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「ウィーンフィル 魅惑の名曲」聴き直し -43-天衣無縫のカンタービレ!

2021-11-30 06:30:09 | 音楽雑感&関連サイト

小学館ウィーンフィル 魅惑の名曲第43号 天衣無縫のカンタービレ!を聴き直しました。


天衣無縫のカンタービレ!とは、もちろん、バイオリンのイツァーク・パールマンのことです。

パールマンがモーツアルトのヴァイオリン協奏曲 第5番《トルコ風》を演奏しています。

パールマンを紹介しましょう。

1945年に、イスラエル生まれた大ヴァイオリニストです。

理髪師の両親に生まれました。身近に音楽的環境があったわけではありません。
単に、ラジオでヴァイオリンの演奏を聴いてあこがれ、おもちゃのヴァイオリンを遊び半分で弾いていたことがスタートです。
それから正式なレッスンを受けるようになりますが、4歳でポリオ(小児麻痺)にかかり、下半身が不自由になってしまいます。
普通の家に生まれ、しかも大きな試練を味わったのです。

同時代のもう一人の大ヴァイオリニスト、2歳年下のギドン・クレーメルとは対照的です。
父は有名なヴァイオリニスト、16歳で国内の音楽コンクールで優勝しモスクワ音楽院へで、あのダヴィッド・オイストラフに8年間も師事しています。まさにスーパーエリートです。

しかし、その音楽は・・・

パールマンは、美しい音色で、暖かで繊細、表現力たっぷりな軽やかな音楽を奏でます。
また、時には映画「シンドラーのリスト」の主題曲の演奏のように、ユダヤ人の悲哀を一心に背負うような悲しい音色で、心の琴線に触れるような繊細な表現で人々を泣かせます。

一方、クレーメルは、私の愛聴版、バッハの無伴奏に見られるように、重厚な響きを得意としています。
次々と現代音楽を世に送り出し、また、埋もれた名作を復刻し、音色だけでなく活動も骨太です。

対照的な二人ですが、レパートリーの広さは共通しています。

さて、今回のトルコ風はパールマン。「天衣無縫のカンタービレ」がピッタリの演奏は、幼少期にバイオリンで遊んでいた時代の名残だと思うのです。

これが、早期から高い音楽教育を受けたクレーメルだと、例えば「清廉知的なモーツアルトの神髄」という演奏になるのです。

You Tube でクレーメルが2番を演奏しているのでご覧ください。
http://www.youtube.com/watch?v=HMoPKstPK9U&feature=related

長くなってしまいましたが、この「トルコ風」。

当時、ヨーロッパで流行った、いわゆるテュルクリです。当時の最強国・オスマントルコの影響がヨーロッパにあふれました。
モーツアルトのピアノ・ソナタ 第11番の3楽章は『トルコ行進曲』と呼ばれています。
トルコ珈琲も流行りました。
トルコアイスはわかりませんが・・・。

パールマンが、それこそ天衣無縫にうたっています。

【43号】
*モーツァルト 6
◆ウィーン・フィルをめぐる断章
 ・シェーンベルクとプラーター公園(下)
◆マエストロの横顔
 ・イツァーク・パールマン 喜びあふれるモーツァルト
◆ウィーン・フィルを聴く
 ・第3回 「美しい音色の響きに魅了されて」
◆作曲家の肖像
 ・モーツァルト 6
  涙の日々
◆曲の情景
・トルコ風のリズムにのった若さが弾けるコンチェルト
  ヴァイオリン協奏曲 第5番《トルコ風》
  交響曲第38番《プラハ》
◆名曲をより楽しく聴くためのキーワード

★CD
・ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調K.219《トルコ風》
 指揮=ジェイムズ・レヴァイン Vn. イツァーク・パールマン
・交響曲第38番 ニ長調K.504《プラハ》
 指揮=ジェイムズ・レヴァイン



 
 
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