまった。

それどころか、一切の訂正もなく、知らん顔で大量放出の原因は2号機にあったとの見解をとっている。

奈良林 

NHKの態度が変わったのは、20151217日に東電が第4回進捗報告で、「3号機の5回目のベントは空気圧がなくなり空気作動のベント弁が開かなかった」と発表したからです。

さらに昨年1224日の第5回進捗報告で、5回目ベント時の3号機の写真が公開されました。

それを見ると、スタック(煙突)から蒸気が一切出ていないことが明確にわかります。

石川 

ベントをすれば、蒸気は出る。

この稿続く。

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似ても似付かぬ実験にもかかわらず、NHKはこの結果を基に「原発に構造的弱点有り」と断じる。

2018年02月28日 21時02分14秒 | 日記

以下は前章の続きである。

意図的な“やらせ”

石川 

実機のベント管は直径35センチもある太い管だが、実験は細い管で行っている。

圧力や温度条件も実機と違いすぎる。

似ても似付かぬ実験にもかかわらず、NHKはこの結果を基に「原発に構造的弱点有り」と断じる。

牧 

科学的な論拠がない「仮説」を構築して、実機では起こり得ない事象を「実験」で見せた一連のシナリオは、NHKと出演した専門家による意図的な”やらせ”と疑われても仕方ありません。

 

視聴者はこのようなことはわかりませんから、それがあたかも真実であるかのように思い込んでしまいます。

石川 

我々は番組に対する問題点をまとめ、詳細な解析データも添付して、NHKに要望書として提出したのだが、NHKは誤りを一切認めない。

何度申し入れても、聞く耳を全くもたなかった。

奈良林 

「多くの専門家の意見を闘いて作った番組だから問違いない」という態度でしたね。

諸葛 

「NHKが悪いのではなく、専門家の人たちが言ったことを私たちは番組にしただけです」と、そういう言い方で責任転嫁した。

奈良林 

ところが、NHKから取材を受けた専門家、たとえば実験を行った東京海洋大学の刑部真弘教授に確認したところ、「私はNHKが業務委託でやってくれというから、実験をやった」との回答がありました。

しかも刑部教授は、「自分は原子力の分野から離れて20数年経っているので、詳しいことは専門家に訊いてほしい。もう二度とNHKから頼まれでもやりません」と嘆いていました。

石川 

つまり、専門家が専門家でなくなってしまっている。

そんな人物をNHKは頼りにした。

双方が罪のなすりあいをしている。

*NHKと朝日新聞は全く一緒であるとの私の論説の正しさを読者は痛感するだろう*

この稿続く。

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NHKは、ありもしない3号機の5回目のベントをでっちあげたうえに、その主張を押し通すために専門家を集めて

2018年02月28日 20時55分24秒 | 日記

以下は前章の続きである。

諸葛 

NHKは、ありもしない3号機の5回目のベントをでっちあげたうえに、その主張を押し通すために専門家を集めて実験をさせています。

牧 

細い配管に放射性物質を含んだ蒸気を流して、水が溜まる様子を実験で見せ、排出された水のヨウ素の量を計測して、ナレーションで〈1回目よりも10倍以上になっていた〉という結果を報告しています。 

ところが、実機の条件では、どう頑張ってもNHKの出した結論にならないのです。

実機ではベント弁を開くと、格納容器内圧と大気圧との圧力差によって約260トンもの蒸気が高速で流れるため、残留水は一瞬にして吹き飛ばされてしまう。

管のなかに水が溜まらないのです。

この稿続く。

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NHKのさらなる嘘は、この大量放出の原因が「15日午後4時に行われた3号機の5回目のベントにある」という点です

2018年02月28日 20時51分19秒 | 日記

以下は前章の続きである。

石川 

NHKのさらなる嘘は、この大量放出の原因が「15日午後4時に行われた3号機の5回目のベントにある」という点です。

奈良林 

実際の大量放出は、15日午前9時頃から始まりました。

前日の激しい水素爆発で破損した原子炉建屋上部から蒸気を出している3号機に加え、2号機のブローアウトパネル(原子炉建屋側面の四角い開口部)から出た多量の蒸気が汚染の主因です。

特に、同日午後は2号機の格納容器の放射線量が130シーベルトを超えており、その汚染された蒸気が16日にかけて放出されています。こんなことは少し真面目に取材をするか、調査報告書を読めば誰でもすぐにわかる事柄です。

石川 

20116月に、保安院は各号機ごとの放射性物質放出率を正確に公表している。

格納容器が破損した2号機からの放出が大きく、全体の90%を占め、3号機はわずか3%に留まる、と。

一方の見解だけで番組に

奈良林 

読者のために説明しますと、ベントというのは格納容器の圧力が高くなったら放射性物質を含む気体の一部を外に出す措置のことです。そのまま排出してしまうと放射線量が高いので、水を通すことで放射線量を100分の1以下まで下げる(ウェットベント)。

