円がリスク回避先に成り、事有るごとに円高になる事については「文明のターンテーブル」に書いた通りですが、
この時に日本株には猛烈な空売りが掛けられ、株価は一体何なんだと言うぐらいに下がる訳です。
日本の株式市場は下がるのに2日、元に戻るのに1年等と言う、とんでもない市場なのです。
この間に東証の70%を占める外資勢がどれだけ莫大な利益を上げるかは自明のことでしょう。
20代の洟垂れ小僧が年収5,000万円を稼ぐ裏に、30歳に成っても定職もなく年収200万円以下の若者が、この20年の間に1,000万人を超えた。
常に空売りを掛け続けられていた結果として日本の株価は四半世紀前の水準に未だに戻っていないという信じ難い事実が在るのです。
株式市場を蔑視し続けて来た日本の官民の愚かさの結果です。
この間、欧州の資金を日本株に投資しているファンドの英国人マネージャーは「日本株はabsolutely return(絶対的に利益が確保できる)なのだ」と言及していました。
そのやり口は先物に空売りを掛け現物株を買うと言う単純な物ですが。
バフェットは日本株に対する投資は日経先物への空売りのみだと。
常に空売りを掛けられているから日本株は上がる訳がないのです。
世界一の日本の個人資産1,500兆円は今や目減りして1,000兆円だと言う者もいますが、もし、そうだとしたらこの25年間、日本の莫大な国富は、そのようにしてかすめ取られたのです。為替で振って儲け、翌日空売りで更に設ける。莫大な利益でしょう。
だから誰にも遠慮は要らない、と言うのです。
米国からすれば自分達が超大国にした日本が何時まで経っても自国に屹立する経済的覇権国家として世界をリードして行こうとしないのだから、自国から生まれた富は自国に戻してしまえ、だったのでしょうが。
米国と並ぶ政治的、経済的に最も安定した国、日本で絶対的に莫大な利益を得て、そうではないリスキーな新興国で安心して大きなリスクを取って更に稼ぐ。
つまり日本株でヘッジを掛けている訳です。
カモにされ、踏み台にされ続けた25年間なのです。
その証拠に70%を占める外資が主人公である市場は、数カ月もかけて、やっと上がってきたかと思うと、直ぐに過熱云々と言いだしますが、短期間で地獄の底に真っ逆さまに下げる事に対しては過冷とは決して言わないのです。
昨年、或る分野のトップ名門企業が、倒産するのかと言うぐらい下落を続けた事が有りました。
それから程なくして東証から空売り情報が公示されたのですが、僕は、それを見て呆れました。
或る外資トップ企業がその企業の総発行株式数の3.5%もの空売りを掛けていたのです。
ざっと計算しても、この外資は、この一銘柄だけで数ヵ月の間に40億円超は稼いだでしょう。
20代の洟垂れ小僧に年収5,000万円を出すなんぞは屁の河童な訳です。
強欲や悪行は人の心の隙をついて為されるものです。
日本の官民、日本の中枢…僕の同級生や先輩の事ですが…が、己の保身や、それゆえの視野狭窄に陥り、日本人の伝統の様にして、資本主義国でありながら、その根幹である株を蔑視して来た結果が、日本の失われた20年でもあります。
そして、その結果として7人に1人が貧困者等と言う悲惨な今が在るのです。