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・ライプニッツの生涯 ライプニッツは、1646年、ドイツのライプツィヒに生まれました。 父親は大学の哲学教授を務めており、まさにサラブレットの出生です。 その境遇に違わず、15歳の時に大学に入学し、 18歳で哲学の修士になり、21歳で法学の博士号を取得します。 まさに天才、エリートです。 その後、司教領主のお抱えの学者になったり、 司教が亡くなったことで職を失い、職探しなどをしながら、 様々な学問についての功績を残していきます。 おそらくライプニッツと言えば一番有名なのが 【微積分法】ではないでしょうか。 現代の数学に欠かせない微積分は、 ライプニッツとニュートンが発見をし、 どちらが先に発見したのかについて争ったのち、 現在ではライプニッツが考案した記号が使われています。 その後、ベルリンに拠点を移した彼は 【弁神論】や【モナドロジー】といった現代にも引き継がれる 哲学書を書き残します。 1716年に亡くなりますが、 モナドロジーの発表は彼の死後、1720年に行われています。 ・モナド スピノザはこの世界は神そのものであり、 我々が目にしているのは神の擬態した姿だと考えました。 しかし、確かに説得力があるこの説も、 『どうして世界は多様性に満ち溢れているのか?』 の説明をうまくできないという欠点がありました。 ライプニッツはスピノザの思想を受け継ぎつつ、 さらに思想を飛躍させます。 ライプニッツによると、この世の中は 【モナド】という極小の物体が無数に集まることで成立していると言います。 このモナドは極小の点のような存在であり、 また、原子のように物質的なものではなく 非物質的な、むしろ精神的な存在だと考えました。 そして『モナドには窓がない』とライプニッツが言った通り モナドはお互いに影響し合わず、それぞれが単独で存在している。 モナド自身の中には全ての性質や可能性が備わっており、 世界はそのモナドの表像であると表現しました。 これは古代ギリシアでアナクサゴラスが唱えた 【スペルマタ】の概念と似通ったところがありますね。 スピノザの唱えた神即自然の概念では、 この世の全ては神自体だと表されていたわけですが、 ライプニッツはそれをもう少し突っ込んで考え、 モナドという極小の何かがあることによって、 この世界は表像されていて、 そのモナド自体が神そのものだと捉えたのです。 これにより、スピノザの考え方よりもさらに 世界が神で満たされていることに対する認識が深まることとなります。 語弊がある例えをするならば、 液晶テレビを想像すると分かりやすいと思います。 我々がテレビで映像を見ていると思っているのは、 単なる点の集合体ですよね。 それぞれの点が周りと影響することなく自身の発光を繰り返すことで それを観測する我々にとっては一つの『映像』として受け取られます。 そのそれぞれの点がモナドで、映し出された映像が世界なのです。 そしてその映像をモナドを通して作り上げているのが神であるわけです。 ・予定調和 モナドは互いに影響しないことはわかりましたが、 ではなぜ勝手に存在しているモナド同士が調和をしているのでしょうか。 ライプニッツは『神があらかじめそのように定めているからだ』 と言いました。 これを【予定調和】と呼びます。 予定調和についてライプニッツは著書【モナドロジー】において 時計を例に出して解説をしています。 例えば目の前に互いに完全に同じ時刻を刻む時計があるとします。 それを可能にするためには2つの時計が完璧に作られている必要があります。 2つの時計が寸分違わず完璧な設計をされているならば、 永遠に同じ時刻を刻み続けることになります。 この状態において、時計同士はお互いに作用していないにもかかわらず、 あたかも両者が関係しているかのように同じ時を刻むのです。 しかし、そのような時計を作るためには製作者が優秀でないといけません。 製作者が限りなく優秀であれば、このように全く関係のない両者が あたかも調和しているように見える現象を作ることができるのです。 ではその製作者が無限の存在である神ならどうでしょうか。 当然、全てのものが関係していないにもかかわらず、 全てのものが調和しているように見える環境を作り出すことができます。 両方の時計を身体と精神に置き換えると、 これ自体がスピノザの心身並行論の説明になりますね。 身体と精神は全く別々に動いているのだけれども、 それが同時に起きているために我々は関係があると認識している。 そこから自由意志があるようにも思ってしまっている。 と捉えることができるのです。 つまり、この世界はあらかじめ神によって定められたルールを 辿っているだけにすぎず、 その過程で現れる様々な現象を我々が目撃しているだけである。 そのように考えたのです。 ライプニッツのモナド論と予定調和の考え方により、 それまで神への信仰において課題とされてきた 【自然科学とスコラ学の折り合い】【自由意志について】 【神の恩寵について】などを芋づる式に解決することが できるようになりました。 ライプニッツが、かつて古代ギリシアの哲学を一度にまとめあげ、 体系化した大哲学者の名を取って、 【近世のアリストテレス】と呼ばれた所以はここにあるのです。
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