「幸福な家庭はみな一様に似ているが、不幸な家庭は、いずれもさまざまに不幸である。」
レフ・トルストイ
ならば、
この「家庭」を「独り者」に当てはめてみた。
「幸福な独り者はみな一様に似ているが、不幸な独り者は、いずれもさまざまに不幸である。」
う~ん。
ピンとくる感じでもないけど面白くて少しゾッとする。
行きつけの小さな居酒屋の女将さんと話をした。
その女性は旦那とは死に別れて今は独身。
七十歳かな?若い時はモテただろうなと思わせるなかなかの美人。
だから常連の先輩たち(お爺ちゃん)が小さなカウンターに所狭しといつも満席。
娘さんも家庭があり大きな子供がいるらしいが亭主の実家である新潟に引っ越しをして今は一人暮らし。
冗談半分本気半分で聞いてみた。もう再婚とかはする気ないの?
もういい。男はもう。面倒臭いもの。友だちとお芝居観に行ったり御歌を勉強したり毎日忙しいからね。だって。
知り合いで奥さんに先立たれて独り暮らしをしている男性も何人か知っている。
六十後半七十前半くらいの先輩たち。
ひとつ共通している印象と言うのが「萎れていく」というやつだ。
色んな趣味を見つけて頑張ってギター弾きはじめたり、大型バイク買ってツーリングに出かけて事故ったり、
なんだけども・・・・なぜか寂しそうに。
女性は違う。共通して受ける印象は一言「謳歌している」だ。
自分の周りが、たまたまなのだろうか?
あくまでも主観が入っているからそう見えるのかもしれない。
家族に注いできた時間とエネルギーをいま自分の為に使っている感じがして、ハッキリ言って気持ちが良い。
尊敬しちゃう。
後半人生で知り合った同世代の友だちと歌舞伎を観に行ったり、舟木一夫のコンサートへ行ったりはたで見ていても楽しくなる。
夏休みの前半戦で宿題をやっつけた生徒は大手を振って遊びに行ってヨシ!
ああこの俺はどんな課題を終えていたのだろう。まだ終えていないのだろう。
酷暑の空を仰ぎながらそんなこと考えた。