高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

卒業

2008年11月01日 06時48分37秒 | 工房

うちの工房で7年間修行した遠藤君が、この秋をもって工房から卒業。独立しました。私のブログにも時たま出てきた青年である。真面目な青年でコツコツと弛まなく物事を積み上げていくタイプの青年だ。独立して、丁度一ヶ月。「独立のお祝いに」と思い、切り出しナイフを記念にあげることにした。熊本県の湯前にある「上米良鍛冶店」でサイズを指定して作って貰った。20数年、ここの竹割り包丁を使っているが、刃こぼれなど一切しない信頼の置ける鍛冶屋さんである。

遠藤君が始めて工房に来た頃を思い出す。遠慮しがちで丁寧すぎる話し方が印象的であった。工房の近くに家を探して入植しようと思っていたが中々見つからず、結局、見つかるまでの1ヶ月ほど、工房の漆部屋に寝泊りしていた事もあった。経験もお金も何も無く本当にゼロからのスタートであった。あったのは根気強さと健康な体だけ。時たま、覗かせる負けん気の強さもあったな。その彼が独立するに当り、

「お世話になりました。独立して、せめて最低限食えるだけ…などとは言いません!この仕事でちゃんと結婚もして家族を養えるような生活をして行きます!まずはどんな仕事でもやってみようと思います。」と、挨拶した。

私が竹細工を始めた時も、ただがむしゃらに仕事をしていた。失敗ばかりして随分情け無い思いをした事や割に合わない仕事もした。でも、失敗の数が多いほど、巾もできるし味わい深い物になる。根気強さと言う何者にも代えれない財産を持った彼なら、必ず、成功するだろう。

遠藤君頑張ってください!

竹工房オンセ

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする