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「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議(第6回)議事録

2022-09-23 06:45:51 | 教育関連情報

文部科学省より「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議(第6回)議事録を紹介します。

ここから https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/177/gijiroku/mext_00006.html

1.日時

令和4年8月22日(月曜日)10時00分から12時00分

2.場所

Web会議

3.議題

  1. 教育委員会の機能強化・活性化のための方策等について(ヒアリング等)
  2. その他

4.議事録

【清原座長】  皆様、おはようございます。本日は大変御多用の中、御参集いただきましてどうもありがとうございます。
 ただいまから、「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議、第6回を開催いたします。
 本日は、報道関係者と一般の方向けに、本会議の模様をオンラインにて配信しておりますので、皆様御承知おきください。
 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、事務局より本日の配付資料の確認をお願いいたします。
【伊藤初等中等教育企画課課長補佐】  お手元の議事次第を御覧いただければと思います。資料1として愛知教育大学の御発表資料、資料2として大阪府堺市教育委員会の御発表資料を御用意しております。また、参考資料1から4をおつけしております。
 以上でございます。
【清原座長】  皆様御確認ください。
 それでは、議事に入ります。本日の議事は、1、教育委員会の機能強化・活性化のための方策等について、ヒアリング等をさせていただきます。そして2点目がその他ということとなります。
 本日は、教育委員会事務局の機能強化や、学校を支援する教育委員会の取組の観点から、愛知教育大学教授の風岡様、そして大阪府堺市教育委員会の日渡教育長にヒアリングをさせていただきます。
 本当にお二人には、大変お忙しい時期にもかかわりませず、ヒアリングをお引受けいただきましてどうもありがとうございます。会議を代表して、まず御礼を申し上げます。
 それでは、最初に愛知教育大学の風岡様から御発表をお願いいたしします。
 風岡様、御準備いかがでしょうか。大丈夫ですね。
 それでは、資料1に基づきまして、風岡教授より御説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
【愛知教育大学(風岡様)】  おはようございます。愛知教育大学教育ガバナンスキャリアコースの風岡と申します。本日はこのような機会をいただき、ありがとうございます。
 私からは、教育ガバナンスキャリアコースの取組と、教育委員会支援の在り方ということで御説明をさせていただきたいと思います。
 画面の共有をさせていただき、資料2に沿って説明させていただきます。画面、出ていますか。では説明させていただきます。
 まず、教育ガバナンスキャリアコースの概要ということで、本学における学部及び大学院の改革と、ガバナンスキャリアコースを設立するに至った経緯についてお話をさせていただきます。
 学部の改組ということからお話をさせていただきますが、教育支援専門職養成課程という、全国でも初めての課程ではないかと思いますが、この学部の改組に至っては、文部科学省の中教審答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」を受けて、2017年度に教育学部に教育支援専門職養成課程として、「心理コース」、「福祉コース」、「教育ガバナンスコース」という形で新たに設置しました。今年度で6年目になります。
 この中で教育ガバナンスコースは、様々な立場の人が協働・協力する学校現場の実現に貢献できる、学校をはじめとする教育事務の調整や企画の立案、事務管理などに精通する資質・能力を養うこと、学校教育に関わる業務を専門的な見地から支援し、情報活用能力やグローバルな視野で活躍するための資質・能力も修得させ、教育機関で活躍できる教育事務職員や、教育に関わる自治体の職員などの養成を目指しているコースです。
