今日も、海外のメディアが東日本太平洋沖地震をどう報道しているかを見ましょう。
【中国】
人民日報 http://j.peopledaily.com.cn/home.html
救援活動を阻む日本の官僚政治
地震と津波の発生から12日が経った。一部の避難所では食品、暖房、薬品などが不足し、日常のサービスの一部をボランティアに頼っている。こうした状況を見ると「政府の救援はどこで行われているのだ?」と疑問を呈さずにいられない。
アナリストからは、日本には官僚政治の伝統があり、煩瑣な決まり事が多すぎることが被災者救援の足を引っ張っているとの声が上がる。
■人には言えない効率
東北地方の多くの避難所では23日になっても相変わらず、おにぎりの配給が行われている。
アナリストは、甚大な自然災害を被った国には、4日後には自国や世界各地から救援物資が続々と到着するのが経験則だと指摘する。だがその効率性で名高く、インフラの整備された日本において、地震後数時間内に寄付された国際救援物資の多くが、いまだに首都東京の倉庫の中に眠っている。
緊急救援車両のために東北地方の多くの道路が早くから空けられていたことを記者らは目撃している。だが大量の救援物資を積んだ車両が被災地へ向い始めたのは地震から1週間経ってからだ。
国民の一部からは、救援活動の効率が低く、政府には災害に迅速に対処する能力がないとの声が上がっている。
民間組織「Mercy Corps」でグローバル緊急行動を統括するランディ・マーティン氏は「政府への国民の期待は非常に高い。民間組織は現 在、救援活動における立ち位置を見出すべく努めている。現在最も重要なのは供給チェーンを機能させることだ」と指摘する。
■融通のきかなさ
救援効率の低さについて、アナリストからは官僚政治が救援活動の足を大きく引っ張っているとの声が上がる。一部の日本企業や民間団体は政府の救援活動に助力を申し出たが、様々な原因で思いを果たせなかった。
日本郵船は救援物資を届けるヘリコプターを自社の船舶で被災地沖まで輸送することを申し出たが、政府に拒絶された。こうした活動の許可証を取得していないというのがその理由だ。
被災地入りを望んだ外国の医者は、日本の医師免許を持っていないとの理由で、「最小かつ必要」な範囲内でしか被災者の診療を行うことができない。外国から寄付された薬品の多くが被災地に届けられていない。日本の担当当局の認可薬品でないというのがその理由だ。
ある民間機構の代表は「全てに政府の認可が必要なうえ、彼らの反応が遅いので、救援物資を届けるべき速度に間に合わない」と指摘する。
震災後に救援活動を自ら組織したIBM東京支社のある職員は「彼らは書類作業について心配するのではなく、私たちを被災者のもとへ行かせるべきだ。特殊な時期には、特殊な方法を講じなければならない」と指摘する。
東日本大震災:中国市民の生活にも各地で「激震」 [08:04]
張五常氏:日本経済の回復が難しい4つの理由 [08:02]
世界的に有名な経済学者の張五常氏はこのほど、以下のようなコメントを発表した。広州日報が伝えた。
日本であれほど大きな自然災害・人災が発生したにもかかわらず、その後数日間で急激な円高が進んだ。これは我々の知る経済のロジックに反している。しかし説明がつかないのは、日本がなぜG7に円高抑制に向けた協調介入を要請したのかだ。政府は日本円の上昇を喜ぶべきだ。なぜなら、円高のおかげで国民は国外から輸入された必要物資をより多く購入できるからだ。なぜ政府は円高が輸出に不利だということの方を心配しているのだろうか?
日本政府のG7への協調介入要請については説明できないが、介入前の数日間、円高となった理由を説明してみよう。
日本では銀行で外貨を預金でき、クレジットカードでも外貨決済ができる。しかし米軍が長期滞在している沖縄を除き、日本の国内市場で使用が許可されている貨幣は日本円だけだ。地震発生後のパニック状態の中、日本の人々が銀行を信じられなくなり、クレジットカードが今後も有効かどうかを疑ったことは想像に難くない。彼らが外貨を日本円に両替したことで、日本円の需要が大きく高まったが、日本の銀行にはその時十分な日本円がなく、これが急激な円高につながったのではないか。
日本経済は簡単に回復できるだろうか?その見通しは楽観的ではない。これには以下の4つの理由がある。
第一に、日本経済はこれまで約20年間にわたって低迷してきた。第二に、今年の桜の季節、国外から日本を訪れる観光客がほとんどゼロとなる。第三に、もし報道に間違いがなければ、原発からの放射線がすでに日本の農産物を汚染している。もしそれが本当なら、政府も農産物を大量に輸入するしかないだろう。これは良い選択だが、日本の経済構造にとっては打撃となる。第四に、日本の資本と人材が大量に海外へ流出する可能性が高い。(
今年の世界経済成長率、日本の地震で0.5ポイント低下か [07:59]
チャイナネットhttp://japanese.china.org.cn/
多くの国が日本放射能汚染地域食品の輸入を制限
飲用水買占めパニック:東京の水が危ない
大手多国籍企業、10年来最大の石油密輸に関与
見直し迫られるか、日本のエネルギー戦略
福島の英雄にはただの農家も 原発側の「洗脳」による「忠誠」
大紀元http://www.epochtimes.jp/
放射能の被害に関する正しい知識を
福島原発を危惧して日本から退去する外国人たち。どこまで心配すべきなのだろうか。噂にふりまわされ、不要に脅えることなく、放射能に関する正しい知識で対処したい。東大医学部付属病院放射線科の中川恵一氏がまとめたTwitterのコメントをもとに整理してみた。
放射能とは?
ものを突き抜ける能力が高い光や粒子を放射線といいます。その放射線を出す能力が放射能です。そしてこの放射能力を持つ物質が放射性物質です。
放射性物質の例は?
今回の原発事故では、放射性ヨードとセシウムが微量に検出されました。ウランの核分裂で生成されたものです。放射性ヨードとはパセドウ氏病(甲状腺機能の過剰)の治療に利用されます。治療に利用される量を考えたら、検出された量は僅かなものです。甲状腺に放射性ヨードが取り込まれた場合、30日で半分の量が体内から排出されていきます。
CT検査などは医療被曝として分類されます。放射線量の制限は設けられておらず、日本では国民一人当たりの医療被曝は年間平均約2−3mSvとされています。
私たちは常に日常、被曝してるって本当ですか?
自然被曝といわれますが、大気、大地、宇宙、食料から放出される放射線を、年間2.4mSv(ミリシーベルト)=2400μSvの割合で浴びています。
どのように人体に害を及ぼすのですか?
放射線にあたる量が多くなると、遺伝子が破損し、人体に影響を及ぼします。100mSvの蓄積以上がなければ発ガンのリスクも上がりません。
どの程度の被曝で症状が出るのでしょうか?
放射線量は200mSvが最小の検出可能な量ですが、症状が出るレベルは1000mSvです。4000mSvになると、60日後に50%の確率で亡くなると見られています。
東京の被曝レベルは?
3月15日、1時間1μSv=100日で2.4mSvの放射能が検出され、心配しましたが、16日以降は、環境放射線は、東京、神奈川、千葉、埼玉で、1時間1mSvから0.052−0.053mSvのレベルに下がっています。1時間1μSvとしても発ガンリスクの問われる100mSvに到達するには、11.4年かかります。
妊婦への影響は?
放射線は妊娠後4ヶ月以内が最も胎児に影響を与えるといわれています。100mSv未満なら、その後の胎児には影響は出ないことが示されています。
乳幼児への影響は?
今回の原発事故は連鎖反応を起こしたチェルノブイリというよりも、スリーマイル島原発事故に似ています。この際、小児の発ガンリスクの上昇は見られませんでした。
被爆症状を抑えるために、製剤を服用するといいということを耳にしましたが、適切でしょうか?
