この本は、おそらく以下の朝日新聞紹介記事を読んで、面白そうだと思って図書館に予約したと思った。
興味は、自分が70歳を超えて、色々今までとは違う自分を知ることが多く、こんな人間でなかったのに!と思うことが多くなったことと、女性独特の見識というか、視点というか、目のツケ泥が面白そうと思ったからだ。
「祖母姫」とは何か? 我が儘(まま)で「姫」同然の「祖母」のこと。
八十過ぎの「祖母姫」のたっての願いでロンドンに連れていくことになった。
だが、介助の経験はない。長いフライト、食事の気遣い、移動の面倒、トイレ問題……と想像しただけでめまいがしそうな著者の若き日の旅の回想記である。
「祖母姫」は派手好きで、豪華で優雅で美しいものしか許さない。大英博物館では建物の重厚さは気に入ったものの、ミイラやロゼッタストーンについては「干物や石ばっかり見せられてもね……」とパス!
独特の審美眼と価値観でぴしゃりとコメントするさまが堂にいり、「偉そうで我が儘で厄介な婆(ばあ)さん」であった祖母が徐々に「頭の中に莫大な記憶と経験と知識を詰め込んだ、偉大な人生の先輩」へと変わっていく。
祖母の半端でない自己肯定感が、「自分を信じて努力した結果」であるのを学ぶのだ。
なにしろ楽しく読んだ。自分も海外は、いっぱい行ったし、イギリスも何度か仕事で行った。しかし、私の経験は、時々ビジネスクラスで行ったことがあるけど、ほとんどエコノミークラスで、ツアーなどでも一番安いホテルか、ノボテル、メルキュールなどのビジネスホテル中心。だから、下のジュディさんの感想にもあるように、ちょっと違った経験を疑似体験する感じだ。そして、お年寄りあるあるのエピソードが面白い。
大半面白く、1日2日で読んでしまった。いつも良く読む本とは違った、肩の凝らない本で存分に楽しみました。やはりこういう本が楽しいですね。サスペンス、政治、科学的な理論やビジネス本など難しい本と交互に読みたいですね。
Amazonの紹介文は以下の通り
正月の親戚の集まりで英国留学の思い出話を披露した孫娘(著者)に、祖母が「一度でいいからロンドンに行きたい、
お姫様のような旅をしたい」と告げたことから、一族総出で支援する5泊7日の豪華イギリス旅行が決定!
だが、そもそも著者が留学で培ったのは「行き当たりばったり体力勝負の低コスト海外滞在」ノウハウで、高齢の祖母をお姫様のようにもてなす旅とは真逆のスキルだ。
資金面こそ親族の全面フォローがあるが、慣れないツアコン(秘書)役を任命された孫娘の心には不安しかない。
下はAmazonのジュデイさんの感想
ジュディ
Solidarity Forever!
ファーストクラスで最高級(リッツとおぼしき)ホテルに5泊のロンドン旅ってなんてブルジョワ。
まばゆいフレームだがコンテンツにはさしてそそられなかった。特にオリエントエクスプレスで田園地帯を走り抜けるディナーは窓外が真っ暗で、配膳係が犇めくなんて、モンティパイソンのフィルムを見てるみたいな可笑しさ。
例外はハロッズでの買い物。あのように納得して自分のものを手に入れられるのが底力。杖はお祖母さまの頂点と感じいる。
この祖母と孫娘の、血縁にもとづく関係性ではなく、バッドガール性を早々に披瀝したことで周囲のサーヴする側の人々にかきたてた関心と共感のあらわれが稀有な傑作ドキュメンタリーを産んだと思う。
ダウントンアビーもあそこまで人気だから読者の素地は十分整ってるし。
母方の祖母だから苗字もおそらく違い、著者の説明では面立ちも父系でということで、年配老婦人と世話係に見られつづけたのが幸い、面白い物語が最後まで続いたと思う。
サーヴァント=サーヴする・仕えるクラスと仕えられるクラスの差は決定的。著者を連帯感で助けた面々のエピソードが実に面白い。
Dr.であることも明かさず、ソウルメートも働く人であるので、連帯感が最後まで崩れずにいてよかった。特に夜間ドライヴの顛末は圧巻!