高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

青竹箸 2

2008年11月14日 08時27分42秒 | 青竹箸

竹細工を始めて間もない頃、知り合いのお店の前の空き地でフリーマーケットが行われた。私も、まだ、竹細工を始めたばかりで、お祭りの遊び気分で、ゴザを持ち出し、近所で切り出した青竹を車に積んで、お客さんの目の前で切り出しナイフ1本でお箸を削っていく。  

それから、10年ほどして、青竹箸2膳に竹筒をつけて、「正月用の青竹箸」として売り出した事もあった。この時は家庭画報のインフォメーションに小さな記事として載せられた事もあり、2000セットほど売れた。これは実に大変であった。10月から竹を切り出し、お箸を削っていく。青竹なのでそのままにしておくと、青味が抜けたり、カビが生えたり、変色する。その為に、箸を削っては水桶に付け水分が抜けない様に、水桶から出したら、すぐに水をふき取り、一膳一膳ビニール袋に入れ冷凍するのだ。冷凍温度が低すぎると、低温焼けしたり、箸の中の水分が凍ってお箸をひび割れさせてしまったりと、神経を使う。この時にアイスクリームを入れる業務用の冷凍庫を買ったのだ。

161 12月に入り、竹筒用の青竹を何十本と切り出し、真冬の寒い中、手を凍らせながら竹を洗ったのを思い出す。年末は、お箸と竹筒を化粧箱に入れ包装する。本人宛だけでなく、プレゼントもあったので、注文の品物と送り先を間違えないように気を使った。クリスマスの夜も、家族全員で夜遅くまで包装していたのは、今となっては良い思い出である。クール宅急便で発送するのだが、鮮度の青さが命。蓋を開けた時、緑色の竹が出てきたら感動するよね!          つづく

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青竹箸  1

2008年11月13日 09時06分27秒 | 青竹箸

1112_0101 年末に「青竹箸」を数量限定で、ホームページで販売することにした。瑞々しい深い緑のお箸は実に綺麗である。新春の食卓を飾るのには最高のアイテムである。

http://take-once.com/SHOP/aotakebasi.html

お茶の世界では、よく「一期一会」という言葉が使われるが、この青竹のお箸にも大切な意味が含まれている。茶席の主人がお客様を迎えるにあたり、裏山の竹薮に青竹を切りに行き、お箸を削ったそうだ。しかし、この生の青竹箸は非常にデリケートで、瑞々しい青色は一瞬しか持たない。 来て頂くお客様に最高の状態のお箸を出すには、大変な神経を使うことになる。

「ホンの一瞬の青竹の美しい時に合わせて、そのお客様を迎えたい。」そんな事から「一期一会」の言葉が込められる。

1112_0131 青竹を切り出しに竹薮に入った。日当たりの良い所の竹は日焼けしてしまい、美しい青さが無い。杉林の中の様な、あまり日が当たらない場所の竹の方が伸びも良く美しい。今年、生えたばかりの竹は美しいが、まだ、芯が無く柔らかい。もう少し、しっかりしてこないとお箸には使えない。3年もの位の美しい竹を選んで切り倒す。使える部分は、厚みのある元の方だけだ。

1112_0431 適当な長さに切り竹薮から担ぎ出す。工房に持って帰り、綺麗に汚れを洗い落とすのだ。

「青竹箸」はもう20年以上削っているがいろいろな思い出がある。                  つづく

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誕生日!

2008年11月12日 08時38分05秒 | ブログ

昨日は私の53歳の誕生日。最近ではあまり誕生日が来ることが嬉しいことではないが、無事に52年間生きてこられた事に感謝しよう。妻のお母さんに招待されて、別府で晩御飯をご馳走になった。「お寿司でも?」と言われたのだが、別府の飲み屋街に古くからある「おでん屋」にした。最近はめっきり寒くなり、こんな時期になるとおでんが美味しい。おでんを食べながら、ビールと焼酎。目の前に良く煮込まれたおでんが並ぶ、大根、こんにゃく、卵、お芋、筋肉……、ちょっと洋からしを利かせて食べると、体の中から暖まってくる。