ヨウ化カリウム製剤の服用などは一切不要です。また、ヨードを含むといわれるイソジンの服用も絶対やめてください。アレルギーや甲状腺機能異常などの副作用のほうがはるかに危険です。
不安や動揺から、理性的ではない行動をとってしまわないように、くれぐれも気をつけましょう。
福島原発事故 その回顧と反省
2011年3月1日午後2時46分、日本の東北地方・三陸沖で、マグニチュード9.0の強烈な地震が発生した。1分後、ネット上に福島原子力発電所の稼動中の3機の原子炉が自動的に停止したというニュースが流れた。最初、このニュースを見た時、日本は地震の多い国であり、深刻にとらえていなかったが、まさか原子力発電史上、これほど深刻な事故に発展するとは全く思ってもいなかった。
事故の回顧
原子炉は連鎖反応は止められたが、まだ余熱や核分裂生成物の崩壊熱が残っていた。その余熱をシステムから導き出さなければ、核燃料が熱で溶ける「炉心溶融」が起こる。最初の段階ではこの3機(1、2、3号)はいずれも正常であった。しかし、地震後1時間、大津波が発電所を襲い、平常時の冷却水用電源を壊しただけでなく、非常用のディーゼル発電機までも破壊した。この3機の炉心温度と内圧が持続的に高くなった。11日夜10時ごろ、東電はこの事故を公表した。炉心温度が持続的に高くなると、核燃料を包む被覆材のジルコニウム金属が水と反応し、水素が発生する。水素は非常に爆発しやすく、原子力発電で如何に防止するかが重要な問題である。1、3号機は格納容器内の圧力を逃がすために、弁を開け蒸気を外へ逃がした。そのため、弁を開いて放射性物質を含んだ水蒸気を大気中に放出した。この作業により、敷地境界域で1015μSv/hの放射線を確認。燃料棒も一部溶解。12日夜、日本初となる原子力緊急事態宣言が発令され、周辺半径20kmの住民には避難指示が出された。
しかし、その後1、3号機で連続して建屋内で水素爆発が起こり、建屋の天井などが吹き飛ばされた。2号機は弁を開けて減圧する操作をしなかったが、なんらかの爆発が起こり、圧力抑制室が破損し、遮蔽の作用を失った。直ちに3機とも核燃料が水面から露出し、「炉心溶融」を起こす危険性が発生した。12日夜、冷やすために海水の注入を開始した。海水は原子炉部品を著しく腐食するため、この措置は東京電力が、三つの原子炉を放棄したことを意味する。悪いことは続いて、15日、定期点検中の4号機が爆破、火災が発生、露出した核燃料により、発電所敷地内の放射能の量が急激に上昇し、50人のスタッフを残して大部分のスタッフは避難せざるを得なくなった。その後、ヘリコプターなどによる放水も行われた。3月18日、経済産業省原子力安全・保安院は1~3号機の事故の深刻さを示す国際評価尺度(INES)を、8段階のうち3番目に深刻な「レベル5」にすると発表した。明るいニュースとしては、原子炉の冷却機能の回復を目指した電源復旧作業がうまくいっていることである。
原子力発電への反省
今回の原子力発電所事故は最終的にどうなるかまだ分からないが、原子力発電の発展に対して、初歩的な反省をしてみよう。
事故全体の過程を見れば、少なくとも三つの主要な問題が現れている。
1、原子力発電所における基本的な設計基準に対する再検討の必要性
2、運転中の原子力発電所の設計上の欠陥に対してどのように補うか
3、原子力発電所のような人類がまだ完全に理解していない複雑な工業システムにどのように対処するか
米国が原爆開発のマンハッタン計画を完成した後、大規模に商用原子炉を造り始めた。今から見れば、これはまだ原子力発電所の安全性に対する基本的な理解が欠けている状況下で始めたあまりにも性急な行動だったと言える。原子力発電所の総合的なリスクを解析的に評価する最初のものとして、WASH-1400報告が米国で1975年に完成され、その後の原子力発電所の安全研究の発展方向に極めて大きい影響を及ぼした。この報告の一つの重要な結論は、確率の小さい事件が重なれば、大きい災難をもたらすということである。その4年後に起きた米国のスリーマイル島原子力発電所事故はこの結論を証明した。
スリーマイル島の事故は、はじめて世界の原子力発電工業に大きな打撃を与えた。米国ですべての原子力発電所に対して、全面的な安全性の評価を行った後、新しい原子力発電所の建設を完全に停止した。しかし、20数億ドルかけて、スリーマイル島原子力発電所の事故に対し、詳しい研究を行った。その研究を基礎に新しい原子力発電所の安全基準を創立し、所謂第3世代の原子炉を開発した。これらの新しい原子炉の基本的な特徴は、固有の安全性を高めること、例えば冷却剤の受動的安全注入系のようなもの、つまり外部電源を必要とせず、システム固有の能力に頼って冷却剤を注入して炉心を冷却し、同一の原因で複数のシステムの同時障害を起こす事故の発生を防ぐ。福島事故はこれらの要求の正しさを実証したが、上述の研究はまだ「外部事件」例えば巨大な津波に対して十分な検討をしていないと言える。
それ以来10年、原子力発電工業の人気は少しずつ回復したが、1986年に発生したソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故は徹底的に世界の核工業を震え上がらせた。この事故は原子力発電所に関する安全性の分析のもう一つの結論を実証した。すなわち、80%の原子力発電所事故は人為的な要素が原因であり、また、これらの人為的な要素のうち80%が企業組織と企業文化が要素である。原子力発電所の安全性における人為的な要素の支配的役割は、現在の原子力発電所の設計における固有の安全性の深刻な欠如を反映している。
この二度の大事故の後、世界の核工業界は各種の設計基準を超える事故について広範な研究を行ったが、そこから誕生した第3世代の原子炉はやはりいくつかの肝心な安全問題、例えばテロ活動や戦争を完全に解決できない。現在、加圧水型原子炉の安全基準は小型の飛行機の直接衝突に耐えられるが、テロリストが大型の旅客機をハイジャックして自殺した米国911事件のような行為には対抗できない。スリーマイル島、チェルノブイリと福島はいずれも確率が百万分の1ないし10万分の1より小さいと思われることによって発生し、また100年間で二度の世界大戦が発生し、数十回の局地戦争、数え切れない数のテロ攻撃があった。人類はこれらの事件の中で安全性の保障を確保できるかどうかが、原子力発電が直面する最も基本的な問題でもあり、そして困難でもある。
米国の第3世代原子炉AP1000は設計の洪水水位が100フィートであるが、現在運行中の多くの原子力発電所は設計基準がその3分の1しかない。スリーマイル島事故発生後、人々は原子力発電所のセキュリティー上のリスクがあることを意識したが、これらの原子炉を停止し、大規模な救済策を講じる必要があるとは考えていなかった。チェルノブイリ事故後、人々はその安全性が現在稼働中の多数の原子力発電所よりずっと低いと思ったに過ぎなかった。しかし、福島の事故は人々の最後の幻想を打ち破った。人々はほとんど絶対に発生し得ないと思われていた事故がわずか数十年間ですでに3回発生した。現存する4、500の原子炉は大多数そのセキュリティーが福島原子力発電所と同じレベルにあり、何を喜捨するかは、いずれ選択をしなければならないだろう。
原子力発電所は現在の人類の造ったものの中で、最も複雑な工業システムであり、セキュリティーと技術に対する要求も最も高い。人類はすでにそれに対して無数の財力をかけて研究を行ってきた。しかし現在、人類の認識水準はこれらを系統的にはっきり理解するところまではぜんぜん至っていない。それらの未知の要素は人類社会に対して巨大な影響を及ぼし、商業活動における利益追求の特徴は企業のセキュリティー文化と組織を深刻に歪曲し、80%の根本的なセキュリティー要素にも影響を及ぼしている。これらの基本的な問題に対する判断と選択は、すでに回避できなくなっている。
李旭彤
【韓国】
中央日報http://japanese.joins.com/
【社説】原発の未来、歴史的選択を
日本原発の非常事態に対処する韓国政府の釈明はあまり説得力がない。政府は「韓国原発は4重装置で保護されているから安全だ」という線から一歩も進んでいない。福島原発の放射能による被害の可能性も「地球の自転と偏西風のため、風や潮流に乗って韓国に来る可能性はゼロ」という言葉ばかり繰り返している。これでは社会を安心させるのは難しい。漠然とした不安が不信を招き、大きな社会的費用につながるのをBSE(牛海綿状脳症)事件ですでに経験した。原発問題も福島の事態を受け、30年間苦労して築いた塔が一瞬にして崩れる敏感な懸案だ。
政府はまず常識的な水準の質問から明確に釈明しなければならない。果たして韓国の原発地帯に大型地震が発生する可能性はどの程度なのか、予想外の大規模な津波に備えた安全装置は十分なのかについて納得させなければならないだろう。経済性と危機費用を考えてマグニチュード7.0の地震に耐えられる原発を建設しようとするなら、今より費用がどれほど追加で必要になるかも公開しなければならない。地球の自転と偏西風を考慮し、現在、中国西海岸に集中的に建設される原発の事故に備えた非常対策は準備しているのかも気になる。
幸い、原発専門家があちこちで集まり、具体的な問題点と代案を提示し始めた。一部の専門家は国内原発が高度10メートルに建設され、3メートル以上の津波にぜい弱であるため、海岸に防護壁を築くべきだと指摘している。津波直前に海水が突然抜ける時、取水口に空気が入って冷却施設が破損しないよう、取水口の安全性を高めるべきだという声も出てきた。原発の後方がほとんど山岳地形であるため、津波で押し寄せた水が抜けにくいだけに、原発周辺に防壁を積もうという案も登場した。東海岸に地震を感知する観測所と水中音波観測所がほとんどない点も問題だ。政府はこうした合理的な意見から積極的に受け入れる姿勢を見せる必要がある。
原発の歴史を振り返ってみると、いま私たちは重要な選択を目の前に置いている。全斗煥(チョン・ドゥファン)政権は1986年、韓国型原子炉開発に着手する決断をした。当時、記録的に落ちた国際石炭価格は原発の経済性を根元から揺さぶり、同年4月には史上最悪のチェルノブイリ原発事故が発生した。こうした逆流の中で下した25年前の決断が、結局、韓国原発のルネサンスを呼び、初の海外原発受注につながった。
ほとんどのエネルギーを輸入に依存する韓国は他の方法が見えない。経済性や環境問題を考えても、原発を持続的に建設するしか方法はない。しかし福島から、韓国原発の青写真を丸ごと崩壊させるかもしれない超大型津波が押し寄せている。しかも全斗煥軍事政府は強圧的に政策を押し通したが、李明博(イ・ミョンバク)政権は政治環境が違う。国民全体が合理的な選択ができるように民主的に着実に説得する道しかない。「原発は続けるべき」という至上命令を完遂するには、より開かれた姿勢で、より活発な対国民疎通が必要な時期だ。
朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/
東日本巨大地震:命懸けで作業を行う人たちの給料は?