 今年度は、先ほどお話ししましたように設置6年目になりますが、卒業した1期生、2期生のうち6割近くが学校事務職員を含む公務員、大学事務職員として就職、活躍をしています。
 こうした背景を受け、大学院改革の必要性としては、「現代的な教育課題に対応する研究能力を有した専門職人材の養成などを目指した改革を行う」こととして、令和2年度に大学院を改組し、教員養成に関しては全て教職大学院に移行し、修士課程に教育支援高度化専攻ということで「臨床心理学コース」と「日本型教育グローバルコース」を設置しています。
 そうした中で、教育行政職員の育成に関しては、愛知県内の地方自治体や関係団体から、「大学のリソースを活用して教育行政の専門性を有する行政職員や学校事務職員の質の向上に関する取組を積極的に行ってほしい」、「地方自治体が抱える喫緊の課題に対応できるような専門性を持った高度の人材育成について、修士レベルで行ってほしい」といった自治体からの要望も高まっていたということがありました。
 こうした要望等を受けて、教育支援高度化専攻の既存の2コースに加えて、令和3年度、昨年度から、次世代型の教育・学校づくりをリードする学校事務職員や自治体職員、大学事務職員等、社会で活躍するミドル人材を受け入れて、学校教育現場での現代的課題の解決を図る実践的応用力を有する者を育成するためのコースを立ち上げて、教育支援高度化専攻を3コースとして現在に至っています。
 これが、大学院と修士課程の全体のイメージ図になります。教職大学院については、学校マネジメントコースをはじめ4つのコースの設定。修士課程については、先ほど話をさせていただいたように臨床心理学コース、日本型教育グローバルコース、教育ガバナンスキャリアコースという3つのコースが設置されています。
 これを見ていただくと分かるかと思いますが、教育ガバナンスキャリアコースにつきましては、教育支援高度化専攻の中のコースの1つとして、入学定員30名のうちの何名かが入学定員となります。
 次に、教育支援高度化専攻の3コースの概要になります。本専攻は、学校をプラットフォームとして教育支援の連携・協働を図るチームとしての学校体制を研究して、教員や自治体職員、学校事務職員が、心理や福祉の専門家や関係機関との協働を図ることによって、教育活動や課題解決に向けた取組を行うことのできる能力の高度化を図ることを目的としています。
 また、「グローバル」コースとあるように、次世代の日本型教育システムを開発・構築して、それを自国で実践・展開できる人材の育成を目指しています。
 そして、この後また説明させていただきますが、自由選択科目というものがあり、教職大学院での開設科目も履修でき、相互履修を保障するといったような工夫もしています。
 次に、育成する人材像についてお話をさせていただきます。
 教育ガバナンスキャリアコースでは、「教育・学校現場での現代的課題の解決を図る実践的応用力を有する者の育成」を目標としています。
自治体の政策や学校経営の基本方針を戦略的に企画・立案でき、教育・学校課題に関わる業務を専門的見地から支援・調整できる資質・能力を養います。
 さらには、様々なスタッフや職員と連携・協力しながらチームとして学校運営を推進していく、チームとしての学校を内外から支える中核スタッフとして、学校、教育行政をマネジメントできる変革型の実践的応用力を備えた教育政策のリーダーとなり得る高度な実践力と教育的な見識に支えられたマネジメント力を有する、教育政策のプロフェッショナルである学校事務職員や教育行政職員の育成を目的としています。
 一般的には、行政職員にはコミュニケーション能力や戦略的プランニングの手法、政策を実現できるマネジメント能力、そしてコスト感覚やプレゼン能力といったことに加えて、新たな価値創造ができるといったようなことが現代においては求められています。さらに、行政職員の強みとしては、異動による複数の業務領域での知見、財務や人事、そして企画、教育分野だけではなくて福祉やまちづくり、研究といったような経験を強みにできるといったことがあると思います。
 そうしたことを踏まえて、本コースでは学校や教育、子ども課題に関する見識や法的な知識を持って、戦略マネジメント、新たな価値創造ができる人材の育成ということを目指しています。この辺りが、これからの行政職員に必要な資質だと考えているということです。
 そのためのカリキュラムとしては、「展開科目」と「実践科目」という考え方をしており、展開科目は更に「教育・学校マネジメントに関する科目」と「教育ガバナンス探究に関する科目」から構成されています。
