夏らしい日が1日しか無かったと愚痴を言った仕返しだろうか。
本を読みながらベッドで寝入ってしまった私を暑さが目覚めさせた。
窓を開けてみたら青空の下から吹き込む空気も充分に暑く、慌てて窓を閉めた。
居間へ下りたらカーテンを閉め切った薄暗い中に、まるでサスペンスドラマの「殺人現場のように」座ったまま動かないルンバがいた。
一瞬、死んでいるのかと思ったが………動いた。
カーテンを閉めていたのは太陽の熱を遮るためらしい。
手には電気店でもらった団扇。それを嫌がらせのように時々動かす。
きっと電気代を節約していると私に誇示しているのだ。
「エアコンをいれようか」と云ったが「お父さんが暑ければ……」と変な意地をはっている。
このまま死なれちゃ葬儀が面倒だからと、この夏2回目のエアコンON。
ブワーッと噴き出した冷風の下、体をクルクル回して冷えを楽しんでいたらルンバが自分の椅子を持って冷風が丁度良く当たる場所に堂々と陣取りテレビのスイッチをいれた。
サスペンスが入る時間をきちんと記憶しているのだ。