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日本の真の活性化を考える  吉川忠雄

今夏も電力は足りている・・・と言う見方を紹介

2012-04-15 23:18:35 | 日記
<政府発表の詭弁とカラクリ>

 東京電力の柏崎刈羽原発6号機の運転が25日に停止し、これで国内の原発54基のうち、53基がストップした。残る北海道電力の泊原発3号機も5月上旬に停止される見通しで、再稼働がない限り、全ての原発が止まる。

 不思議に思うのは、そんな非常事態にもかかわらず、何ら日常生活に支障が出ることなく電力がフツーに供給されていることだ。

 国内で必要な電力は一体どのくらいなのか。政府の「エネルギー・環境会議」によると、年間で最も電力を使う夏場を見た場合、今夏の最大需要は9電力会社で計1億7954万キロワットだ。仮に全ての原発が停止したままなら、供給力は1億6297万キロワットで、1656万キロワットが不足するという。ザッと原発15基分だ。これが本当なら大変だが、オイソレとは信じがたい。政府や電力会社には“前科”があるからだ。

「政府は原発事故後の昨春、稼働する原発が15基となったため、夏場に1000万キロワットの電気が足りなくなる――とあおった。ところが実際は猛暑にもかかわらず、供給不足にならなかった。今年1月も100万キロワット足りないと報じられたが、全く影響なし。今夏の電力不足だって、マユツバですよ」(経済ジャーナリスト)

 昨夏は「一億総節電」の動きがあったため乗り切ったともいえなくないが、今は都内のどこを見回しても「計画停電」の地域はおろか、消えている街路灯も、真っ暗なビルもない。たった1基の原発しか動いていないのに、どういうことなのか。

「電力が十分足りているからです」。こう言うのは、環境エネルギー政策研究所(ISEP)の飯田哲也所長だ。ISEPによると、国の電力不足の試算には“カラクリ”があるという。

「政府発表の今夏の需要予測は、昨夏と比べて2300万キロワットも多い10年夏の電力数字が使われている。これは家庭も企業も全く節電しないことが前提です。供給力もかなり低く見積もられています。自家発電分を昨夏より142万キロワットも少なく見たり、理由が分からない供給不能の電力が電力9社で計2000万キロワットもあったり。わざわざ真夏に火力発電所を検査し、供給不足に陥る電力会社もある。ISEPの試算では、全ての原発が止まっても、電力不足どころか、2割近く余力があります」(事情通)

 もともと電力のエネルギー構成比は火力が8割余りで圧倒的。対する原子力は1割程度だから、仮に全部止まっても大した影響はない。最近はリスク回避で自前の発電設備を備える企業が増えているし、省エネ家電もどんどん増えているから電力消費も頭打ちが実態だ。つまり、原発を再稼働させなくても、現状設備で十分、対応できるのだ。

 前出の飯田所長が続ける。

「国の考え方の前提は原発がなければ電気が足りないというもの。そうではなく、停電などをさせずに(既存設備で)安定供給するにはどうすればいいのか、と考えるべきです。緻密に計画を立てれば、ピーク時の電力もきちんとコントロールできます」

 原発が全部止まっても、電力は安定供給できる。となれば、政府のやるべきことは、原発再稼働をどうするかではなく、原油やLNGをいかに安く確保するか。そこに知恵と予算を集中させることなのである。

(日刊ゲンダイ2012年3月29日掲載)