放射能漏れの深刻な状況が続く福島第一原子力発電所の事故現場では、自衛隊や消防隊員のほか、残骸の除去作業などを行う数百人の作業員がいる。米ウォールストリート・ジャーナルは24日付に「原子炉戦闘の裏側、作業員部隊」と題する記事を掲載し、現場作業員らの待遇について紹介した。
同紙によると、東京電力をはじめ事故現場に作業員を派遣している企業は、作業員らに対して従来の傷害保険、疾病保険以外に特別な手当は支給していないという。東京電力の下請け作業を手掛ける東海塗装で原子炉の特殊コーティング作業を行っているタダ・ケンジさん(29)は「怖い」と正直に打ち明けながらも「誰かがやらないと」と語った。放射線にさらされながら作業を行うタダさんの給与は月20万円ほどで、これは日本の平均給与(29万1000円)に比べかなり安い。作業員を派遣している東海塗装の専務は「国が危機的状況にある中、この任務を金のためにやっている人などいない」と語る。
事故処理に当たっている作業員は、タダさんのように工業高校出身者が多く、決して高学歴とは言えない。彼らに特別な技術があるとすれば、放射能にさらされる危険な環境での作業に慣れているという点だろう。
東日本巨大地震:「東京電力社長はどこに行った」
「東京電力の社長はなぜ謝罪しないのか」
福島原子力発電所を運営する東京電力の清水正孝社長が13日以降の記者会見や事故説明に全く姿を見せていないことから、市民の怒りが爆発している。インターネットサイトには「清水社長を刑事処罰しよう」という書き込みまで掲載されている。日本の企業では、社会的に物議を醸す事故があった場合、社長が自ら記者会見を行い「心から…非常に…誠に申し訳ありません」と何度も腰を90度に曲げ謝罪する。
清水社長は13日の記者会見で「津波が一番の問題だ」と、安全管理責任よりも自然災害だったことを強調する発言をしていた。清水社長は、役員報酬削減などを主導したことから「コストカッター」という異名を持つ人物だ。今回の事故についても「コスト節減に執着し、安全管理をきちんとしなかったため」という声が上がっている。
清水社長の代わりに皷(つづみ)紀男副社長が福島県内の避難所を訪れ、被災者におわびをしている。東京電力は原発事故による農作物廃棄や、避難による多額の損害賠償で、破綻の可能性まで取り沙汰されている。
地震発生初期に頻繁に記者会見を行い「冷静に行動しよう」と呼び掛けた菅直人首相もテレビ画面に現れなくなった。その代わり、枝野幸男官房長官が1日に3-4回記者会見を行っている。このため「一体、首相はどこで何をしているのか」との批判が出ている。「菅首相が会見を避けているのは、原発事故が悪化していることに伴う政治的負担を減らすため」という分析もある。
【米国】
ウォール・ストリート。ジャーナルhttp://jp.wsj.com/
【オピニオン】日本が直面する本当の試練とは
日本にとって、震災後の復興は比較的簡単な部分だろう。日本が今の形のままで長期的に生き残ることの方が難しい。
生まれた時から「和」を重んじ、民族的にもほぼ単一で、社会的結束の強い国であることの利点は多い。深刻な打撃を受けても立ち上がろうとする今の日本に、それはよく表れている。
それは前にも目にした光景だ。1995年の阪神・淡路大震災の後、第二次世界大戦で日本の都市が焦土と化した後、広島と長崎の後、そして1923年の関東大震災の後。この国は、困難を切り抜けることについては完璧な術を持っている。
今再び、日本社会を結ぶ地域社会の助け合いの本能が呼び覚まされ、犠牲者を悼み、がれきを撤去し、家とビジネスを再建していくだろう。トヨタ自動車の米国工場やゼネラル・モーターズ(GM)、ボルボは、日本からの部品調達難で一時的な混乱に見舞われるかもしれない。しかし、過去を振り返ってみると、グローバル・サプライチェーンの日本の鎖は、大方の予想を上回る速さで修復され、改善されると思われる。
日本は大なり小なり、これに似た経験がある。1993年、住友化学の愛媛工場で溶媒タンクが爆発して工場が損壊、コンピューター向け半導体のスポット価格が世界的に急騰した。同工場では、世界供給の60%に相当する半導体封止材が製造されていた。まさに日本が世界のサプライチェーンのボトルネックとなり、市場では品不足が懸念された。
しかし、予想よりも早く、数カ月以内で、住友化学は製造ラインのうち一本の再開にこぎつけた。他の日本のサプライヤーも迅速に代替品の生産を増やした。一転、世界市場は、不足ではなく、過剰な供給を予測した。
神戸が生まれ変わったのは、震災前からの主要産業である製造業と海運業の拠点としてだけではない。神戸は、震災を、将来について再考し、バイオメディカル・センターとして再生する機会として捉えた。政府は資金を出し、外国人研究者のビザなどの規制緩和を行った。この結果、国内だけでなく、米国やドイツから多くの医薬品企業が神戸に集まった。
単一性と社会的結束は、国家にエネルギーと方向性を与えてくれるものの、その一方で、欠点もある。そして、日本は、それを驚くほど安穏として看過している。これが、日本の長期的な見通しが不確かな部分だ。
他の文化に価値観を壊されることへの恐れから、日本は移民をほぼ閉め出している。また、厳しい規範から、会社員は夜遅くまでオフィスでの残業を強いられる。このため女性は仕事か家庭かの難しい選択を迫られ、最近は仕事を選ぶ傾向が強まっている。
その結果、日本の出生率では、毎年の死亡者数をカバーすることができない。また、日本の移民政策では、経済を押し上げる力となる世界の頭脳、労働力、納税者を利用することができない。日本は縮小に向かっているのだ。
また、結束は、「島国根性」や「公的立場を利用した自己取引」と言い換えられる場合もある。ここで問題なのは、日本の巨大な官僚制度だ。数十年にわたる一党独裁が政治の発展を妨げ、官僚が国を動かすこととなってしまった。
日本の規制当局と監督対象産業の間の「回転ドア」は、よくオイルが差されており、よく使われている。多くの場合、官僚トップは、退職後に民間セクターで有利なポストを期待できる。
これがどんな影響をもたらすかは想像がつく。日本の銀行は1980年代から90年代にかけて、当局の手が付けられない状態だった。というのは、その頃、銀行の経営陣には、大蔵省(当時)や日銀を退官した元官僚が加わることがしばしばあり、その際、彼らの元部下が監督当局の幹部ということも少なくなかった。上下関係が尊重される日本社会では、このつながりは退職後も続く。新たな監督当局者は、銀行が傾いている時でさえ、元上司との対立を嫌った。
この慣行は「天下り」と呼ばれている。原子力行政を規制する経済産業省の元官僚7人は、東京電力で民間部門の給料を受けていた。
そのうちのひとりが石田徹・前資源エネルギー庁長官だ。彼は昨年退官し、数カ月後に東京電力顧問に就任した。
東京電力は、日本の北東部に今、放射能を拡散している福島原発を運営している企業だ。福島原発には事故の歴史があり、東電は安全性のデータ改ざんの過去を持つ。東電とその監督当局は、今回の危機への対応が遅れたと批判されている。
アジアに関する著作のある元米貿易交渉担当者、クライド・プレストウィッツ氏は、「日本にのしかかる、二つの極めて大きな問題がある」と指摘する。同氏は「ひとつは人口減少で、長期的に日本はゆっくり自殺に向かっている。二つ目は機能不全な官僚システムだ。政治家には大きな権力がない。監督当局は、国民のためではなく、自らの引退後のために規制を行っている」と言う。
どちらの意味においても――いかに国家として長く生き延びるのか、そしていかに国家の運営方法を選ぶか――日本に残された時間は限られている。「結束」と「静止」は全く別物なのだ。
米軍が福島原発の冷却支援に真水を供給
【英国】
ロイター http://jp.reuters.com/
原発予断許さない状況、事態収拾に全力=首相
大震災から2週間で死者1万人超、復興の兆しも
衛生強化の取り組み拡大 5:20am
日本の震災、米景気回復を阻害せず=ガイトナー財務長官 4:51am
東日本大震災・津波の保険対象損失、最大300億ドルと推計=リスクモデリング会社 4:00am
治療100人超なら放医研以外へ 2:02am
福島原発1、3号機原子炉に真水 1:04am
日本の保険会社9社の格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げ=S&P 12:21am
福島第1原発3号機の水たまり、原子炉から漏れた可能性=東電副社長 12:13am
3号機損傷か、自主的避難を
中国の男性が塩6.5トン買いだめ、放射能パニック収まり困惑
福島第1原子力発電所の事故による放射能汚染を危惧する中国で、放射能汚染を防ぐと思われた食塩を6.5トンも買い占めた男性が今、その塩を持て余して困っている。英字紙チャイナ・デイリーが25日報じた。
先週、食塩に含まれるヨウ素が放射能汚染を防ぐという情報が広まり、塩の価格が急騰。少なくとも半年は塩の供給が不足するとうわさされた。
塩の買いだめ騒動が起こる中、湖北省の省都、武漢在住のグオさんは6.5トンもの食塩、260袋を購入し、3台のトラックで自宅まで運んだという。配送料も含め費用は2万7000元(約33万円)かかり、塩はグオさんの住居の半分以上を占めているという。
しかしその数日後、中国政府は原発から漏れ出た放射性物質が中国国民の健康を害することはないと説明。消費者に塩の買いだめを控えるように呼び掛けた結果、今度は価格が急落した。
報道によると、塩を購入した際の領収書もなく、グオさんは転売もできず、また政府が塩の流通を厳しく取り締まっているため、他の省にも運ぶこともできず、困り果てているという。
