車検の予約日。
まだ新車だと思っていたのに、既に3年が過ぎていたと云うことになる。
私も同じだけ老いたと云うことだ。
色々なことに興味を失い、体力がどんどん抜け落ちていく。
髪だけはフサフサだと思っていたのに、床屋で仕上がりを確認する為に合わせ鏡をされた時に己のテッペンハゲを見てしまい、心の中で驚き、そして泣いた。
車をテルテルの会社へ置き、借りた代車が思っていたよりボロ。
エンジンを掛けるのが今はボタンを押すだけが主流なのに、昔懐かしいキーを差し込んで回す方式。
「大丈夫ですか?」と心配そうな係の方に「アナログ人間だから大丈夫」と胸を張った。
しかしシフトレバーをDにしても車が動かない。
サイドブレーキを外していないからだと思い、探したがサイドブレーキが見つからない。
一度ドアを開けて係の方にサイドブレーキ位置が昔のクラッチの位置にあることを教えてもらい、今度こそ発車しようとしてミラーの位置を調節していないことに気が付いた。
ルームミラーとサイドミラーの位置を合わせ、自分には高すぎたハンドルの位置を下げ、運転席のシートを高くしようと椅子の横に付いているレバーを上げたら背もたれがパタンと倒れ、一瞬でひっくり返った。
外には心配そうな、そして笑いを必死に堪えている係の方の顔があった。