(宝塚歌劇の映像や音楽、グッズなどを紹介するフリー冊子・
「TCA PRESS」10月号の表紙が
今作の雰囲気ズバリなので載せてみました)
8月の大劇場千秋楽ライブ中継からの
今回は待望の生舞台です。
上海の総合料理チェーン“大金星(グランド・ゴールデン・スター)グループ”の総帥にして、
三つ星天才料理人として世界にその名を馳せるホンは、
ある時弟子のリーに裏切られ、これまで築き上げてきた全てを失ってしまう。
シンガポールの下町へと流れついたホンを助けたのは、
行方不明の父親に代わって、自ら食堂を切り盛りするアイリーンとその仲間たちだった。
高慢なホンと気の強いアイリーンは反発しあいながらも、
料理に情熱を燃やす者同士次第に心を通わせていき、力を合わせて店を大繁盛させるのだった。
やがて、ホンとアイリーンは世界最高の料理人を決める“ゴッド・オブ・スターズ”へ参加する資格を得る。
しかし、ホンの存在に気づいたリーの策略で、
ホンとアイリーンは離ればなれになり、ホンは行方不明になってしまう。
アイリーンはホンの名誉のためにコンテストへ出場することを決心する。
果たしてアイリーンは、そしてホンは、星を取り戻すことが出来るのか…。
上海、マカオ、シンガポール、ドバイ等のゴージャスでスタイリッシュな現代のアジアを舞台に
華やかに描き上げる、アジアン・クッキング・コメディー。
(宝塚歌劇HPより)
星組公演 『GOD OF STARS-食聖-』『Éclair Brillant(エクレール ブリアン)』 初日舞台映像(ロング)
さゆちゃん(紅ゆずる)の希望で退団公演のしんみり感が一切なく、
皆でわいわい賑やかなシーンの多いドタバタ的なコメディですけど
俺様キャラのホンが
アイリーンやその仲間たちと出会い変わっていき、
仕事熱心な子だくさんのイクメンにまでなってしまう
とってもハートウォーミングなお話。
もうこれはさゆちゃんの真骨頂、
さゆちゃんならではの舞台になりました。
なんたってトップスターが赤ん坊(もちろん人形)をおんぶしている姿なんて
初めて目にしましたよ。
これができるのは
ゆうちゃん(真飛聖)か
さゆちゃんしかいないでしょう。
いやゆうちゃんも怪しい(笑)
健康サンダルを手に
カンフーで立ち回るトップ娘役も初めて見ました。
さすがさゆちゃんの相手役・あーちゃん(綺咲愛里)です。
さゆちゃん演じるホン・シンシンは
実は魔界のプリンス、紅孩児(こうがいじ)(「西遊記」の登場キャラ)。
やんちゃの末に地上に落ちて記憶をなくし、
大金星グループCEO、エリック(専科の華形ひかる)に助けられて
看板シェフになったという設定です。
最後は
アイリーンの店がある屋台街を買収して
食のテーマパークを作ろうともくろむ敵役のエリックも味方へ、
天界組、地上組総出で賑やかな大団円。
ハッピーエンドすぎて、
さゆちゃん、次回作もあるんじゃ?と錯覚しそうになります。
退団公演では
主人公(トップスター)が去って行く、という演出が多いですからね。
唯一退団風味だったのが
コンテストで勝利し、星を取り戻したホンが
自分を裏切ったリー(礼真琴)に
「星なんていらない。おまえにくれてやる!」と
その星メダルを手渡すシーン。
さながら
さゆちゃんからまこっちゃんへ
星組の継承バトンを渡すかのようでした。
アイリーンが母親から絵本を読んでもらうシーンから物語が始まりますが、
アイリーンは「シンデレラ」より「西遊記」を選びます。
「孫悟空が好きなのね」という母親に
「孫悟空じゃなくて紅孩児が好き。
大きくなったら紅孩児と冒険するの!」と宣言、
そこから地上と天界、
二つの世界が交錯して物語が進んで行き、
結果アイリーンは幼き日の夢が叶ったわけ。
西遊記と現代の話を融合させた
作・演出の小柳先生の着眼と展開に感心しますが、
なぜ紅孩児を主役に?
そもそも紅孩児って何者?と気になる方はいませんか?
西遊記に詳しくない私、ちょっと調べてみましたよ。
紅孩児は炎を操る魔物。
「西遊記」では紅孩児は子供の姿をしているようですから
小柳先生がさゆちゃんに合わせて脚色したと思われます。
ついでに、
紅孩児の両親・牛魔王と鉄扇公主のエピソード、
牛魔王にたぬき顔の愛人がいるというのは実際の西遊記にあるようです。
専科の汝鳥さん・牛魔王が
組長の万里さん・鉄扇公主の尻に敷かれている感じが
なんとも微笑ましいですね。
これを機に「西遊記」を読んでみてもいいかも。
さて、気づいたことあれこれ。
舞台はシンガポール。
マーライオンの後ろの夜景がきれい。
特に花火。
大道具さん、いい仕事しましたね。
アイリーンが焼いたクッキー(おそらく超マズイ)を
アイリーンに隠れてホンが投げ捨てるシーン、
さゆちゃんがなんかカッコいい。
に限らず、
相変わらずさゆちゃんは
何気ないシーンでもいちいち決まってる。
ホンに代わり大金星グループの看板シェフとなるも
ホンにはかなわないと自信の持てないリーが
ホンの持つ力の一つとしてあげたのが
「人を丸め込むトーク力」。
リアルにさゆちゃんがそうなので
妙に納得(笑)
そんなリーは中華料理学院の主席だったことが自慢。
実際まこっちゃんは主席入団したそうで、
知ってる人はクスッとなる。
「ANOTHER WORLD」「鎌足」に続き
みつるくんが出演。
さゆちゃんの指名なのかしら?
気心知れた感がありました。
名前だけに華があるし。
ショーでも活躍でしたね。
少林寺ならぬ小林寺(こばやしでら)はウケる。
宝塚歌劇の創業者・小林一三氏に敬意を表して?
そういえば
星組に配属された新入団の105期生、稀惺(きしょう)かずとくんは
(松岡)修造さんの娘さんで
小林氏の玄孫にあたります。
阪急交通の貸切公演だったので
幕間に抽選がありましたが、
お手伝いにかずとくん登場。
緊張気味の初々しいかずとくんでした。
ちなみに
舞台ではホンとアイリーンの子供たちのうちのひとりです。
現在3番手位置のせおっち(瀬央ゆりあ)、
アイリーンの従兄弟で、ご当地アイドルのメンバー役ですが、
「鎌足」で中大兄皇子という大役を務めて頑張ったのに
今回ちょっと微妙な役で残念。
満漢全席で料理対決、
高級食材を探す旅に出たはずが
ホンの料理はまさかの餃子。
満漢全席はどうした?と思わずツッこみそうに。
中身はなに?と気になる。
番組はかの「料理の鉄人」風味。
私の記憶が確かなら・・・
美味しゅうございます・・・
知ってる人は知ってる名台詞。
小ネタありすぎて書き切れません
‘しんみり’はない代わりに
笑いはふんだん。
最後の日まで
ファンに幸せを届けたいというさゆちゃんの思いが詰まった舞台を
客席で楽しむことができて
本当によかったです。
あと3日
(まさかの)つづく。
今さらなのに
長くなってごめんなさい~。