ひょっこり顔を出してきた。
春。
スプリング。
オレの好きな、スプリングスティーンとスプリングフィールドにも入ってる。
唇がカサつく。春は来た。
静かな海の波のように行ったり来たりしながら。
いつもの草野球球場の客席で昼飯前、仕事の電話。休日なのに。
ドアを突き破って誰かが入ってこうよとする半狂乱になりそうな気持で逃げる夢。悪夢にうなされながら迎えた朝。
役目を失った公営の球場。
これからが待っている新築戸建てが向こうに建ちはじめている。
オレの役目もいつ終わるのか。
終わっていいのか。
終わったほうがいいのか。
生きることを飽きたのか?
仕事に打ち込めんのか?
酒に飽きたか?
ほざけ、空よ。
乾いた風が顔を打つ。
歩いて駅へ向かおう。戻ろう。