【スイス】
スイス・インフォhttp://www.swissinfo.ch/jpn/index.html
東日本大震災 アジア経済へのマイナス影響
世界銀行は東日本大震災の復興に5年間かかる見通しを発表した。現時点で被害総額は最大2350億ドル ( 約19兆円 ) と見積もられているが、福島第一原発の事故による損害は含まれていない。
日本を襲った国内地震観測史上最大の地震は、これまでに1万人近い犠牲者を出し、行方不明者は1万7000人以上に上る ( 3月24日現在 ) 。さらに約24万人が避難所生活を強いられているという。
経済成長の鈍化
今回の大震災の影響で日本の経済成長率は0.5ポイント低下すると世界銀行は予測している。しかし、スイス経済への影響は限定的と経済専門家らは見ている。
「建物やインフラの被害は未だかつて見られない規模」と21日に世界銀行が発表した報告書には書かれている。同日、福島第一原発では外部電源の復旧には成功したが、冷却システム全体の機能はまだ回復していない。炉心溶融の危険性は色濃く、25年前のチェルノブイリ原発事故以来の大惨事を招く切迫した状況は続いている。
復興需要で早期の経済回復
世界銀行の予測では、福島第一原発は緊迫した状況下にあるものの、今年下半期以降は復興需要により日本経済は再び成長するという。日本の経済的損失は1230億 ( 約10兆円 ) ~2350億ドル ( 約19兆円 ) に上ると試算され、これは昨年の国内総生産 ( GDP ) の2.5~4%に相当する。また、民間保険会社には140億 ( 約1兆1000億円 ) ~330億ドル ( 約2兆6700億円 ) の震災関連の保険金の支払いが発生するという。
UBS銀行スペイン支社のアセットマネージメント部門で戦略部長を務めるロベルト・ルイズ・ショルテス氏は、これらの数字を現実的と判断する。
「日本経済の今年の成長率は予測以上に鈍化するだろう。予測の1.5%に対し、わたしたちは1%と見積もっている」
一方、2012年の成長率の見通しは2.1%から2.5%に引き上げたという。その理由は、地震と津波で被害にあった東北地方の復興需要だ。
経済大国でなくなった日本
震災前の統計によれば、日本のGDPが世界に占める割合は6%程度だった。そのため、世界経済が被る打撃はかなり限定的だとショルテス氏は言う。最悪の場合でも今年の世界の経済成長率は約0.1ポイントの低下にとどまるという。
ヨーロッパ経済への影響はそれ以上に限定的だという。スイスの対日輸出は全体の3.5%を占めるのみで、欧州連合 ( EU ) では1%だけだ。
もう一つのスイス大手銀行クレディ・スイス ( Credit Suisse ) も同様の数字を提示。原発事故が拡大した場合、日本経済の今年の成長率は約0.5ポイント低下、世界経済では0.2ポイントのマイナス成長の見通しだ。
製造業の停滞
その一方で、今回の大震災が世界経済に大きな影響をもたらすという意見もある。シンガポールのターマン・シャンムガラトナム財務相は、原発事故が消費者の信頼感や企業の景況感を損なう恐れがあると指摘した。
さらに、日本の製造業の生産停滞が国内物価を吊り上げ、重要な材料や原料の供給に支障が出るという。特に電気、自動車、造船産業への打撃が深刻だ。
アジア経済への影響
日本経済の停滞により、まず周辺のアジア諸国に波紋が広がる。短期的とはいえ、貿易相手国として重要な日本を頼れなくなることから、急成長を見せる東アジア経済が部分的にかなり減速する。
米銀行シティ・グループ ( Citigroup ) のエコノミスト、ヨハナ・チュア氏とブライアン・タン氏は、日本経済の中軸である電気、自動車、造船産業への影響を指摘する。損失は「当初の見積りより深刻だ」という。さらに、日本の電子部品、化学製品、車に頼らざるを得ないタイの製造業は最も深刻な被害を受けるリスクが高く、韓国や台湾にも影響があるという。
貿易市場の多様化でリスク回避
2010年のスイスの対日輸出額は73億フラン ( 約6500億円 ) 、輸入額は36億フラン ( 約3220億円 ) だった。今回の大震災により特に時計のような高級品の輸出は圧迫され、ヨーロッパへの日本人観光客は減少するとUBSのショルテス氏は見積もる。ただ、こうした後退は一時的なものだという。
スイス時計産業組合 ( Verbandes der Schweizer Uhrenindustrie ) の会長ジャン・ダニエル・パシェ氏によれば、今回の大震災は世界で7番目に大きい日本市場の需要を圧迫するだろう。日本はスイスの時計輸出の5%を占める。
「しかしスイスの時計産業はこうした状況を乗り越えられるだろう。リスクを分散する目的で市場の多様化を以前から行ってきたからだ」
とパシェ氏は力強く語った。
アンドレア・オルネラス
東北新幹線4月全線再開へ
放射線量、各地で減少
政府、混乱恐れ「自主避難」
東電に賠償免責の適用ない
高速・国道は復旧、地方道遅れる
東電の計画停電、長期化の見込み
中国、5県の食品輸入禁止
被災者受け入れ、950自治体に
【ロシア】
ロシア経済情報ナビ
http://www.jsn.co.jp/
ざわめく極東:東日本大震災が呼ぶ波紋
3月11日に発生した東日本大震災とその後の福島第一原子力発電所のトラブルはロシア極東でも大きな反響を呼んでいる。自治体や銀行が義捐金受付の窓口を設置して支援を呼びかける一方、各監督機関は放射能濃度の推移の監視を強化し、ヨウ素を含む医薬品や食品は飛ぶように売れた。中古車市場では今後は一度水没した中古車の搬入が増えるとの懸念から、現在庫品の相場が上昇した。政府高官らはヒステリックな振る舞いを慎むよう呼びかけ、混乱に乗じたスペキュレーションへの警戒を強めている。他方、災害支援を機に日ロ関係が修復されることを期待する声も上がっている。日本の安全神話を揺るがす事態への反応について現地の報道をまとめた。
3月18日だけで5800回計測
連邦非常事態省のビクトロフ極東センター広報部長によれば、極東の各種専門機関では3月18日だけで合計5800回以上もの放射線量計測を行ない、数値に異常がないことを確認した。550の地上観測所、連邦保安庁国境警備局の監視船、3機の連邦非常事態省のヘリコプターなどがこれを行なった(3月18日付ノーボスチ通信)。計測は連日行なわれ、各地方政府や連邦消費者権利・福祉分野監督庁の公式サイトや各種ニュースサイトでは毎日のように異常なしの報告が伝えられている。
日本から入国する人や物も計測
原発事故発生以来、日本からロシアに帰国した人や入国する船や物品にも放射能検査が行なわれるようになった。3月16日付で極東税関局はワニノ、ウラジオストク、カムチャツカ、ナホトカ、サハリン及びハサンにある海路貨物の税関で放射線モニタリングを強化したことを発表した。これらの税関では設置されている放射線モニタリングシステム「ヤンタリ」("琥珀”の意;連邦税関局の発注によりロシアの測定器メーカー「アスペクト北西」社が開発・製造)を用いた検査が実施されている。商品、輸送手段、国際郵便、個人及び手荷物に自然界と比べて高いレベルの電離性放射線が確認された場合、税関職員は放射性核種のアルファ、ベータの有無を測定できる分光放射計を使って放射線の追加モニタリングを実施することが義務付けられている。また、ハバロフスク地方では全ての国境検問所で日本からの渡航者に対する放射能検査を強化した。3月17日には東京からウラジオストクに帰国した乗客は全てウラジオストク空港で放射能検査を受けた。
ロシアの船舶会社である極東海運(FESCO)では、船上や貨物の放射能検査や航路の変更の他に、船員の健康を守るために甲板上の貨物に対しては日本で発行された放射能非汚染証明書が必要になった。また、沿海海運(PRISCO)のタンカー船も本社の特別許可なしには日本の港に寄港することができなくなった。
また3月14日にはオニシチェンコ連邦消費者権利・福祉分野監督庁長官が、脅威に関しての評価を見直すのは時期尚早であり、きちんとした評価はまだできないとしながらも、日本での事故により中国で放射能を含んだ雨が降り、特に中国産の野菜やその他の食品に依存している極東住民の健康を脅かす可能性があると述べた。ロシアにとって中国はトルコに次ぐ第2の野菜供給国であり、金額ベースでは2009年に輸入された野菜(加工品は除く)16億6000万㌦のうち2億2223万㌦が中国産だった。しかし連邦動植物衛生監督庁のポポビチ植物検疫監督部長は、地理的に見て中国の野菜が放射能に汚染される可能性はないと述べている(3月17日付Prima Media)。
3月21日からは連邦消費者権利・福祉分野監督庁も日本からロシアに入ってくる食品、貨物、輸送機関に対する放射能検査実施を国内の各連邦構成主体に指示した。3月20日(日)の時点では基準値を超える放射線の検出はなかったが、ロシアの外食店は既に前週から日本製の食品の入荷を控え始めたという(3月21日付RBC Daily)。
なお、本誌の調べによると、チェルノブイリ事故で被害を受けたこともあるロシアでは、放射性物質については、日本の食品衛生法に相当する「衛生疫学的規則及び基準№2.3.21078-01」(2011年11月6日付ロシア連邦国家衛生医師長決定)において許容値が定められている。これによると、規制対象となっている放射性核種(radionuclide)は、セシウム137とストロンチウム90の2種類のみで、放射性ヨウ素は含まれていない。これについて、半減期が短く危険性が比較的低いとされる放射性ヨウ素は、規制対象から除外されていると考えることも可能であるが、断定はできない。