 教育・学校マネジメントに関する科目では、「教育政策の分析と戦略立案」、「学校のガバナンスとマネジメント」といった、自治体政策や学校経営の基本方針を企画・立案し、マネジメントに関わる業務を支援・調整できる資質・能力を養うことを目的としています。
 また、教育ガバナンス探究に関する科目においては、現代的な教育課題である多文化共生や子どもの権利といったことを取り扱う「多文化共生論」や「教育と子どもの権利論」、それに加えて行政職員に必要となる経済知識やエビデンスベースの思考を身につける「教育における統計分析」といった科目を開設しています。
 実践科目では、自治体・学校でのインターンシップやフィールド調査を行い、課題解決に向けた考察を深め、これらの科目間の有機的な結合を図ることで、学校や現代的な教育課題に関する見識、専門性、実践的応用力を備えて、学校をプラットフォームとして互いに連携・協働し課題解決に当たるマネジメント力や、意思決定のロジックとしての統計的な考え方を育成します。
 また、本コースのカリキュラムの一部は教職大学院における学校マネジメントコースと共通化することで、学校経営専門職と教育・学校を支援する教育支援専門職が共に学べる環境を提供して、両者に必要とされる実践力、マネジメント力を育成することとしています。
 次が、修士課程の3コースのカリキュラム構成です。基盤となる大学独自科目、これは必修となっています。それから、基礎科目として5つの科目の中から選択するという形になっていて、基盤科目はこの中から6単位が必修という形になっています。
 そして実践科目ということで、教育ガバナンスキャリアコースでは、教育マネジメントに関する科目群と、教育ガバナンス探究に関する科目群、そして実践科目から成り立っています。
 さらにゼミ科目として「特別研究Ⅰ・Ⅱ」ということで、後でも触れたいと思いますが、教育ガバナンスキャリアコースで学ぶ学生は社会人の現職の方がほとんどということがあり、実践的な研究をテーマとしている方がほとんどです。そうした中で、こうした修士課程の締めくくりとしての論文作成に向けての制度設計として、この特別研究Ⅰ・Ⅱの中で論文の基礎から授業として行う、そんな体制を整えています。
 次です。これが教育ガバナンスコースのキャリアモデルということで、授業科目はこのようになっています。
 教職大学院との共通科目については、「学校のリーガルマインド」や「学校財務と学校財務のマネジメント」について、一緒に学ぶという科目を設定していることが特徴かと思っています。
 次に、大学院の学びについてですが、1行目にありますように、勤務と両立ができるように夜間開講を基本としており、夜間開講と集中講義形式で授業を開講しています。
 また、まずは1科目から履修してみたいといったニーズに応えるための科目等履修の受入れを行っている授業もあります。このように、実務者の方が学びやすい環境の整備といったことも意識して、取組を進めているということがあります。科目等履修については、入学前に取得した単位は、上限はありますが、入学後に大学院の修得単位として認定されるといったことがあります。
 最後に、今後の展望についてお話をさせていただきたいと思います。
 教育ガバナンスキャリアコースには、現在、令和3年度・令和4年度入学生合わせて12名の院生が在籍しています。入学生の属性については、自治体からの派遣職員が2名、公立小中学校の事務職員が7名、学部からの直進者が2名、民間企業からの入学者が1名です。
 入学定員の確保については、本学は広域の拠点的な役割を果たす教育大学として、子供たちの未来を開くことができる人間性と実践力を身につけた専門職業人の養成を使命としていることがあり、そうしたことから、愛知県内の近隣自治体から、研修制度の一環として職員を派遣していただいているということがあります。今後も、教育行政職員の人材育成の一環として、継続的に本コースへの入学を見込んでいます。
 加えて、本学は愛知県内の全ての市町村の教育委員会と連携協定を締結しているということがありますので、そうした県内の市町村に対して、職員の派遣を積極的に働きかけることも考えています。
 また、自治体からの派遣ではなくて自主的に入学を希望される方については、科目等履修や、今後の検討課題ですが、自治体での研修などをラーニングポイント制として入学時に単位として付与するなど、学びやすい制度設計についての検討を進めることも考えています。
 さらに、現在は教育行政・教育政策の中でも学校教育に比重を置いた教育内容と人材を対象にしていますが、今後は、社会教育関係者など、教育に関わる多様な人々も視野に入れていくとともに、カリキュラムについても社会教育や自治体政策などの領域についての科目の拡充が必要ではないかと考えています。
