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友好に名借りた「侵略」見つめる時…日中50年の節目に…日本の信じ難い姿勢…日本は覚醒できるか 

2022年09月30日 19時12分07秒 | 全般
以下は今日の産経新聞「正論」に、友好に名借りた「侵略」見つめる時、と題して掲載された門田隆将の論文からである。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。
日中50年の節目に
日中国交正常化50年の節目を終え、日本と中国は新たな50年に踏み出した。当時、文化大革命が全土を疲弊させ、中ソ対立で核攻撃の寸前まで追い込まれていた中国と、世界第2位の経済大国として高度成長を謳歌していた日本。
国交開始で局面打開に成功した中国は日本の援助と技術提供で徐々にインフラを整備し、国力をつけていく。 
日本はその後、昭和54年から32年間も中国の世界最大の援助国であり続けた。
ODA(政府開発援助)の総額は3兆6千億円を超え、両国のGDPが逆転した平成22年以降も続き、完全に終了したのは今年3月末のことだ。 
だが、日本は感謝されるどころか、8月初めには、日本のEEZ(排他的経済水域)内に弾道ミサイルを5発も撃ち込まれた上、「同水域は日本のEEZと認めていない」と言われ、さらに9月初めには日本固有の領土である国後島と択捉島でロシアとの共同軍事演習を実施されるまでに至った。
日本を舐め切った態度は今年3月7日、記者会見で王毅外相が言い放った「日本への3つの忠告」に象徴されている。 
①両国関係の方向に初心を忘れないこと
②台湾や歴史問題で両国関係に衝撃を与えないこと
③冷戦同盟(筆者注=日米同盟のこと)は支持を得られない。
火中の栗を拾わず、時代の潮流に沿って行動することー中身と言い、態度といい、相手国を尊重し、敬意を持って接するという外交当局者としての基本と最低マナーさえ欠如していることを示すものだった。
しかし、日本の林芳正外相はその中国に対して「建設的かつ安定的な関係を目指す方針は両国とも一貫している。課題があればこそ日中首脳会談を行うべき」とラブコール。
5年に1度の中国共産党大会を控えて外交で失点続きの習近平国家主席に対する”支援”を行った。
ミサイル撃ち込みでも国家安全保障会議を開かなかった岸田文雄政権は「50周年」を寿(ことほ)ぐ姿勢を堅持しているのだ。 
日本の信じ難い姿勢 
なぜ宗主国と属国のような関係になったのか。
日本の信じ難いこの姿勢は今に始まったことではない。
令和元年末に公開された外交文書には興味深い記述がある。
昭和63年8月、竹下登首相の訪中に至るまでの経緯である。
竹下首相と中島敏次郎・中国大使はこんなやりとりを行っていた。
中島「国内的に困難な事情があることは十分理解しているが、訪中直前ということもあり、靖国参拝は絶対に避けていただきたい」 
竹下「その点はよく心得ている。ただし、絶対に外に言ってはならない」 
また、竹下氏に提出された村田良平外務事務次官の中国出張の報告書の中には「中国訪問時に経済協力を打ち出す際には、中国側が受け入れやすい表現で謙虚な伝え方がよいと考える」との文言もあった。
中国への援助とは日本が「させていただく」ものなのだ。 
その後、平成元年6月4日の天安門事件でも日本は中国の味方であり続けた。直後のアルシュ・サミットでは大規模な経済制裁に反対し、閣僚級の往来禁止などの小規模な制裁に止めさせた。
そしてその小規模な制裁さえも解除させることに日本は尽力した。 
当時の銭其琛外相がのちに著した『外交十記』には、平成4年10月の天皇訪中が実現した意味がこう告白されている。  
〈日本は西側の対中制裁の連合戦線の最も弱い輪であり、中国が西側の制裁を打破する際におのずと最もよい突破口となった。当時、われわれは日本がこの方面で一歩先んじていくように仕向けていた。(略)日本の天皇がこの時期に訪中したことは、西側の対中制裁を打破するうえで、積極的な作用を発揮したのであり、その意義は明らかに中日の二国間関係の範囲を超えたものだった〉 日本は覚醒できるか 
天皇の政治利用という歴史に残る失敗を当時の宏池会・宮澤喜一政権は犯したのである。
昭和54年にODAを始めたのも宏池会の大平正芳政権であり、現在の岸田政権もまたしかり。
私は深い懸念を抱かざるを得ないのである。 
独裁国・中国では企業の事業進出等、すべてに中国共産党の許可が要る。
企業は顔が利く政治家を通じて中国の許可を得るしかない。
政治家は日本企業からも、中国からも感謝され、利権に与かることになる。
その半世紀の”成果”が私たちの目の前にある。 
すでに共産党機関紙『人民日報』は平成28年段階で〈琉球の地位は未定。日本の沖縄”と呼んではならない〉と論評し、系列の環球時報は〈沖縄の民衆の正義の訴えは二度と無視されてはならない〉との社説を掲げている。
分断は着々と進んでいるのだ。
今後、ウイグルと同じ運命を辿(たど)らないことを誰が断言できるだろうか。
国際間の相互主義の原則から外れた中国人による不動産買い漁りや企業買収など、友好の名のもとに「侵略」を許してきた政治家と、国民の覚醒を心より願う。 
   




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