また、飲料水等では、全α(アルファ)放射能及び全β(ベータ)放射能に許容値を設け、総量としての放射能を測定しているので、個別の放射性物質に対しては、許容値を設けていないようである。
(以下略)
【フィリピン】
日刊マニラ新聞
http://www.manila-shimbun.com/index.html
日系企業が震災で受けた影響のアンケート調査を日本貿易振興機構が発表
福島原発の放射能漏れ事故を受け、畜産局が日本産畜産物の輸入を一時差し止め
比政府、食品詰め合わせや防じんマスクなど救援物資約10トンを日本へ向け発送
ダバオ日系人会など、東日本大震災の避難民受け入れをダバオ市当局に申し入れ
日本赤十字社、2通りあった義援金の使途を「被災者への義援金」に統一
【タイ】
バンコク週報http://www.bangkokshuho.com/
日本人音楽家がチャリティー公演 (03/25)
日本企業の「タイ移転」に期待 (03/25)
アユタヤ銀行が開いた経済セミナーで、経済専門家たちが、震災を機に2年から3年後には生産拠点をアセアンに移す日本企業が増えるとの予測を発表。タイの有利性について意見を交わした。
著名な経済学者のソムポップ氏は、「震災直後は日本からの海外直接投資(FDI)が減るだろう。しかし、原発事故によるエネルギー不足などを受け、数年後には生産拠点を国外に移そうとする企業が増えるはず。
さらに、高齢化社会により日本はやがて深刻な労働者不足に直面するため、国外移転への必要性が高まる」と予測。移転先として、労働力や設備に恵まれたタイは優位であると述べた。
なお、他のアセアン諸国との競合力について、「タイはインフラ、労働スキルの面でまさっており、今度の総選挙で政治問題が解決されれば、さらに優位に立てる」との意見があがった。
日本産品の検査をさらに強化 (03/25)
【中国】
人民日報 http://j.peopledaily.com.cn/home.html
救援活動を阻む日本の官僚政治
地震と津波の発生から12日が経った。一部の避難所では食品、暖房、薬品などが不足し、日常のサービスの一部をボランティアに頼っている。こうした状況を見ると「政府の救援はどこで行われているのだ?」と疑問を呈さずにいられない。
アナリストからは、日本には官僚政治の伝統があり、煩瑣な決まり事が多すぎることが被災者救援の足を引っ張っているとの声が上がる。
■人には言えない効率
東北地方の多くの避難所では23日になっても相変わらず、おにぎりの配給が行われている。
アナリストは、甚大な自然災害を被った国には、4日後には自国や世界各地から救援物資が続々と到着するのが経験則だと指摘する。だがその効率性で名高く、インフラの整備された日本において、地震後数時間内に寄付された国際救援物資の多くが、いまだに首都東京の倉庫の中に眠っている。
緊急救援車両のために東北地方の多くの道路が早くから空けられていたことを記者らは目撃している。だが大量の救援物資を積んだ車両が被災地へ向い始めたのは地震から1週間経ってからだ。
国民の一部からは、救援活動の効率が低く、政府には災害に迅速に対処する能力がないとの声が上がっている。
民間組織「Mercy Corps」でグローバル緊急行動を統括するランディ・マーティン氏は「政府への国民の期待は非常に高い。民間組織は現 在、救援活動における立ち位置を見出すべく努めている。現在最も重要なのは供給チェーンを機能させることだ」と指摘する。
■融通のきかなさ
救援効率の低さについて、アナリストからは官僚政治が救援活動の足を大きく引っ張っているとの声が上がる。一部の日本企業や民間団体は政府の救援活動に助力を申し出たが、様々な原因で思いを果たせなかった。
日本郵船は救援物資を届けるヘリコプターを自社の船舶で被災地沖まで輸送することを申し出たが、政府に拒絶された。こうした活動の許可証を取得していないというのがその理由だ。
被災地入りを望んだ外国の医者は、日本の医師免許を持っていないとの理由で、「最小かつ必要」な範囲内でしか被災者の診療を行うことができない。外国から寄付された薬品の多くが被災地に届けられていない。日本の担当当局の認可薬品でないというのがその理由だ。
ある民間機構の代表は「全てに政府の認可が必要なうえ、彼らの反応が遅いので、救援物資を届けるべき速度に間に合わない」と指摘する。
震災後に救援活動を自ら組織したIBM東京支社のある職員は「彼らは書類作業について心配するのではなく、私たちを被災者のもとへ行かせるべきだ。特殊な時期には、特殊な方法を講じなければならない」と指摘する。
東日本大震災:中国市民の生活にも各地で「激震」 [08:04]
張五常氏:日本経済の回復が難しい4つの理由 [08:02]
世界的に有名な経済学者の張五常氏はこのほど、以下のようなコメントを発表した。広州日報が伝えた。
日本であれほど大きな自然災害・人災が発生したにもかかわらず、その後数日間で急激な円高が進んだ。これは我々の知る経済のロジックに反している。しかし説明がつかないのは、日本がなぜG7に円高抑制に向けた協調介入を要請したのかだ。政府は日本円の上昇を喜ぶべきだ。なぜなら、円高のおかげで国民は国外から輸入された必要物資をより多く購入できるからだ。なぜ政府は円高が輸出に不利だということの方を心配しているのだろうか?
日本政府のG7への協調介入要請については説明できないが、介入前の数日間、円高となった理由を説明してみよう。
日本では銀行で外貨を預金でき、クレジットカードでも外貨決済ができる。しかし米軍が長期滞在している沖縄を除き、日本の国内市場で使用が許可されている貨幣は日本円だけだ。地震発生後のパニック状態の中、日本の人々が銀行を信じられなくなり、クレジットカードが今後も有効かどうかを疑ったことは想像に難くない。彼らが外貨を日本円に両替したことで、日本円の需要が大きく高まったが、日本の銀行にはその時十分な日本円がなく、これが急激な円高につながったのではないか。
日本経済は簡単に回復できるだろうか?その見通しは楽観的ではない。これには以下の4つの理由がある。
第一に、日本経済はこれまで約20年間にわたって低迷してきた。第二に、今年の桜の季節、国外から日本を訪れる観光客がほとんどゼロとなる。第三に、もし報道に間違いがなければ、原発からの放射線がすでに日本の農産物を汚染している。もしそれが本当なら、政府も農産物を大量に輸入するしかないだろう。これは良い選択だが、日本の経済構造にとっては打撃となる。第四に、日本の資本と人材が大量に海外へ流出する可能性が高い。(
今年の世界経済成長率、日本の地震で0.5ポイント低下か [07:59]
チャイナネットhttp://japanese.china.org.cn/
多くの国が日本放射能汚染地域食品の輸入を制限
飲用水買占めパニック:東京の水が危ない
大手多国籍企業、10年来最大の石油密輸に関与
見直し迫られるか、日本のエネルギー戦略
福島の英雄にはただの農家も 原発側の「洗脳」による「忠誠」
大紀元http://www.epochtimes.jp/
放射能の被害に関する正しい知識を
福島原発を危惧して日本から退去する外国人たち。どこまで心配すべきなのだろうか。噂にふりまわされ、不要に脅えることなく、放射能に関する正しい知識で対処したい。東大医学部付属病院放射線科の中川恵一氏がまとめたTwitterのコメントをもとに整理してみた。
放射能とは?
ものを突き抜ける能力が高い光や粒子を放射線といいます。その放射線を出す能力が放射能です。そしてこの放射能力を持つ物質が放射性物質です。
放射性物質の例は?
今回の原発事故では、放射性ヨードとセシウムが微量に検出されました。ウランの核分裂で生成されたものです。放射性ヨードとはパセドウ氏病(甲状腺機能の過剰)の治療に利用されます。治療に利用される量を考えたら、検出された量は僅かなものです。甲状腺に放射性ヨードが取り込まれた場合、30日で半分の量が体内から排出されていきます。
CT検査などは医療被曝として分類されます。放射線量の制限は設けられておらず、日本では国民一人当たりの医療被曝は年間平均約2−3mSvとされています。
私たちは常に日常、被曝してるって本当ですか?
自然被曝といわれますが、大気、大地、宇宙、食料から放出される放射線を、年間2.4mSv(ミリシーベルト)=2400μSvの割合で浴びています。
どのように人体に害を及ぼすのですか?
放射線にあたる量が多くなると、遺伝子が破損し、人体に影響を及ぼします。100mSvの蓄積以上がなければ発ガンのリスクも上がりません。
どの程度の被曝で症状が出るのでしょうか?
放射線量は200mSvが最小の検出可能な量ですが、症状が出るレベルは1000mSvです。4000mSvになると、60日後に50%の確率で亡くなると見られています。
東京の被曝レベルは?
3月15日、1時間1μSv=100日で2.4mSvの放射能が検出され、心配しましたが、16日以降は、環境放射線は、東京、神奈川、千葉、埼玉で、1時間1mSvから0.052−0.053mSvのレベルに下がっています。1時間1μSvとしても発ガンリスクの問われる100mSvに到達するには、11.4年かかります。
妊婦への影響は?
放射線は妊娠後4ヶ月以内が最も胎児に影響を与えるといわれています。100mSv未満なら、その後の胎児には影響は出ないことが示されています。
乳幼児への影響は?
今回の原発事故は連鎖反応を起こしたチェルノブイリというよりも、スリーマイル島原発事故に似ています。この際、小児の発ガンリスクの上昇は見られませんでした。
被爆症状を抑えるために、製剤を服用するといいということを耳にしましたが、適切でしょうか?