おでん屋を出て、なんとなく物足らない私は、途中で焼酎と大分名物の鳥天を買い込み、母の家でもう一度の飲み直し。母の家は天然温泉なので、ゆっくりとお湯につかり、風呂から上がってまた一杯。別に特別な事をするわけでは無く、取り留めの無い家族の話、こんな平凡なひと時が一番幸せな時である。    例年であると、悦子が手作りの誕生ケーキを焼いてくれるのであるが、今年はダイエットを考えて、小さなショートケーキを買ってきてくれていた。

今年は本当に落ち着いた誕生日であった、こんなゆったりとしたひと時をくれた妻に感謝である。

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波網代手提げ籠

2008年11月11日 08時44分02秒 | 作品紹介

10月の中旬から、出張は無いので、一日中工房で物作りをしている。販売のシーズンが終わり、シーズン中に頂いた注文を作っていく。今日はその中の一つ「波網代手提げバッグ」だ。

1031_010網代編みの中でも一番高度な技術がいる波網代、ヒゴの巾を変えることで模様にうねりを出し、波模様を作っていく。ヒゴ巾と同じように厚みも微妙に変えていかないと、目の積んだ美しい模様が出ない。素材の竹は、真竹を高圧窯で蒸して炭化させた物だ。昔は、藁葺きの屋根の骨組みに使われて、囲炉裏の煙で何十年も燻された竹を「煤竹」と言うのだが、今は殆んど手に入らなくなってしまった為、人工的に高圧窯で燻製にして作ったものだ。使い込んでいくと飴色に光沢が増してくる。

今まで、ハンドバッグとして作っていたのだが、お客様の要望で、「蓋付きの手提げ籠」として作ってほしいと依頼があった。蓋付きはバッグを二つ作るより手間が掛かる。上下の大きさを微妙に変えながら、開きやすく、簡単に開かない、見た目に美しい表情を作らなくてはならない。バッグの底の様に、角がでる編み方でなく、網目を縁に押し込んで丸い形状を大事にした。この方が優しい表情になるが、手間は3倍掛かってしまった。

1031_011 持ち手も2枚の竹を火で炙りながら曲げていく、曲がりの違う竹を張り合わせることでしなりのある、曲がりが戻らない形を作っていくのだ。籐で2枚の竹を巻き上げ、飾りをつける、これでぐっと高級感が出る。後は内布を張って出来上がり。

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  1031_013

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ウォシュレット

2008年11月10日 08時51分02秒 | ブログ

昨日の日曜日は一日中、家でゆっくりした一日であった。

どういう訳か今まで、私の家には水洗便所であるが、ウォシュレットにはしていなかった。出張をすると、もう何処でも殆んどがウォシュレットなのに。電気屋を覗いていると、簡単に取り付けるタイプが、安いものだと20000円くらいから売っている。店員に機種の性能の違いなどを教えてもらい、我が家に適したタイプを見つけてきた。瞬間的に湯を沸かす省エネタイプ。一年間の電気使用量が1600円とある。パナソニックのWA20だ。其処の電気屋で値段を見てみると59800円とある。Photo_2

早速、家に帰ってからネットで「価格・ドットコム」で調べてみると、36000円で売っていたので直ぐ注文、昨日注文したウォシュレットが届いたので、取り付け工事をした。

Photo 「水道の配管などがあるので、少し大変か?」と思っていたが、今の取り付け器具は実に簡単に出来ていて、特殊な工具も要らず、プライヤーとドライバーだけであっという間に取り付け完了である。所要時間、20分。ウォシュレットを取り付け、リモコンを壁際に設置、人間がトイレに入ってくると、便座とお湯が暖まるように感知するセンサーを取り付け。本当に簡単に終わってしまった。

早速、電源を入れ、漏電していないかテストボタンを押す。漏電なし!OK。配管からの水漏れなし!OK。便座の上にビニールを掛け、ウォシュレットのテスト運転。スイッチオン。バッチリ暖かいお湯が勢い良く飛び出してきた。

工具などを片付けて、今度は座って試してみる。暖かいお湯がお尻に心地よい。「リズム」というボタンがあるので押してみると、水圧が強くなったり、弱くなったり、これは気持ち良い。

一日に何回もトイレに行くと言っていた「福ちゃん」に是非とも知らせてあげよう!

