岐阜大学教育学部附属小中学校 令和4年度 教育研究会へ行ってきました
ここから https://www.fuzoku.gifu-u.ac.jp/research/
当日の資料です。こうして見ることができるのはありがたいです。
全体会 | 全体研究 |
公開Ⅰ「どう生きる科」 | |
公開Ⅱ「どう生きる科」 | |
公開Ⅲ「授業等」 |
以降は、私の主観による個人的な感想です。
全体会からスタート。統括校長挨拶で、若くてきれいな人が壇上に上がったのでびっくり!大学の先生か?
研究構想は、https://www.fuzoku.gifu-u.ac.jp/file/zentai.pdf をご覧いただきたい。
特に心に残ったのは、ラーニングコンパス2030。
左下をご覧ください。
コンピテンシーとして挙げられたのは、新たな価値を創造する力、責任ある行動をとる力、対立やジレンマに対処する力
この3つ。3点目は、私は「問題解決の力」と広くとらえていたのですが、岐阜大学教育学部附属小中学校は違います。引用します。
本校は自己実現に向かう児童生徒の資質・能力を(表3)にもあるように、「問題解決力」「関係構築力」「貢献する人間性」の三つを設定している。これは、学習指導要領における学習の基盤となる資質・能力と捉えることができる。
また、これらの三つの資質・能力を育むためには、次の三つの場が必要であると考えた。
一つ目は、実社会・実生活にあるテーマに対して探究的に学ぶ場のことである。
二つ目は、その探究の中で起こる「エラー」や「ジレンマ」に対して道徳的な議論を繰り返し、他者の価値観を受容して共感的に理解し、他者と自分の幸せのために何ができるのかを考え、行動することができる場である。「エラー」とは、児童生徒にとって、探究の中でうまくいかないこと、乗り越えるべき壁、「ジレンマ」とは、二つ以上の価値で葛藤することと本校では定義している。
三つ目は、児童生徒が自身の変容や成長を自覚することにより、自分らしさを生かし、他者や社会を受け入れながら、自分と社会の未来に夢と責任をもって行動する場である。
この2点目は、対立やジレンマそのものです。
次は、育みたい資質能J力です。
この3点目、「貢献する人間性」は、学習指導要領の「学びを人生や社会で生かそうとする学びに向かう力、人間性等」のことです。この中の説明「責任をもって行動」は、ラーニングコンパスのコンピテンシーの一つです。
さすがです。
「どう生きる科」7年2組の授業を紹介します。
テーマは、「これからの柳ヶ瀬商店街」
ゲストティーチャー(GT)が2名おり、一人は従来の商店街を残す派、一人は再開発する派の人です。
最初に、後者のGTから発言がありました。「再開発と言ってもすべてなくすわけではない。残すものは残して、全体として人口や人流れを増やし、商店街を活性化する。」
おそらく、生徒が「残す派」偏っていたのでしょう、。バランスをとった気がします。
以後、6つのグループがタブレットでベン図に書き込んでいきます。それがモニターに映し出されています。
この時間までには、マインドマップで、柳ヶ瀬商店街のイメージを広げています。
次ぎに、クラゲチャートで、これからの柳ヶ瀬商店街のキャッチフレーズを考えています。
そして、本時です。
班ごとに発表しながら、意見が分かれていることを確認します。
ここで、主発問、「みんな、柳ヶ瀬商店街のことを考えているのに、どうしてこんなに違うのか?」
立場が違う、違うから人が集まる、話すのが大切、対立があってよくなる・・・・
まさしく、アウフヘーベン。対立を超えた合意形成こそが大切という雰囲気になってきました。
後者のGTが「140年続いた柳ヶ瀬商店街は、意見の違う人が集まって受け継がれてきた地域のバトン。タブレットは、いろいろな知識がかけ合わされて発明された。まちづくりも同じ。常に入れ替わる多様性が大事。まちづくりも、違う意見をどうかけ合わせるのか。」
まさに、社会科と総合、道徳が融合した、「問題解決力」「関係構築力」「貢献する人間性」が具現化された授業でした。
これまで見た授業の中でも、特に印象に残る授業の一つでした。
午前中だけの訪問でしたが、とても勉強になりました。
岐阜大学教育学部附属小中学校の先生方、児童・生徒のみなさんに感謝いたします。