ヨウ化カリウム製剤の服用などは一切不要です。また、ヨードを含むといわれるイソジンの服用も絶対やめてください。アレルギーや甲状腺機能異常などの副作用のほうがはるかに危険です。
不安や動揺から、理性的ではない行動をとってしまわないように、くれぐれも気をつけましょう。
福島原発事故 その回顧と反省
2011年3月1日午後2時46分、日本の東北地方・三陸沖で、マグニチュード9.0の強烈な地震が発生した。1分後、ネット上に福島原子力発電所の稼動中の3機の原子炉が自動的に停止したというニュースが流れた。最初、このニュースを見た時、日本は地震の多い国であり、深刻にとらえていなかったが、まさか原子力発電史上、これほど深刻な事故に発展するとは全く思ってもいなかった。
事故の回顧
原子炉は連鎖反応は止められたが、まだ余熱や核分裂生成物の崩壊熱が残っていた。その余熱をシステムから導き出さなければ、核燃料が熱で溶ける「炉心溶融」が起こる。最初の段階ではこの3機(1、2、3号)はいずれも正常であった。しかし、地震後1時間、大津波が発電所を襲い、平常時の冷却水用電源を壊しただけでなく、非常用のディーゼル発電機までも破壊した。この3機の炉心温度と内圧が持続的に高くなった。11日夜10時ごろ、東電はこの事故を公表した。炉心温度が持続的に高くなると、核燃料を包む被覆材のジルコニウム金属が水と反応し、水素が発生する。水素は非常に爆発しやすく、原子力発電で如何に防止するかが重要な問題である。1、3号機は格納容器内の圧力を逃がすために、弁を開け蒸気を外へ逃がした。そのため、弁を開いて放射性物質を含んだ水蒸気を大気中に放出した。この作業により、敷地境界域で1015μSv/hの放射線を確認。燃料棒も一部溶解。12日夜、日本初となる原子力緊急事態宣言が発令され、周辺半径20kmの住民には避難指示が出された。
しかし、その後1、3号機で連続して建屋内で水素爆発が起こり、建屋の天井などが吹き飛ばされた。2号機は弁を開けて減圧する操作をしなかったが、なんらかの爆発が起こり、圧力抑制室が破損し、遮蔽の作用を失った。直ちに3機とも核燃料が水面から露出し、「炉心溶融」を起こす危険性が発生した。12日夜、冷やすために海水の注入を開始した。海水は原子炉部品を著しく腐食するため、この措置は東京電力が、三つの原子炉を放棄したことを意味する。悪いことは続いて、15日、定期点検中の4号機が爆破、火災が発生、露出した核燃料により、発電所敷地内の放射能の量が急激に上昇し、50人のスタッフを残して大部分のスタッフは避難せざるを得なくなった。その後、ヘリコプターなどによる放水も行われた。3月18日、経済産業省原子力安全・保安院は1~3号機の事故の深刻さを示す国際評価尺度(INES)を、8段階のうち3番目に深刻な「レベル5」にすると発表した。明るいニュースとしては、原子炉の冷却機能の回復を目指した電源復旧作業がうまくいっていることである。
原子力発電への反省
今回の原子力発電所事故は最終的にどうなるかまだ分からないが、原子力発電の発展に対して、初歩的な反省をしてみよう。
事故全体の過程を見れば、少なくとも三つの主要な問題が現れている。
1、原子力発電所における基本的な設計基準に対する再検討の必要性
2、運転中の原子力発電所の設計上の欠陥に対してどのように補うか
3、原子力発電所のような人類がまだ完全に理解していない複雑な工業システムにどのように対処するか
米国が原爆開発のマンハッタン計画を完成した後、大規模に商用原子炉を造り始めた。今から見れば、これはまだ原子力発電所の安全性に対する基本的な理解が欠けている状況下で始めたあまりにも性急な行動だったと言える。原子力発電所の総合的なリスクを解析的に評価する最初のものとして、WASH-1400報告が米国で1975年に完成され、その後の原子力発電所の安全研究の発展方向に極めて大きい影響を及ぼした。この報告の一つの重要な結論は、確率の小さい事件が重なれば、大きい災難をもたらすということである。その4年後に起きた米国のスリーマイル島原子力発電所事故はこの結論を証明した。
スリーマイル島の事故は、はじめて世界の原子力発電工業に大きな打撃を与えた。米国ですべての原子力発電所に対して、全面的な安全性の評価を行った後、新しい原子力発電所の建設を完全に停止した。しかし、20数億ドルかけて、スリーマイル島原子力発電所の事故に対し、詳しい研究を行った。その研究を基礎に新しい原子力発電所の安全基準を創立し、所謂第3世代の原子炉を開発した。これらの新しい原子炉の基本的な特徴は、固有の安全性を高めること、例えば冷却剤の受動的安全注入系のようなもの、つまり外部電源を必要とせず、システム固有の能力に頼って冷却剤を注入して炉心を冷却し、同一の原因で複数のシステムの同時障害を起こす事故の発生を防ぐ。福島事故はこれらの要求の正しさを実証したが、上述の研究はまだ「外部事件」例えば巨大な津波に対して十分な検討をしていないと言える。
それ以来10年、原子力発電工業の人気は少しずつ回復したが、1986年に発生したソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故は徹底的に世界の核工業を震え上がらせた。この事故は原子力発電所に関する安全性の分析のもう一つの結論を実証した。すなわち、80%の原子力発電所事故は人為的な要素が原因であり、また、これらの人為的な要素のうち80%が企業組織と企業文化が要素である。原子力発電所の安全性における人為的な要素の支配的役割は、現在の原子力発電所の設計における固有の安全性の深刻な欠如を反映している。
この二度の大事故の後、世界の核工業界は各種の設計基準を超える事故について広範な研究を行ったが、そこから誕生した第3世代の原子炉はやはりいくつかの肝心な安全問題、例えばテロ活動や戦争を完全に解決できない。現在、加圧水型原子炉の安全基準は小型の飛行機の直接衝突に耐えられるが、テロリストが大型の旅客機をハイジャックして自殺した米国911事件のような行為には対抗できない。スリーマイル島、チェルノブイリと福島はいずれも確率が百万分の1ないし10万分の1より小さいと思われることによって発生し、また100年間で二度の世界大戦が発生し、数十回の局地戦争、数え切れない数のテロ攻撃があった。人類はこれらの事件の中で安全性の保障を確保できるかどうかが、原子力発電が直面する最も基本的な問題でもあり、そして困難でもある。
米国の第3世代原子炉AP1000は設計の洪水水位が100フィートであるが、現在運行中の多くの原子力発電所は設計基準がその3分の1しかない。スリーマイル島事故発生後、人々は原子力発電所のセキュリティー上のリスクがあることを意識したが、これらの原子炉を停止し、大規模な救済策を講じる必要があるとは考えていなかった。チェルノブイリ事故後、人々はその安全性が現在稼働中の多数の原子力発電所よりずっと低いと思ったに過ぎなかった。しかし、福島の事故は人々の最後の幻想を打ち破った。人々はほとんど絶対に発生し得ないと思われていた事故がわずか数十年間ですでに3回発生した。現存する4、500の原子炉は大多数そのセキュリティーが福島原子力発電所と同じレベルにあり、何を喜捨するかは、いずれ選択をしなければならないだろう。
原子力発電所は現在の人類の造ったものの中で、最も複雑な工業システムであり、セキュリティーと技術に対する要求も最も高い。人類はすでにそれに対して無数の財力をかけて研究を行ってきた。しかし現在、人類の認識水準はこれらを系統的にはっきり理解するところまではぜんぜん至っていない。それらの未知の要素は人類社会に対して巨大な影響を及ぼし、商業活動における利益追求の特徴は企業のセキュリティー文化と組織を深刻に歪曲し、80%の根本的なセキュリティー要素にも影響を及ぼしている。これらの基本的な問題に対する判断と選択は、すでに回避できなくなっている。
李旭彤
【韓国】
中央日報http://japanese.joins.com/
【社説】原発の未来、歴史的選択を
日本原発の非常事態に対処する韓国政府の釈明はあまり説得力がない。政府は「韓国原発は4重装置で保護されているから安全だ」という線から一歩も進んでいない。福島原発の放射能による被害の可能性も「地球の自転と偏西風のため、風や潮流に乗って韓国に来る可能性はゼロ」という言葉ばかり繰り返している。これでは社会を安心させるのは難しい。漠然とした不安が不信を招き、大きな社会的費用につながるのをBSE(牛海綿状脳症)事件ですでに経験した。原発問題も福島の事態を受け、30年間苦労して築いた塔が一瞬にして崩れる敏感な懸案だ。
政府はまず常識的な水準の質問から明確に釈明しなければならない。果たして韓国の原発地帯に大型地震が発生する可能性はどの程度なのか、予想外の大規模な津波に備えた安全装置は十分なのかについて納得させなければならないだろう。経済性と危機費用を考えてマグニチュード7.0の地震に耐えられる原発を建設しようとするなら、今より費用がどれほど追加で必要になるかも公開しなければならない。地球の自転と偏西風を考慮し、現在、中国西海岸に集中的に建設される原発の事故に備えた非常対策は準備しているのかも気になる。
幸い、原発専門家があちこちで集まり、具体的な問題点と代案を提示し始めた。一部の専門家は国内原発が高度10メートルに建設され、3メートル以上の津波にぜい弱であるため、海岸に防護壁を築くべきだと指摘している。津波直前に海水が突然抜ける時、取水口に空気が入って冷却施設が破損しないよう、取水口の安全性を高めるべきだという声も出てきた。原発の後方がほとんど山岳地形であるため、津波で押し寄せた水が抜けにくいだけに、原発周辺に防壁を積もうという案も登場した。東海岸に地震を感知する観測所と水中音波観測所がほとんどない点も問題だ。政府はこうした合理的な意見から積極的に受け入れる姿勢を見せる必要がある。
原発の歴史を振り返ってみると、いま私たちは重要な選択を目の前に置いている。全斗煥(チョン・ドゥファン)政権は1986年、韓国型原子炉開発に着手する決断をした。当時、記録的に落ちた国際石炭価格は原発の経済性を根元から揺さぶり、同年4月には史上最悪のチェルノブイリ原発事故が発生した。こうした逆流の中で下した25年前の決断が、結局、韓国原発のルネサンスを呼び、初の海外原発受注につながった。
ほとんどのエネルギーを輸入に依存する韓国は他の方法が見えない。経済性や環境問題を考えても、原発を持続的に建設するしか方法はない。しかし福島から、韓国原発の青写真を丸ごと崩壊させるかもしれない超大型津波が押し寄せている。しかも全斗煥軍事政府は強圧的に政策を押し通したが、李明博(イ・ミョンバク)政権は政治環境が違う。国民全体が合理的な選択ができるように民主的に着実に説得する道しかない。「原発は続けるべき」という至上命令を完遂するには、より開かれた姿勢で、より活発な対国民疎通が必要な時期だ。
朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/
東日本巨大地震:命懸けで作業を行う人たちの給料は?
