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【関連した過去動画】 西洋哲学史 古代ギリシャ哲学解説【プラトン】① 〜イデア論・善のイデア〜 https://youtu.be/cbAuGHu64ao 西洋哲学史 古代ギリシャ哲学解説【プラトン】② 〜洞窟の比喩・魂の三分説〜 https://youtu.be/380PhfEu70Q 【オススメ書籍】 国家 上 (岩波文庫) https://amzn.to/3cNHEMY 饗宴 (岩波文庫) https://amzn.to/2zeF3wP とっつきづらい哲学や心理学の内容を、出来るだけわかりやすく完結に お伝えすることを目的としたチャンネルです。 チャンネル登録、高評価、拡散、ぜひぜひ宜しくお願いいたします。 Twitter https://twitter.com/tetsugaku_ch ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・国家における魂の三分説 プラトンは人間の魂には3種の性質があると主張しましたが 国家にも同様のことが言えると考えました。 まずプラトンは、国家を構成する人間には3つの役割があり、 守護者(統治者)・軍人・生産者 のそれぞれに分かれると考えました。 そして正しい国家とは、 守護者(統治者)が理知的部分【知恵】を持って統治をし 軍人が気概的部分【勇気】を持って戦い 生産者が欲望的部分【節制】を持って暮らす これができている国だと考えたのです。 そして、これが成り立っている調和状態が正義であり徳であると説きました。 理知が正しく働くと知恵という徳が現れ、 間違ったほうに働くと無知という悪が現れる。 気概が正しく働くと勇気という徳が現れ、 間違ったほうに働くと臆病という悪が現れる。 欲望が正しく働くと節制という徳が現れ、 間違った方に働くと放縦という悪が現れる。 それぞれの立場にいる人間が必要な魂を正しく活用することで 国としての理想の形が実現できると考えたのです。 そして、その状態が成り立っている国家体制を【優秀支配制】と表現し、 理知が欠落し、勝利や名誉ばかりを追い求める国家体制を【名誉支配制】 気概もなくなり欲望が先行し、貧富の差が拡大する国家体制を【寡頭制】 貧富の差に我慢できなくなった民衆が国家を取り戻すことによって 発現する国家体制を【民主制】 最後に愚かな民衆が国のトップを選ぶことで独裁者が生まれる国家体制を 【僭主制】と名付けました。 プラトンは優秀支配制が国家としてのあるべき姿だと考え、 そこから必要なものが欠如していくたびに、 悪質な国家体制になると考えたのです。 面白いのは民主制が下から二番目に位置していることですね。 ここからも、民主制によって処刑されたソクラテスを 如何に尊敬していたかが見て取れます。 そしてプラトンは、優秀支配制を成り立たせるためには 国のトップが哲人王である必要性を主張したのでした。 ・哲人政治 プラトンは 『哲学者が王となるか、王が哲学をやるか、このどちらかでないと国は不幸になる』 と主張しました。 王となるものは幼少の頃から様々な学問を学ぶべきであり、 その中でも【哲学】が最も大事な素養だと考えたのです。 これは以前に解説した通り、哲学を学ぶ中で【善のイデア】に 触れることができると考えられていたからで、 そこに到達しなければ国を正しい方向に導くことなど 不可能だからです。 プラトンが現在の大学の始まりとなるアカデメイアを作ったのも 将来の王の育成のためであったのではないでしょうか。 そしてそのアカデメイアはその後1000年近くに渡って 様々な哲学者を育成していくことになります。 ちなみにプラトンはこのような思想をもとに、 シチリア島のシラクサというところで、 理想の政治を実現しようと試みました。 しかし王との確執などがありそれはうまく行かず、 その後はアカデメイアで弟子たちと議論を繰り返していたと言います。 そしてアカデメイア内で亡くなり、構内に葬られたと言われています。 ソクラテスの哲学への熱意を後世に伝え、 その後の西洋哲学史のメインロードとなる議題を多く残し、 さらに学問を学ぶアカデメイアという場所まで用意した プラトンの功績は控えめに言っても哲学史の最も大きな 功績の一つです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー