八咫烏は日本サッカー協会のシンボルマークになっている鳥でその由来(案内板の説明)は次の通りです。
熊野では八咫烏を神の使者と言われています。三本足とは熊野三党(宇井、鈴木、榎本)を表わすとも言われ、当社では主祭神家津美御子大神(素戔嗚尊)の御神徳である智・仁・勇、また天・地・人の意をあらわしています。 烏は一般に不吉の鳥とされてきているが、方角を知るので未知の地へ行く道案内や、遠隔地へ送る使者の役目をする鳥とされており、熊野の地へ神武天皇御東征の折、天皇が奥深い熊野の山野に迷い給うた時、八咫烏が御導き申し上げたという意があります。・・・。
前掲の神社検定テキスト『神社のおへそ』によれば、この話は『古事記』に出てくる話であり、伊波礼毘古命(いわれびこのみこと・神武天皇)の東征で熊野の地に入ったとき、天照大御神が道案内のために遣わされた鳥がこの八咫烏です。
巻頭の写真は、熊野本宮大社の社殿前に設置してある八咫ポスト。先ほどの説明文にあったように、八咫烏が遠隔地へ送る使者の役割を担うという意で設置されたものでしょう。さらにその奥にある太い幹の木の名はタラヨウといいます。このタラヨウの葉の裏に尖ったもので字を書くとボールペンで書いたように字が残り、ハガキの語源になった木といわれています。インターネットで調べますと、タラヨウの葉の裏に字を書いて切手を貼ってポストに入れれば、ちゃんと宛先に届いたそうです。
この八咫ポストやタラヨウのことも熊野の語り部の方の説明で知り得たことです。案内人なしでは味気ない旅になっていたかもしれません。『徒然草』(第五十二段)に「すこしの事にも、先達はあらまほしきことなり」とありますが、実感しました。