放射能漏れの深刻な状況が続く福島第一原子力発電所の事故現場では、自衛隊や消防隊員のほか、残骸の除去作業などを行う数百人の作業員がいる。米ウォールストリート・ジャーナルは24日付に「原子炉戦闘の裏側、作業員部隊」と題する記事を掲載し、現場作業員らの待遇について紹介した。
同紙によると、東京電力をはじめ事故現場に作業員を派遣している企業は、作業員らに対して従来の傷害保険、疾病保険以外に特別な手当は支給していないという。東京電力の下請け作業を手掛ける東海塗装で原子炉の特殊コーティング作業を行っているタダ・ケンジさん(29)は「怖い」と正直に打ち明けながらも「誰かがやらないと」と語った。放射線にさらされながら作業を行うタダさんの給与は月20万円ほどで、これは日本の平均給与(29万1000円)に比べかなり安い。作業員を派遣している東海塗装の専務は「国が危機的状況にある中、この任務を金のためにやっている人などいない」と語る。
事故処理に当たっている作業員は、タダさんのように工業高校出身者が多く、決して高学歴とは言えない。彼らに特別な技術があるとすれば、放射能にさらされる危険な環境での作業に慣れているという点だろう。
東日本巨大地震:「東京電力社長はどこに行った」
「東京電力の社長はなぜ謝罪しないのか」
福島原子力発電所を運営する東京電力の清水正孝社長が13日以降の記者会見や事故説明に全く姿を見せていないことから、市民の怒りが爆発している。インターネットサイトには「清水社長を刑事処罰しよう」という書き込みまで掲載されている。日本の企業では、社会的に物議を醸す事故があった場合、社長が自ら記者会見を行い「心から…非常に…誠に申し訳ありません」と何度も腰を90度に曲げ謝罪する。
清水社長は13日の記者会見で「津波が一番の問題だ」と、安全管理責任よりも自然災害だったことを強調する発言をしていた。清水社長は、役員報酬削減などを主導したことから「コストカッター」という異名を持つ人物だ。今回の事故についても「コスト節減に執着し、安全管理をきちんとしなかったため」という声が上がっている。
清水社長の代わりに皷(つづみ)紀男副社長が福島県内の避難所を訪れ、被災者におわびをしている。東京電力は原発事故による農作物廃棄や、避難による多額の損害賠償で、破綻の可能性まで取り沙汰されている。
地震発生初期に頻繁に記者会見を行い「冷静に行動しよう」と呼び掛けた菅直人首相もテレビ画面に現れなくなった。その代わり、枝野幸男官房長官が1日に3-4回記者会見を行っている。このため「一体、首相はどこで何をしているのか」との批判が出ている。「菅首相が会見を避けているのは、原発事故が悪化していることに伴う政治的負担を減らすため」という分析もある。
【米国】
ウォール・ストリート。ジャーナルhttp://jp.wsj.com/
【オピニオン】日本が直面する本当の試練とは
日本にとって、震災後の復興は比較的簡単な部分だろう。日本が今の形のままで長期的に生き残ることの方が難しい。
生まれた時から「和」を重んじ、民族的にもほぼ単一で、社会的結束の強い国であることの利点は多い。深刻な打撃を受けても立ち上がろうとする今の日本に、それはよく表れている。
それは前にも目にした光景だ。1995年の阪神・淡路大震災の後、第二次世界大戦で日本の都市が焦土と化した後、広島と長崎の後、そして1923年の関東大震災の後。この国は、困難を切り抜けることについては完璧な術を持っている。
今再び、日本社会を結ぶ地域社会の助け合いの本能が呼び覚まされ、犠牲者を悼み、がれきを撤去し、家とビジネスを再建していくだろう。トヨタ自動車の米国工場やゼネラル・モーターズ(GM)、ボルボは、日本からの部品調達難で一時的な混乱に見舞われるかもしれない。しかし、過去を振り返ってみると、グローバル・サプライチェーンの日本の鎖は、大方の予想を上回る速さで修復され、改善されると思われる。
日本は大なり小なり、これに似た経験がある。1993年、住友化学の愛媛工場で溶媒タンクが爆発して工場が損壊、コンピューター向け半導体のスポット価格が世界的に急騰した。同工場では、世界供給の60%に相当する半導体封止材が製造されていた。まさに日本が世界のサプライチェーンのボトルネックとなり、市場では品不足が懸念された。
しかし、予想よりも早く、数カ月以内で、住友化学は製造ラインのうち一本の再開にこぎつけた。他の日本のサプライヤーも迅速に代替品の生産を増やした。一転、世界市場は、不足ではなく、過剰な供給を予測した。
神戸が生まれ変わったのは、震災前からの主要産業である製造業と海運業の拠点としてだけではない。神戸は、震災を、将来について再考し、バイオメディカル・センターとして再生する機会として捉えた。政府は資金を出し、外国人研究者のビザなどの規制緩和を行った。この結果、国内だけでなく、米国やドイツから多くの医薬品企業が神戸に集まった。
単一性と社会的結束は、国家にエネルギーと方向性を与えてくれるものの、その一方で、欠点もある。そして、日本は、それを驚くほど安穏として看過している。これが、日本の長期的な見通しが不確かな部分だ。
他の文化に価値観を壊されることへの恐れから、日本は移民をほぼ閉め出している。また、厳しい規範から、会社員は夜遅くまでオフィスでの残業を強いられる。このため女性は仕事か家庭かの難しい選択を迫られ、最近は仕事を選ぶ傾向が強まっている。
その結果、日本の出生率では、毎年の死亡者数をカバーすることができない。また、日本の移民政策では、経済を押し上げる力となる世界の頭脳、労働力、納税者を利用することができない。日本は縮小に向かっているのだ。
また、結束は、「島国根性」や「公的立場を利用した自己取引」と言い換えられる場合もある。ここで問題なのは、日本の巨大な官僚制度だ。数十年にわたる一党独裁が政治の発展を妨げ、官僚が国を動かすこととなってしまった。
日本の規制当局と監督対象産業の間の「回転ドア」は、よくオイルが差されており、よく使われている。多くの場合、官僚トップは、退職後に民間セクターで有利なポストを期待できる。
これがどんな影響をもたらすかは想像がつく。日本の銀行は1980年代から90年代にかけて、当局の手が付けられない状態だった。というのは、その頃、銀行の経営陣には、大蔵省(当時)や日銀を退官した元官僚が加わることがしばしばあり、その際、彼らの元部下が監督当局の幹部ということも少なくなかった。上下関係が尊重される日本社会では、このつながりは退職後も続く。新たな監督当局者は、銀行が傾いている時でさえ、元上司との対立を嫌った。
この慣行は「天下り」と呼ばれている。原子力行政を規制する経済産業省の元官僚7人は、東京電力で民間部門の給料を受けていた。
そのうちのひとりが石田徹・前資源エネルギー庁長官だ。彼は昨年退官し、数カ月後に東京電力顧問に就任した。
東京電力は、日本の北東部に今、放射能を拡散している福島原発を運営している企業だ。福島原発には事故の歴史があり、東電は安全性のデータ改ざんの過去を持つ。東電とその監督当局は、今回の危機への対応が遅れたと批判されている。
アジアに関する著作のある元米貿易交渉担当者、クライド・プレストウィッツ氏は、「日本にのしかかる、二つの極めて大きな問題がある」と指摘する。同氏は「ひとつは人口減少で、長期的に日本はゆっくり自殺に向かっている。二つ目は機能不全な官僚システムだ。政治家には大きな権力がない。監督当局は、国民のためではなく、自らの引退後のために規制を行っている」と言う。
どちらの意味においても――いかに国家として長く生き延びるのか、そしていかに国家の運営方法を選ぶか――日本に残された時間は限られている。「結束」と「静止」は全く別物なのだ。
米軍が福島原発の冷却支援に真水を供給
【英国】
ロイター http://jp.reuters.com/
原発予断許さない状況、事態収拾に全力=首相
大震災から2週間で死者1万人超、復興の兆しも
衛生強化の取り組み拡大 5:20am
日本の震災、米景気回復を阻害せず=ガイトナー財務長官 4:51am
東日本大震災・津波の保険対象損失、最大300億ドルと推計=リスクモデリング会社 4:00am
治療100人超なら放医研以外へ 2:02am
福島原発1、3号機原子炉に真水 1:04am
日本の保険会社9社の格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げ=S&P 12:21am
福島第1原発3号機の水たまり、原子炉から漏れた可能性=東電副社長 12:13am
3号機損傷か、自主的避難を
中国の男性が塩6.5トン買いだめ、放射能パニック収まり困惑
福島第1原子力発電所の事故による放射能汚染を危惧する中国で、放射能汚染を防ぐと思われた食塩を6.5トンも買い占めた男性が今、その塩を持て余して困っている。英字紙チャイナ・デイリーが25日報じた。
先週、食塩に含まれるヨウ素が放射能汚染を防ぐという情報が広まり、塩の価格が急騰。少なくとも半年は塩の供給が不足するとうわさされた。
塩の買いだめ騒動が起こる中、湖北省の省都、武漢在住のグオさんは6.5トンもの食塩、260袋を購入し、3台のトラックで自宅まで運んだという。配送料も含め費用は2万7000元(約33万円)かかり、塩はグオさんの住居の半分以上を占めているという。
しかしその数日後、中国政府は原発から漏れ出た放射性物質が中国国民の健康を害することはないと説明。消費者に塩の買いだめを控えるように呼び掛けた結果、今度は価格が急落した。
報道によると、塩を購入した際の領収書もなく、グオさんは転売もできず、また政府が塩の流通を厳しく取り締まっているため、他の省にも運ぶこともできず、困り果てているという。
【スイス】
スイス・インフォhttp://www.swissinfo.ch/jpn/index.html
東日本大震災 アジア経済へのマイナス影響
世界銀行は東日本大震災の復興に5年間かかる見通しを発表した。現時点で被害総額は最大2350億ドル ( 約19兆円 ) と見積もられているが、福島第一原発の事故による損害は含まれていない。
日本を襲った国内地震観測史上最大の地震は、これまでに1万人近い犠牲者を出し、行方不明者は1万7000人以上に上る ( 3月24日現在 ) 。さらに約24万人が避難所生活を強いられているという。
経済成長の鈍化
今回の大震災の影響で日本の経済成長率は0.5ポイント低下すると世界銀行は予測している。しかし、スイス経済への影響は限定的と経済専門家らは見ている。