 また、ここ2年間の入学生の傾向から、学部の直進者もいることから、直進者のニーズの把握と対応についても考えていくということ。そして、そのことを踏まえて本コースのカリキュラムを見ていくと、教育が果たす社会的な役割、教育課題の解決策を考えるような法律や制度を扱う科目と教育現場の課題に取り組む科目が中心になっているわけですが、院生等とのヒアリングでは、教育方法への関心が高いといったこともわかっています。
 今後は、教職大学院との共通科目や相互履修の在り方についても考えていくことも必要になるのではと考えています。
 そしてさらに、最後になりますが、今後、修了生や学部の卒業生、それから自治体教育行政職員や学校事務職員との交流ネットワークを構築することを目的に、今後、研究会等を立ち上げて、共同研究や職員間のネットワーク化を進めて、愛知県内の自治体や学校間の情報共有のハブになるとともに、教育行政職員育成の拠点となることを目指した取組について進めていきたいと考えています。
 以上で、私からの発表を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
【清原座長】  風岡先生、大変御丁寧な御説明ありがとうございます。国立大学法人愛知教育大学教育学研究科教育支援高度化専攻の「教育ガバナンスキャリアコース」の概要について、御説明をいただきました。
 それは、冒頭確認させていただきますが、参考資料の4にもまとめてございますけれども、私たちの検討、すなわち「令和の日本型学校教育」を推進する地方教育行政の充実に向けた検討の論点案の1番目に、「教育委員会の機能強化・活性化のための方策」を位置づけております。
 この「教育委員会の機能強化・活性化」の中でも、「教育行政職員が求められる資質・能力を着実に身につけるために、どのような方策が考えられるか」として、例えば、「教育に関する専門性の観点からは、職員に対して、教職大学院など大学院での就学の機会を提供したり、学校に派遣して教育現場での経験を積む機会を提供することが重要ではないか」としています。
 このような問題意識から検討を進めている中で、ぜひ、愛知教育大学の実践をお聞かせいただいて、皆様と今後の方向性を深めたいと、このようなことで風岡先生にお願いした次第です。
 それでは早速、皆様から御質問や御意見等いただきたいと思います。御発言をいただく際には挙手ボタンを押していただくか、画面上で挙手いただければ私が指名をさせていただきます。
 なお、本日は用務等のためにカメラ・マイクをオフにして御参加いただいている委員の方もいらっしゃいますが、聞いていただいておりまして、チャット等で質問や御意見を伺いながら進めてまいりますことをお断りいたします。
 それでは皆様、いかがでしょうか。どなたからでも。どうでしょうか。
 それでは、まず村上委員、続いて梶原委員、お願いいたします。
 村上委員、どうぞ。
【村上委員】  東京大学の村上と申します。どうも御発表ありがとうございました。私も大学で教育行政学を担当している教員として、大変参考になりました。
 大変意義深い取組で、我々大学で働いている者にとってもいろいろ参考になるところは多いんですけれども、質問を2つほどさせてください。
 1つは、風岡さん自身が、実務をなさった後に大学に移られて研究・教育に当たられているわけですけれども、大学でOFF-JTとして修士課程という長期間のカリキュラムを学んでもらうことで、どういう変化を学生の皆さんに感じているでしょうか。受講生や修士修了生の方にどういう変化が生じているとお感じになっているかということをお聞きしたいのが1点です。
 もう1点が、スライドの最後のところに「教育方法への関心が高い」というところがあるのですが、これは行政職員が教育現場の素養というのを身につける、管理・指導でいうと指導の面のスキルを身につけるということかと思います。具体的に教えるスキルというよりはその周辺のこと、指導行政事務だと思うんですけれども、これは具体的にどういうことを学生さんが望んでいるのかということを、もう少し詳しく教えていただきたいです。教育課程行政の枠組みのようなことが知りたいのか、授業のやり方のようにより実践的なことを知りたいのか、その辺りの学生さんのニーズということを教えていただければと思います。
 以上、2点質問させていただきます。

(以下略)


【文部科学省関連サイト】

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