嘗て陸の孤島と云われた雄冬(おふゆ)へ向かった。
南北を崖に挟まれた小さな漁港だ。
数年前にトンネルが貫通し、海沿いを留萌(るもい)から札幌へ抜けることができるようになった。
ナビに行先をセットして立寄ったのが増毛(ましけ)。全国のハゲ 憧れの地。
私も頭頂部はかなりキテいるが、それ程気にしないタイプだ。
あるがままに生きているので偶然通りかかっただけだ。
それに髪の薄い人が聖地として崇(あが)める増毛にだって ハゲはいる。
来年廃線となるらしい増毛駅には最北の稚内駅と同様に終着駅の車輪止めがある。
駅名も学校名も きちんと「ましけ」と読めるのにスーパーの表示だけは、何故か「ぞうもう」と読んでしまう私。
市内には古い建物が立派に保存されている。
旧小学校の木造校舎はガラスがピカピカに輝いている。
(このピカピカも気にしないで欲しい。本当にピカピカなのだから)
ナントカ商店もカントカ商店も古いまま現役で使われているようだ。
浜辺には鮭狙いの釣り人が沢山出ていた。
私は邪魔にならない誰もいない場所に後ろを海に向けて車を停めて朝パン。
今日はもしかしたら札幌で友人に会うかも知れないのでヒゲを剃り髪も整え服も替えることにした。
今はもう秋。そして車の後ろには誰もいない海。
後席の寝袋の上に寝てスッポンポンになり
100均で買ったウエットテイッシュと除菌テイッシュを出して体を拭いた。
2ケ月前には血に染まり グッタリしていたジェームスも今ではすっかり元気になり、除菌テイッシュで拭かれてサワサワになって喜んでいる。
テイッシュをどんどん替えて手の届く範囲を拭きまくり、そして最後にK門様をフキフキした途端にカッと熱くなり次にはビリビリとした痛みで悶絶。
K門様に除菌のアルコールはダメだ。
車内で七転八倒し、K門様に風を当ててアルコールを飛ばそうと脚を天井の方にグイッと伸ばしてパカッと開いた。
そう、あの西條秀樹のYMCAのYだ。
その途端、車の後ろを人が通った。それも女性だ。絶対 見たに違いない。
焦ってエビのように小さくなったが 手遅れだろう。
ねぇ、見たよね。
YMCA・・・・・見たよね