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竹剥ぎ君!  3

2008年11月09日 07時19分11秒 | 竹細工作業工程

1108_0072台の機械を使って厚さ0.8ミリのまで薄くしたヒゴを巾を揃え、角の面を取りやさしくした後、もう一度薄くしていく。ここからはやはり機械では出来なくて手作業になる。

0.8ミリを2枚に剥いで0.4ミリくらいにするのだ。ここからは、竹の繊維に沿ってバランスで剥いでいくのであるが、最近困った事は、私もこの1年で老眼に成りだした。最初の割り込みを入れる時に。0.8ミリの間に包丁を入れにくくなって来たのだ。一度、包丁を入れてしまえば、後は手の感覚だけで薄く薄く剥いでいけるのだが!

1108_040 最後に半分の厚みになったヒゴを最終的な厚み0.27ミリに仕上げていく。この時は「銑」と言う竹細工独特の道具を使う。刃物を固定しておき、下の鉄板との隙間を調節することで、厚みを決めていく。

これでやっとヒゴの出来上がりである。どんな仕事も下準備で、物事の半分以上は決まってしまう。我々にはこのヒゴ取りが命で、どんなに旨い名人が籠を編んでも、ヒゴが悪ければどうしようも無い。「弘法、筆を選ばず」と申しますが、「竹籠士ヒゴを選ぶ」。

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竹剥ぎ君! 2

2008年11月08日 09時20分35秒 | 竹細工作業工程

先日の「荒剥ぎ機」に引き続き、もう一台同じような機械を使う。「薄剥ぎ君」だ。

1105_023こちらも 前回同様ローラーで竹を送り込み2枚に剥いでいく機械である。荒剥ぎ君よりは2回り小さくなる。原理はまったく同じものである。厚さ2ミリくらいになったものを 今度は1ミリ以下に調節して剥いで行く。0.8にするのか?0.7にするのか?その時の竹の状況を見ながら、また、仕上げの厚さを計算しながら剥いで行く。

この機械も、もう生産されていない。今まで、別府に1軒だけ、竹の機械を作ることができる鉄工所があったのだが、主人が高齢でもう止めてしまった。特殊な機械なのでよその鉄工所に頼むと随分大げさな物になり100万円くらいするそうだ。とても、そんな高額になっては手が出ない。この機械を必要としているのは、貧しい零細な竹細工をする職人しかいないのだから。

1105_028 こういった特殊な機械もそうであるが、伝統工芸品を支えている関連の職人がいなくなっている事が非常に問題である。刃物や工作機械、また、材料なども生産されなくなっている物も多い。

伝統工芸という縦の繋がりを伝えて行くには、現代の横の繋がりや生産を考えずには居られない現状である。その横の繋がりの中で一番大切なのは、作り手と使い手の関係であろう。顔の見える関係作りをしていかなくてはならないし、使い手の信頼を裏切る事は絶対してはいけない。まがい物が大手を振って、逆に本物が小さな隅に追いやられている現状を見るとため息が出る。

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竹剥ぎ君!1

2008年11月07日 08時39分16秒 | 竹細工作業工程

1105_005 私どもの工房には竹を剥ぐ機械がある。もうこの機械は生産されていないが、単純な機械なので、そう悪くなることは無い。趣味の竹細工と違って、我々がヒゴを取るときは、何百本、何千本と取るため、ある程度の荒仕事は機械でやるのだ。その一つに、竹を荒剥ぎする機械だ。

1105_010 丸い竹を巾1センチくらいに包丁で割ってからこの機械にかける。厚さが7~8ミリくらいある竹を厚さ2ミリくらいにするのに使う。しかし、如何せんかな、何分機械なので、機械に通す前の厚みが違うと、出来上がってくる厚みも相当違いが出てくる。その点、人間の腕は大した物ですな。元の厚みが違っても、竹の粘りなど性質が違っても手加減で仕上がりの厚みを自然に調節している。が、ある程度のことは機械でも出来るので、大量にヒゴを取るときはこの機械を使う。

1105_016 次に荒剥ぎした竹を二つに割っていくのだが、この時、機械のローラーで無理やり押し込んで剥いでいるので、どうしても竹の繊維通り剥げていないため、ささくれが立ち、次の工程の二つ割の時に、手に刺さってくるのだ。それを防ぐため、手に皮の防具を付けて割っていく。手剥ぎしたヒゴは繊維通り剥いでいるので、殆んどささくれは無く、こんな防具をつけることはしなくても良いのだ。こんな所が、機械と手の違いなんですな。