この水が「圧力抑制プール」と呼ばれるものです。

格納容器を囲むように「ドーナツ型」に設置され、その量は3000トンにもなります。

牧 

1号機および3号機では圧力抑制プールを通したベントに成功し、放射性物質の放出拡大は国際放射線防護委員会(ICRP)の避難勧告最低値付近に抑えられました。

他方、運転員の懸命の努力にもかかわらず、2号機はベントに失敗したために直接、原子炉格納容器から放射性物質の大量放出に至ってしまった。

ところが、NHKの放送を見ると逆で、まるでベントをしたことが放射能汚染をもたらした元凶のように報じている。

この稿続く。

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知らないのはNHK一人だけで、調査もせずに「知られざる真実」とは、厚顔も甚だしい。

2018年02月28日 20時37分48秒 | 日記

以下は前章の続きである。

奈良林 

番組冒頭のナレーションはこうです。 

〈これまで放射性物質の大半は、最初の4日間で放出されたと考えられていました。今回、新たなデータを解析し、専門家とともに映像化。結果は衝撃的なものでした。最初の4日間で放出された放射性物質は、全体の25%に過ぎませんでした。その後、2週間にわたって全体の75%もの放出が起きていたのです。この知られざる大量放出はなぜ起きたのか、その原因として強く疑われたのは原発にひそむ構造的な弱点でした〉 

まず、これが嘘の始まりです。

石川 

15日以降の大量放出は、早くから東電の報告書にあり、原子力学会の事故調査報告書にも書いてある。

知らないのはNHK一人だけで、調査もせずに「知られざる真実」とは、厚顔も甚だしい。

奈良林 

〈これまで放射性物質の大半は、最初の4日間で放出されたと考えられていました〉―そんなことは誰も思っていません。

NHKだけが思い込んでいるとしたら、いったいどんな取材をしているのか。

15日から放射線量が上昇したことは、もはや公知の事実でした。

諸葛 

放射性物質の多くが15日以降に放出されたことは、学術論文にも書かれている。

おまけに、15日の11時には当時の菅直人総理が緊急記者会見を開き、「放射性物質が大量に出ているから20から30キロ圏内の人は屋内退避してください」と呼びかけていました。

もちろん、NHKはこの会見を報道していますから知らないわけがない。

奈良林 

現場に介入して事態を混乱させたり、311日に官邸で「臨界って何?」と、臨界について勉強していた菅直人氏でさえ知っている事実を、あたかも新発見であるかのように放送する。

異常ですよ。

この稿続く。

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シベリア抑留者に対して徹底した思想教育(赤化教育)が行われたのは、広く知られているとおりである。

2018年02月28日 20時30分47秒 | 日記

以下は前章の続きである。 

この番組の骨格をなしているのが、「「バロフスク裁判の音声記録」である。

同裁判における法廷でのやりとりを録音した磁気テープが、モスクワの「ロシア国立音声記録アーカイブ」で新たに発見されたというところから、この番組は始まる。 

731部隊に所属していた人々の多くは、ソ連軍の満州侵攻によって捕虜となり、シベリアに強制連行された。

いわゆる「シベリア抑留」である。 

その後、彼らは通称「ハバロフスク裁判」によって、戦争犯罪人として訴追されることになる。

裁判の期間は19491225日から30日までの6日間。

戦勝国であるソ連が主導した軍事裁判である。

この法廷では、日本のソ連に対する軍事行動が幅広く断罪の対象となったが、そのなかで731部隊も扱われたのであった。 

今回、モスクワで見つかったというこの磁気テープには、731部隊や関東車の幹部であった者たちの証言がたしかに録音されている。これまで同裁判の詳細は不明な点が多かったから、その内容が判明したという意味において、この発見が貴重なものであることは間違いない。 

音声記録のなかにあったのは、「びらんガスを人体実験に使用した」「乳飲み子のいるロシア人女性を細菌に感染させた」「中国の軍隊に対して細菌武器を使用した」といった肉声の数々であった。 

問題となるのは、その内容をどう解釈するかである。

ソ連による思想教育 

前述したとおり、ハバロフスク裁判が始まったのは1949年の年末であり、被告はすでに4年もの抑留生活を送っていたことになる。 

シベリア抑留者に対して徹底した思想教育(赤化教育)が行われたのは、広く知られているとおりである。

抑留者たちの引揚港となった舞鶴港では、港に立つと同時に、「天皇島上陸!」と叫ぶ者たちが少なからずいたとされる。

いわゆる「赤い引揚者」である。

長期にわたる苛酷な思想教育の結果、抑留者のなかには共産主義に染まった者たちが大勢いた。

昭和史の哀しき逸話である。 

抑留生活中には、短期間で共産主義に感化される者もいれば、一日でも早く帰国するため、面従腹背で矯正されたフリをした者も多くいたという。

いずれにせよ、抑留という極めて特殊な状況下において、ソ連側の意向に反する主張や行動をすることなど不可能であった。 

ハバロフスク裁判とは、そんな状況が4年も続いた末に開廷された裁判であった。

法廷に自由な言論などあったはずがない。

これは極めて重要な歴史的側面である。

この部分を無視、あるいは軽視しては、等身大の史実に近付くことなどできない。

これは、シベリア抑留史に関する研究の常識でもある。 

しかし同番組では、裁判の肉声に以上のような観点が全く加えられないまま話が進められていく。

この稿続く。

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