山形県、新潟県 、石川県などで豪雨災害が出たと報じ、テレビで増水した川の様子が映った。
山形県は辿れば父方の故郷。そして新潟県は母方の祖父・祖母の出身地で、知らない親戚が沢山暮らしているであろう土地。
亡くなる前、祖母がイチゴと呼んで懐かしんでいた故郷がエチゴであると知ったのは後のことだ。
車中泊の旅で、戸籍謄本で知った父方の住所をたどり、幼いころに祖母が暮らしたであろう実家の場所を探したが、どちらも既に地番や住所の名称が変更されていて一方通行の迷路にはまり込んだ感覚で近くをウロウロしただけで諦めた。
今にして思えば市役所を訪ねて聞けばよかったと思うのだが後の祭りだ。
祖母が家の周りを散歩する時には杖を突いていた。
黄門様のように真っ直ぐの棒ではなくて握る所がU型になっていた。
今でもあの杖が妙に懐かしく思い出される。
祖母が散歩の途中、立ち止まって見上げた空の向こうにはイチゴの風景が映っていたのだろう。
ウォーキングの途中空港から飛び立った飛行機が高度を上げて行くのが見えた。
お婆ちゃんは、月にアポロが着陸したことを知らない。
町に空港が出来たことも知らずに逝った。
どちらも教えてあげたら驚くだろうなぁ。
「嘘ばっかり言って」と笑われるかも知れない。
何しろ当時は蒸気機関車しか走っていなかったのだから。
SLなんて云うカッコ良いものではなく、本物の蒸気機関車だ。
そのお婆ちゃんが亡くなった年齢にまた少し近づいた。
でもお婆ちゃんを思い出す時、私はいつも子供。
今日ジョギングしていて気が付いた。
お婆ちゃんだって最初からお婆ちゃんじゃ無かったと云う事を。
私はお婆ちゃんの顔を記憶の中で少し若返らせてみた。
沢山若返らせることは無理だけれど、でも喜んでくれているような、そんな気がした。