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年末年始の航空券

2008年11月06日 06時31分00秒 | 出張

今年初めて、年末年始の催事を受けた。12月30日から1月12日まで、日本橋三越で開催される「職人展」である。2週間の大型催事である。初めてお正月に家を空けることになる。今まで、子供が小さかった頃は、頑なにお正月の催事は断ってきた。しかし、子供も段々大きくなり家を出て寮生活をしている。成長は早いもので、どんどん環境が変わっていった。

年末年始で困ることは、航空券である。予め早く手配しないと予約も取れない事になる。それに、早割りなどのサービスが無く、正規料金でしか発売していない。大分から東京まで片道37000円もかかってしまう。

何とか、安く手配出来無いか?とあれこれ探してみた。まずは、旅行会社で宿泊つきのパックを探してみた。12月29日出発だと、1泊付きで65000円くらいで往復できるのだが、残念ながら帰りの便が14日間までしか延長できない。1月11日までしか取ることが出来ない。んー、残念。

JALの株主割引をネットで購入して、株割りで買ったら、割引券が8000円くらい、それに株割りが20000円、合計すると片道28000円掛かってしまう。では、早割りで別々に取ってみれば、行きが37000円帰りが16000円、合計53000円である。悔しいがこれにするか?  

いや、待て待て!JALのマイレージを使って取れないか?JALのホームページからマイレージサービスに入り、検索してみるとマイレージで買えるでは無いか!15000マイルで国内往復券が買える。やったー!15000マイルはお金に変えると18000円相当である。18000円で往復できれば万々歳である。    しかし、落とし穴があった。これも帰りの便が15日間までしか指定できない。1月12日に帰るのであればぴったりだが、残念ながら、帰るのは翌日13日なのだ。   クッソー!

仕方無く、12月29日の分はマイレージで購入。(片道でも15000マイル必要) 帰りの1月13日の分は早割りで購入した。  まー、これが一番安い購入方法かな?誰か、良い方法を知ってら教えてください。

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レッドクリフより007が待ち遠しい!

2008年11月05日 08時06分59秒 | 映画

11月1日に公開されたばかりの「レッドクリフ」に次男坊と妻と3人で行って来た。前評判が大げさなのは、得てして期待外れが多い。やはり、この映画も最後まで盛り上がりに欠ける、やっと、これからか?と思われる所で、「part2に続く」で終わってしまった。来年4月に公開されるpart2の予告編まで付けて。これくらいのものであれば、長編映画と言う事で、1回で充分纏められそうな感じである。昔は「ベンハー」「天地創造」とか「大脱走」など4時間近い大作がたくさんあった。

Pim0002 消化不良のまま映画館を出た。そこで、見つけたのが来年1月に公開される「007慰めの報酬」のパンフレットである。前作でダニエル・クレイグの主演に替わり、賛否両論ある中、圧倒的な存在感で世界的大ヒットになった映画の続編である。SFX全盛の中にあって、あれほどのアクションシーンを見せつけられると参ってしまった。

結局、今見た「レッドクリフ」より、パンフレットの「007」の方が印象に残ってしまった。

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もう一匹の猫

2008年11月04日 08時44分21秒 | 友人

先日、別府のギャラリーで友人の陶芸家「肥後」さんの奥さんが個展をしていたので、覗いてみた。奥さんも陶芸家である。旦那の作品は重厚感のある使い勝手の良い作品であるが、奥さんの作風は、惚けた人柄が現れるのだろう?ちょっと歪んでいても、愛嬌がある。犬で例えるとパグとか、ブルドックの類である。展示室に入っていくと、奥さん(仁美さん)が「もう、どんどん売れちゃって、なくなっちゃたよ。」とホンとなのか?強がりなのか?相変わらず惚けた事を言う。

20081030113058a どの器も愛嬌があって、可愛らしい。それにとても買い易い値段である。私も、実用的な小鉢と中鉢、それととても実用性は無い「猫の置物?小鉢?」を買ってきた。

翌日、安心院の友人が別府湾での釣りの帰りに大漁だった鯵を持ってきてくれた。早速、刺身とから揚げに、獲れたての新鮮な鯵だからこそ出来る刺身だ。脂がのって甘味がある。低温でじっくり揚げたから揚げも、頭からかぶり付き!

