斜め前のベツドにいるオッサンは、本当に一日中辛そうにしている。
食事の時にはその様子が顕著で、ベッドに横座りになって茶碗を持ち、 ガックリとうなだれて一粒ずつ口に運ぶ様は、遠山の金さんに「首切り 獄門」を云い渡された直後のようだ。
私はその姿を目の端に入れながら「私は負けない」と砂のような病院食をバクバクロに入れる。
口に入れさえすれば何とか噛み砕いて飲み込めるのだ。
家内が 元気の無いオッサンのことを見かねて「具合が悪いのですか?」と声をかけたら
「飯がマズイんだ。野菜ばっかりなんだ」と 泣きそうな声でつぶやいたらしい。
家内は「お父さんと同じことを言いながら食べていた」と笑う。
「私なら平気で食べられるけれどね」と云うのだが、別の方は「随分 人参の好きな病院だ」と呆れた声を出していた。
私は食事も薬だと自分を納得させ 頑張るのだが、でも、それでも3日が限界だ。
それを過ぎると もう口が開かない。
自分も「はりつけ 獄門」を云い渡された罪人と同じになってしまった。
食事が運ばれてくるたびに 拷問にかけられている気分になる。
「お奉行様、オラが悪かっただよ。もうエッチなことは言わねえから、許してくれろぉ~」
食事の時にはその様子が顕著で、ベッドに横座りになって茶碗を持ち、 ガックリとうなだれて一粒ずつ口に運ぶ様は、遠山の金さんに「首切り 獄門」を云い渡された直後のようだ。
私はその姿を目の端に入れながら「私は負けない」と砂のような病院食をバクバクロに入れる。
口に入れさえすれば何とか噛み砕いて飲み込めるのだ。
家内が 元気の無いオッサンのことを見かねて「具合が悪いのですか?」と声をかけたら
「飯がマズイんだ。野菜ばっかりなんだ」と 泣きそうな声でつぶやいたらしい。
家内は「お父さんと同じことを言いながら食べていた」と笑う。
「私なら平気で食べられるけれどね」と云うのだが、別の方は「随分 人参の好きな病院だ」と呆れた声を出していた。
私は食事も薬だと自分を納得させ 頑張るのだが、でも、それでも3日が限界だ。
それを過ぎると もう口が開かない。
自分も「はりつけ 獄門」を云い渡された罪人と同じになってしまった。
食事が運ばれてくるたびに 拷問にかけられている気分になる。
「お奉行様、オラが悪かっただよ。もうエッチなことは言わねえから、許してくれろぉ~」