「建物やインフラの被害は未だかつて見られない規模」と21日に世界銀行が発表した報告書には書かれている。同日、福島第一原発では外部電源の復旧には成功したが、冷却システム全体の機能はまだ回復していない。炉心溶融の危険性は色濃く、25年前のチェルノブイリ原発事故以来の大惨事を招く切迫した状況は続いている。
復興需要で早期の経済回復
世界銀行の予測では、福島第一原発は緊迫した状況下にあるものの、今年下半期以降は復興需要により日本経済は再び成長するという。日本の経済的損失は1230億 ( 約10兆円 ) ~2350億ドル ( 約19兆円 ) に上ると試算され、これは昨年の国内総生産 ( GDP ) の2.5~4%に相当する。また、民間保険会社には140億 ( 約1兆1000億円 ) ~330億ドル ( 約2兆6700億円 ) の震災関連の保険金の支払いが発生するという。
UBS銀行スペイン支社のアセットマネージメント部門で戦略部長を務めるロベルト・ルイズ・ショルテス氏は、これらの数字を現実的と判断する。
「日本経済の今年の成長率は予測以上に鈍化するだろう。予測の1.5%に対し、わたしたちは1%と見積もっている」
一方、2012年の成長率の見通しは2.1%から2.5%に引き上げたという。その理由は、地震と津波で被害にあった東北地方の復興需要だ。
経済大国でなくなった日本
震災前の統計によれば、日本のGDPが世界に占める割合は6%程度だった。そのため、世界経済が被る打撃はかなり限定的だとショルテス氏は言う。最悪の場合でも今年の世界の経済成長率は約0.1ポイントの低下にとどまるという。
ヨーロッパ経済への影響はそれ以上に限定的だという。スイスの対日輸出は全体の3.5%を占めるのみで、欧州連合 ( EU ) では1%だけだ。
もう一つのスイス大手銀行クレディ・スイス ( Credit Suisse ) も同様の数字を提示。原発事故が拡大した場合、日本経済の今年の成長率は約0.5ポイント低下、世界経済では0.2ポイントのマイナス成長の見通しだ。
製造業の停滞
その一方で、今回の大震災が世界経済に大きな影響をもたらすという意見もある。シンガポールのターマン・シャンムガラトナム財務相は、原発事故が消費者の信頼感や企業の景況感を損なう恐れがあると指摘した。
さらに、日本の製造業の生産停滞が国内物価を吊り上げ、重要な材料や原料の供給に支障が出るという。特に電気、自動車、造船産業への打撃が深刻だ。
アジア経済への影響
日本経済の停滞により、まず周辺のアジア諸国に波紋が広がる。短期的とはいえ、貿易相手国として重要な日本を頼れなくなることから、急成長を見せる東アジア経済が部分的にかなり減速する。
米銀行シティ・グループ ( Citigroup ) のエコノミスト、ヨハナ・チュア氏とブライアン・タン氏は、日本経済の中軸である電気、自動車、造船産業への影響を指摘する。損失は「当初の見積りより深刻だ」という。さらに、日本の電子部品、化学製品、車に頼らざるを得ないタイの製造業は最も深刻な被害を受けるリスクが高く、韓国や台湾にも影響があるという。
貿易市場の多様化でリスク回避
2010年のスイスの対日輸出額は73億フラン ( 約6500億円 ) 、輸入額は36億フラン ( 約3220億円 ) だった。今回の大震災により特に時計のような高級品の輸出は圧迫され、ヨーロッパへの日本人観光客は減少するとUBSのショルテス氏は見積もる。ただ、こうした後退は一時的なものだという。
スイス時計産業組合 ( Verbandes der Schweizer Uhrenindustrie ) の会長ジャン・ダニエル・パシェ氏によれば、今回の大震災は世界で7番目に大きい日本市場の需要を圧迫するだろう。日本はスイスの時計輸出の5%を占める。
「しかしスイスの時計産業はこうした状況を乗り越えられるだろう。リスクを分散する目的で市場の多様化を以前から行ってきたからだ」
とパシェ氏は力強く語った。
アンドレア・オルネラス
東北新幹線4月全線再開へ
放射線量、各地で減少
政府、混乱恐れ「自主避難」
東電に賠償免責の適用ない
高速・国道は復旧、地方道遅れる
東電の計画停電、長期化の見込み
中国、5県の食品輸入禁止
被災者受け入れ、950自治体に
【ロシア】
ロシア経済情報ナビ
http://www.jsn.co.jp/
ざわめく極東:東日本大震災が呼ぶ波紋
3月11日に発生した東日本大震災とその後の福島第一原子力発電所のトラブルはロシア極東でも大きな反響を呼んでいる。自治体や銀行が義捐金受付の窓口を設置して支援を呼びかける一方、各監督機関は放射能濃度の推移の監視を強化し、ヨウ素を含む医薬品や食品は飛ぶように売れた。中古車市場では今後は一度水没した中古車の搬入が増えるとの懸念から、現在庫品の相場が上昇した。政府高官らはヒステリックな振る舞いを慎むよう呼びかけ、混乱に乗じたスペキュレーションへの警戒を強めている。他方、災害支援を機に日ロ関係が修復されることを期待する声も上がっている。日本の安全神話を揺るがす事態への反応について現地の報道をまとめた。
3月18日だけで5800回計測
連邦非常事態省のビクトロフ極東センター広報部長によれば、極東の各種専門機関では3月18日だけで合計5800回以上もの放射線量計測を行ない、数値に異常がないことを確認した。550の地上観測所、連邦保安庁国境警備局の監視船、3機の連邦非常事態省のヘリコプターなどがこれを行なった(3月18日付ノーボスチ通信)。計測は連日行なわれ、各地方政府や連邦消費者権利・福祉分野監督庁の公式サイトや各種ニュースサイトでは毎日のように異常なしの報告が伝えられている。
日本から入国する人や物も計測
原発事故発生以来、日本からロシアに帰国した人や入国する船や物品にも放射能検査が行なわれるようになった。3月16日付で極東税関局はワニノ、ウラジオストク、カムチャツカ、ナホトカ、サハリン及びハサンにある海路貨物の税関で放射線モニタリングを強化したことを発表した。これらの税関では設置されている放射線モニタリングシステム「ヤンタリ」("琥珀”の意;連邦税関局の発注によりロシアの測定器メーカー「アスペクト北西」社が開発・製造)を用いた検査が実施されている。商品、輸送手段、国際郵便、個人及び手荷物に自然界と比べて高いレベルの電離性放射線が確認された場合、税関職員は放射性核種のアルファ、ベータの有無を測定できる分光放射計を使って放射線の追加モニタリングを実施することが義務付けられている。また、ハバロフスク地方では全ての国境検問所で日本からの渡航者に対する放射能検査を強化した。3月17日には東京からウラジオストクに帰国した乗客は全てウラジオストク空港で放射能検査を受けた。
ロシアの船舶会社である極東海運(FESCO)では、船上や貨物の放射能検査や航路の変更の他に、船員の健康を守るために甲板上の貨物に対しては日本で発行された放射能非汚染証明書が必要になった。また、沿海海運(PRISCO)のタンカー船も本社の特別許可なしには日本の港に寄港することができなくなった。
また3月14日にはオニシチェンコ連邦消費者権利・福祉分野監督庁長官が、脅威に関しての評価を見直すのは時期尚早であり、きちんとした評価はまだできないとしながらも、日本での事故により中国で放射能を含んだ雨が降り、特に中国産の野菜やその他の食品に依存している極東住民の健康を脅かす可能性があると述べた。ロシアにとって中国はトルコに次ぐ第2の野菜供給国であり、金額ベースでは2009年に輸入された野菜(加工品は除く)16億6000万㌦のうち2億2223万㌦が中国産だった。しかし連邦動植物衛生監督庁のポポビチ植物検疫監督部長は、地理的に見て中国の野菜が放射能に汚染される可能性はないと述べている(3月17日付Prima Media)。
3月21日からは連邦消費者権利・福祉分野監督庁も日本からロシアに入ってくる食品、貨物、輸送機関に対する放射能検査実施を国内の各連邦構成主体に指示した。3月20日(日)の時点では基準値を超える放射線の検出はなかったが、ロシアの外食店は既に前週から日本製の食品の入荷を控え始めたという(3月21日付RBC Daily)。
なお、本誌の調べによると、チェルノブイリ事故で被害を受けたこともあるロシアでは、放射性物質については、日本の食品衛生法に相当する「衛生疫学的規則及び基準№2.3.21078-01」(2011年11月6日付ロシア連邦国家衛生医師長決定)において許容値が定められている。これによると、規制対象となっている放射性核種(radionuclide)は、セシウム137とストロンチウム90の2種類のみで、放射性ヨウ素は含まれていない。これについて、半減期が短く危険性が比較的低いとされる放射性ヨウ素は、規制対象から除外されていると考えることも可能であるが、断定はできない。
また、飲料水等では、全α(アルファ)放射能及び全β(ベータ)放射能に許容値を設け、総量としての放射能を測定しているので、個別の放射性物質に対しては、許容値を設けていないようである。
(以下略)
【フィリピン】
日刊マニラ新聞
http://www.manila-shimbun.com/index.html
日系企業が震災で受けた影響のアンケート調査を日本貿易振興機構が発表
福島原発の放射能漏れ事故を受け、畜産局が日本産畜産物の輸入を一時差し止め
比政府、食品詰め合わせや防じんマスクなど救援物資約10トンを日本へ向け発送
ダバオ日系人会など、東日本大震災の避難民受け入れをダバオ市当局に申し入れ
日本赤十字社、2通りあった義援金の使途を「被災者への義援金」に統一
【タイ】
バンコク週報http://www.bangkokshuho.com/
日本人音楽家がチャリティー公演 (03/25)
日本企業の「タイ移転」に期待 (03/25)
アユタヤ銀行が開いた経済セミナーで、経済専門家たちが、震災を機に2年から3年後には生産拠点をアセアンに移す日本企業が増えるとの予測を発表。タイの有利性について意見を交わした。
著名な経済学者のソムポップ氏は、「震災直後は日本からの海外直接投資(FDI)が減るだろう。しかし、原発事故によるエネルギー不足などを受け、数年後には生産拠点を国外に移そうとする企業が増えるはず。
さらに、高齢化社会により日本はやがて深刻な労働者不足に直面するため、国外移転への必要性が高まる」と予測。移転先として、労働力や設備に恵まれたタイは優位であると述べた。
なお、他のアセアン諸国との競合力について、「タイはインフラ、労働スキルの面でまさっており、今度の総選挙で政治問題が解決されれば、さらに優位に立てる」との意見があがった。
日本産品の検査をさらに強化 (03/25)