1104_003 この時使った器は、旦那の方(肥後博巳)のお皿であった。1104_001

毎年、12月に肥後一家とは一緒に餅つきをするのだが、彼女のお惚け振りには毎年新しい発見があり楽しませてくれる。

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消防団!

2008年11月03日 07時44分59秒 | 安心院

私が消防団に入って18年ほどになる。地元育ちで無い為、他の団員に比べて年齢の遅い入団であった。同じ村の青年に(当時)、「名前だけ貸してくれれば良いから。」と誘われ軽い気持ちで入った。消防団というのは、あくまで基本はボランティアであり、決して強制では無い。しかし、よほど面の皮が厚くない限り、訓練や夜警、出初式などの儀式を休むことが出来ない!地域の人間だけの集まりであるため、若いうちは勝手に休むと非難を浴びることになる。

比較的、人口の多い街場の地区では、大体、10年もすれば、若い団員が入り退団できるのだが、如何せん、限界集落と呼ばれるような我々山間部の消防団には、入団する団員がいないのである。私も、50歳を過ぎても消防団に入っているとは思いもしていなかった。

20081102093000a 11月2日に消防機工の掃除の為、朝9時集合。      

私も昔とは生活環境が変わり出張が多くなり、消防の出事に参加できなくなってきている。今年からは、年末年始の日本橋三越に出店することになり、一年で一番大きな行事の「年末の夜警と出初式」にも、出席できなくなってきた。

よし、今日こそ「退団させてくれ!」と言おうと思いながら、一緒に掃除をしている「Y」君に何気なく聞いてみた。「Y」君は地元の人間で年は私と同じくらいである。

「「Y」君。最近仕事は忙しいかい?」

「今年の「4月に給料を下げる」と言うんで辞めたんだ。今は無職よ。」

「それは大変だなー」

「そうよ、こんな消防の掃除をしとる暇は無いんじゃ!」

「ところで、消防はもう何年になるん?」

「26年じゃ」

「そうか。オレなんか、まだ18年だから、退団は出来ないな?」

「そりゃそうじゃ!まだ後10年はせにゃ!」

こんな遣り取りをした後ではとても団長に「退団したい!」とは言い出せなくなってしまった。一度入ったら二度と生きては出られない、「虎の穴」の様な消防団である。   チャンチャン。 

竹工房オンセ

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卒業

2008年11月01日 06時48分37秒 | 工房

うちの工房で7年間修行した遠藤君が、この秋をもって工房から卒業。独立しました。私のブログにも時たま出てきた青年である。真面目な青年でコツコツと弛まなく物事を積み上げていくタイプの青年だ。独立して、丁度一ヶ月。「独立のお祝いに」と思い、切り出しナイフを記念にあげることにした。熊本県の湯前にある「上米良鍛冶店」でサイズを指定して作って貰った。20数年、ここの竹割り包丁を使っているが、刃こぼれなど一切しない信頼の置ける鍛冶屋さんである。

遠藤君が始めて工房に来た頃を思い出す。遠慮しがちで丁寧すぎる話し方が印象的であった。工房の近くに家を探して入植しようと思っていたが中々見つからず、結局、見つかるまでの1ヶ月ほど、工房の漆部屋に寝泊りしていた事もあった。経験もお金も何も無く本当にゼロからのスタートであった。あったのは根気強さと健康な体だけ。時たま、覗かせる負けん気の強さもあったな。その彼が独立するに当り、

「お世話になりました。独立して、せめて最低限食えるだけ…などとは言いません!この仕事でちゃんと結婚もして家族を養えるような生活をして行きます!まずはどんな仕事でもやってみようと思います。」と、挨拶した。

私が竹細工を始めた時も、ただがむしゃらに仕事をしていた。失敗ばかりして随分情け無い思いをした事や割に合わない仕事もした。でも、失敗の数が多いほど、巾もできるし味わい深い物になる。根気強さと言う何者にも代えれない財産を持った彼なら、必ず、成功するだろう。

遠藤君頑張ってください!

竹工房オンセ

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