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世界を見る目が変わる50の事実-46-

2010-11-07 07:13:30 | 社会科こぼれ話
国連ミレニアム開発目標(MDGs)サミットにちなみ、ジェシカ ウィリアムズの評判の書 『世界を見る目が変わる50の事実』(草思社)の内容を社楽的に読むシリーズ。



第46回はロンドンの住民は、監視カメラで一日300回撮影される


「監視カメラ社会の行き着く先は?」という記事があります。

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0907/21/news004.html

この記事から引用しながら、考えてみましょう。

監視カメラ先進国の英国

監視カメラ設置のきっかけは次のものです。

早稲田大学法学部、水島朝穂教授(現早稲田大学法学学術院教授)のゼミナールの報告によれば、英国では1986年に工業団地へ3台の監視カメラを設置したところ、58件も発生していた犯罪が2年後にはゼロになったといいます。以降、さまざまな自治体へ順次導入されるようになったそうです。

本当にゼロになるのでしょうか?

水島ゼミ報告(2003年度)では、監視カメラの設置台数は約300万台と世界の10%を占め、人口比でも世界最大になります。設置効果として、報告ベースでは設置した地区で35~90%も犯罪が減少しました。

確かに効果がありそうです。
監視カメラは、どう管理されているのでしょうか?

英国ではおおむね、監視センターを警察や民間の警備会社が運営しており、顔認証などのバイオメトリクス技術を採用しています。容疑者の顔データがデータベースに登録され、カメラで監視して照合し、80%以上の一致をみると警察へ通報する仕組みが多いようです。しかも、1995年調査では市民の90%が監視カメラシステムに賛同していました。

組織的に運営されていることが分かります。

日本での設置状況はどうなのでしょうか?

近年は設置数が急増し、設置台数は恐らく世界の五指に入るほどの状況ではないでしょうか。
監視カメラは、コンビニエンスストアや商店街などいたるところに設置されています。また高速道路には、オウム真理教事件で有名になった「Nシステム」(自動車ナンバー監視システム)など、国や県、市、町、商店街、店舗などあらゆる集合体で監視カメラが活用されています。


日本と英国の違いはどこにあるのでしょう?

1 監視体制が組織的であるのが英国。日本は単体であることが圧倒的に多い

2 顔データの分析などを積極的に活用しているのが英国。日本では犯罪発生後、犯人を特定する手がかりとして活用するケースがほとんど。英国の目的はあくまで「抑止」として、容疑者が犯罪を行う前に捕まえることにある

3 英国では設置場所を公開し、看板を提示している。日本では監視カメラの設置場所が極めて分かりづらく、分からないように設置されている。店舗などで「監視カメラ稼働中」と表示し、犯罪抑止としての効果を挙げているものも多いが、不特定多数の街頭カメラでは――最近明示するようになったものもあるが――全体量としては存在を隠している設置が多い

日本でも、1日300回撮影される日は、そう遠い話ではありません。


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