以下は、月刊誌Hanadaに掲載されている、堤曉氏と久保紘之氏の名物対談記事からの抜粋である。
前文省略。
バイデンは最悪の大統領
編集部
ここらで国内外の政治についても。
久保
昨年12月16日に、安倍昭恵夫人とトランプが面会したでしょう。
石破は総裁選の時に全く似合わない寅さんのコスプレで人気を取ろうとしたけど、裏切り者の烙印を押されたままだった。
一方、アメリカのトラさんは安倍の功績を改めて称え、その死を掉み、終生変わらぬ友情を夫人に伝えるなど、実に義理人情のある男を演じてみせたな。
つまり、トランプが日本のお株を奪っちゃった。
これで日本人のトランプファンは増えたと思うよ。
琴線に触れるんだよ。
裏金問題ですっかり尾羽打ち枯らしたかに見える旧安倍派も、少しは元気づくんじゃないかな。
堤
アメリカは石破を迎える準備をしていたのに、石破サイドがそれを断ったと聞いた。
「大統領に就任して戦略を練ってから」などと言っているそうな。
久保
一方で、中国には媚びを売っている。
ビザ緩和もそうだし、岩屋毅外相を北京に行かせておべんちゃらを言わせたり、二月に王毅を来日させようとしたり。
編集部
中国側が日本人のビザを緩和したのは向こうの事情。
何もすぐ、日本が緩和する必要もない。それも十年ですから。
久保
石破の一番悪いところは、小手先の権謀術策をやるところ。
60年安保の時に、花田清輝が『「慷慨談」の流行』で「アメリカがダメならソ連があるさ」みたいなことを言って、竹内好が激怒したことがあった。
「あくまでも日本民族の自分だけの力を頼もうではありませんか」(『戦いのための四つの条件』)とね。
編集部
岩屋は日本のIR事業をめぐる汚職事件で、中国企業からの収賄疑惑が浮上した。
きっかけは、アメリカ司法省の捜査情報。
岩屋自身は国会で追及され、「全く身に覚えがない」と否定しましたけどね。
堤
トランプは中国と事を構えるつもりでやっている。
パナマもグリーンランドもその一環だ。
そんな時に、石破や岩屋は中国に媚びを売る。
いかに石破や岩屋が阿呆なのかがわかる。
アメリカの主敵は中国だ。
ロシアではない。
なのに、バイデン政権は東西冷戦時代のネオコンの考えで口シア、プーチンを刺激してウクライナ戦争を招き、ために物価が高騰する原因を作った。
先月号でも言ったけど、バイデンは米国史上最悪の大統領だよ。
挙句、さらにおバカなのはUSスチールの売却を阻止したことだ。
これでニンマリ笑っているのは中国だ。
世界の粗鋼生産のトップテンのうち中国企業が六社も入っている。
かつて俺の大学時代の友人が、中国の宝山製鉄所に鉄の作り方を教えに行った。
「ここから先はわが社の特許だから教えられない」と言うと、中国側は「お前は日中友好の精神に反する」と責める。
本社とのやり収りも盗聴されるから、暗号でやり取りしたと言っていた。
日本製鉄のUSスチール買収は、むしろ買収というより投資と捉えるべきで、USスチールにとっては「救い」だよ。
業界24位のUSスチールは、このままでは立ち行かなくなる。
業界4位の日本製鉄の「救い」を受けて一緒になったほうが、生産も雇用も生き残れる。
だからこそ、両社の合意が成立した。
なのにバイデンはいち早く「反対」を表明し、挙句、大統領令でこれを禁止した。
これで思い出すのは以下の事実だ。
バイデンが副大統領の末期、息子のハンターを連れて訪中した。
帰国後ほどなく、中国企業からハンターが経営するヘッジファンドに 15億ドルが振り込まれた。
これが効いているんじゃないか。
ちなみに、ハンターは九つの罪状を抱え、量刑言い渡しの直前、バイデンは息子ハンターに恩赦を与え、彼が抱えるすべての罪を帳消しにした。
かねて「息子に恩赦は与えない」と公言していたにもかかわらずだ。
バイデンの禁止令で事が終わったわけじゃない。
両社はバイデンの「禁止令」を不当として提訴し、問題を審議する米国委員会も、六月までに結論を出すとしている。
さっき述べたように、買収というより実態は投資で、トランプはかねがね「外国からの投資は大歓迎」と言っているんだから、選挙中こそ反対を表明していたけど、態度を変える可能性もあるんじゃないかな。
後略
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