あなたも社楽人!

社楽の会の運営者によるブログです。社会科に関する情報などを発信します。

【孫武】中国思想解説#9【孫子の兵法】【兵家】

2021-08-21 06:10:32 | 哲学の窓

哲学チャンネルより 【孫武】中国思想解説#9【孫子の兵法】【兵家】を紹介します。

ここから https://www.youtube.com/watch?v=gfOvEbTFedI

※関連した過去動画
【荀子】中国思想解説#8【性悪説】【礼治主義】 https://youtu.be/ZqQYA8uCkYc
※書籍 新訂 孫子 (岩波文庫) https://amzn.to/2J0FFLm
 
とっつきづらい哲学や心理学の内容を、出来るだけわかりやすく完結に お伝えすることを目的としたチャンネルです。
 
動画の書き起こし版です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
孫武は兵法書【孫子】の作者であり兵家の始祖とされていますが その存在自体は定かではないと言われています。 残っている情報を参照すると、 彼は斉の国に生まれ、若い頃から兵法書を読み 過去の戦争を研究していたといいます。 その後一族に内乱があり、斉から出ることになります。 たどり着いた呉の国で、宰相の伍子胥(ごししょ)と出会います。 呉の王に闔閭(こうりょ)が就任すると、伍子胥が孫武を推薦。 伍子胥の推薦には、厄介な戦術家に無理難題を仕掛けて 恥をかかせることで退場させようとした意図があったと言われています。 その際の闔閭とのエピソードは『孫子姫兵を勒す』として有名です 闔閭が言います。 「宮殿にいる婦人達を使って、軍の指揮を見せてくれ」 孫武はそれを了承し、180人の美女を2つの部隊に分けて武器を持たせ整列させました。 それぞれの部隊の隊長には闔閭が特に気に入っている婦人を選び、軍事演習を始めます。 しかし、美女達は命令に全く従わず、笑っているばかりでした。 孫武は「部隊が正常に動かない責任は隊長にある。罰として切り捨てる。」と言います。 お気に入りの女性を殺されてしまっては敵わない闔閭は 「それだけはやめてくれ」と言いますが 「一度将軍として任命された以上、君主の命令でも従えないことがあります」 と隊長二人を殺してしまいます。 当然、その後部隊は命令を聞くようになりました。 孫武は「王よ、兵は整いました。こちらに来て確認してください」と言いますが 闔閭は「もうわかった。私はそこに近寄りたくない。もう帰ってくれ。」と萎えてしまいます。 孫武は帰り際に「そうですか。王は口は達者ですが行動は伴わないのですね」 と言い残して去ったといいます。 伍子胥の策略を見事に切り返したことと、 同時に王の堕落の可能性であった宮中の婦人を葬ったこと。 戦略家としての孫武の実力を表したエピソードといえます。 そして、その実力を認められた孫武は呉の将軍に登用されます。 その後は楚を侵略するなどして将軍としても大活躍しました。 その孫武の思想を残したものが『孫子』であるとされています。 孫子について、荀子は 『孫・呉も之を用いて天下に敵なし』とし 韓非子も『孫・呉の書を蔵するものは家ごとに之有り』 と孫子の兵法を称しています。(呉とは呉子という兵法書のこと) 孫子は戦術書でありながら、戦わないことを重要視します。 孫武は、平和なまま天寿をまっとうすることが最善だと考えていたようで 戦争においても、無駄な戦争はするべきではないと言いました。 孫子にはこうあります。 『百戦百勝は善の善なる者に非ず  戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり』 まさに戦わずして勝つ。を理想としていたのです。 また『怒りはまた喜ぶべく憤りはまた悦ぶべきも亡国はまた存すべからず死者はまた生くべからず』ともあります 怒りや憤りはいずれ喜びに変わることもあるが 死んでしまったり国が滅びればその可能性もない 単に戦争を攻略するノウハウを解いただけではなく、 あくまでも国の存続を考えていたと読めます。 その上で、やむなく戦争になってしまった場合には、 人事を尽くすことが重要だと考えます。 実は兵家が現れるまでは、天運によって勝敗が左右されるという戦争観が一般的でした。 だからこそ、占いなどが重要視されていたのです。 しかし、孫武はそうではないといいます。 戦争の勝敗は人為的な結果で決まる。 これが革新的な提言でした。 孫子では、戦闘が始まる前に五事と七計をもとに戦況を判断します。 五事とはその戦いにおける情報収集です。 1、その戦いに大義名分があるか? 2、天候などの自然状態はどうか? 3、どのような地形で戦うことになるか? 4、将軍の力量はどうか? 5、軍の統率は取れているか? 七計とは、五事を基にした情報分析です。 1、どちらの君主がより民衆の心を掴んでいるか? 2、どちらの将軍がより優秀か? 3、天候、地形はどちらに有利か? 4、軍の規律はどちらがより厳格か? 5、軍隊はどちらが強力か? 6、どちらの兵がより訓練されているか? 7、どちらの方が信賞必罰の遵守がなされているか? このようなことを踏まえた上で、勝算があると思えば戦闘をし 勝算がないのであれば撤退も考えるべきといいます 孫子には 『算多きは勝ち、算少なきは勝たず』とあります。 準備と戦況判断を重要視していたことがわかりますね。 ゲーム理論の中に『ミニマックス法』という戦略があります。 これは想定される最大の損害が最小になるように決断を行う戦略のことであり 言い換えると、最善を尽くしながら相手の失着を待つ戦略です。 この方法論は将棋やチェスといった完全情報ゲームにおいて AIの思考アルゴリズムとして採用されています。 孫子で示される戦略はミニマックス法と非常に近いと言えるでしょう。 孫子は兵法書として様々な偉人に影響を与えました。 ナポレオンが座右の書としていたとも 毛沢東が戦略に採用していたとも言われています。 昨今では資本主義の戦争であるビジネスにおいて重宝されることも多く 毎月のように孫子をテーマとした新刊が発売されています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
このブログでの哲学関連サイトは・・・
 

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。