《 指名が授業を組み立てる 》
指名には、偶発的指名(じゃんけん・さいころ・番号など)、意図的指名(教師による指名)、挙手指名がある。
それぞれの長所を組み合わせて意図的にバランスよく使い分ける必要がある。
指名が授業を組み立てるといっても過言ではない。
(1)偶発的指名
導入部など、授業のウォーミングアップに有効である。
主として、子どもたちを授業に乗せるため指名法である。
誰が当たるかわからないので、全員を集中させる効果もある。
(2)意図的指名
授業を構成する上での骨格をなすものである。
事前に誰がどのような考えをもっているかを把握して、子どもの発言により学級全体の思考が深まるような順に意図的に指名していく。
私は次のように、起承転結を意識して指名することがある。
(もちろん、いつもこのパターンとは限らないが・・・)
起:方向性は正しいが考えは浅く根拠が弱い意見
承:少しずつ正解に近づいていく意見
転:それまでの流れを断ち切る、対立した意見
結:対立を越えた、総合的な意見
全員で練り上げていく感覚を味わわせることができる。
これが授業の醍醐味であり、うまくいったときは教師冥利に尽きる。
意見を言いたくても勇気がなくて言えない子もいる。
その子は指先や目など、必ず体の一部が反応する。
見つけたらこちらから指名して発言できたら褒めてあげよう。
(3)挙手指名
最も多く使われるものである。
次の点に注意したい。
全員に考えさせたあと指名する。
また、「挙手しなきゃ当たらない」と思わせてはいけない。授業をあきらめるきっかけとなる。
したがって、挙手した子をすぐに指名しない。しばらく待つ。
他の子にも考える時間を十分あたえる。実質は、意図的な指名である。
必要に応じて、発言者に投げ返す。
「どうしてそう思ったの?」
「資料のどこから考えたの?」と、教材と発言内容をつなげたい。
「同じように思った人?」
「はい、○○さん。同じでもいいから、自分の言葉で言ってごらん」
「□□さん、○○さんの言ったことを言ってごらん」
こうして意見を繋いでいく。
また、 ハンドサインや指名なし発言、つなぐ話型(○○さんの~という意見にかかわって…)など、発言をつなぐ方法はいろいろある。
ねらいに応じて工夫したい。