雪国っぽく

暗い中トイレへ起きた。

布団に入る前に いつもと違う感覚を憶え、カーテンの隙間から外を眺めてみて「あぁ、やっぱり」とため息が出た。

「夜の底が白くなっていた」・・・・・川端康成 雪国のパクリ

皆が寝静まった隙をついて、音までをも包み込むように 雪が白い世界へと変えてしまっていた。

ついに冬が始まった。

ガラス越に滲(にじ)んだ雪の世界が気持ちを萎えさせる。



すっかり変わってしまった景色にヤル気ゼロの私。

除雪の鬼 ルンバが 仕事が休みの子分 スリスリを従えてスコップ片手に勇ましく出て行ったが、私は猫の如く窓から外を見ているだけ。



テレビを見ると、近くでマイクロバスが信号機に激突したと報道されていた。

そういえば、まだ冬用の靴を出していなかったことに気が付いた。



昨日まで履いていたシューズを仕舞い、冬靴を玄関に揃えた。



外の様子を見ようと玄関のドアを開けた途端、冷気が身体を覆った。