温故知新~温新知故?

音楽ネタが多いだろうけど、ネタのキーワードは、古きを訪ねて新しきを知ると同時に新しきを訪ねて古きを知るも!!

とんこつQ&A 今村夏子著 読了〜我々も日常の中に、ドキッとするようなことが確かにある〜

2025-02-22 17:33:31 | 
この本も多分朝日新聞の書評を見て予約したと思う。
「とんこつQ&A」 [著]今村夏子
 話の続きが気になるから読み進めているのに、終わらないで欲しいと思うことがある。
ものすごい矛盾。だが、それが読書の愉悦だろう。本作に収録された四編にもその愉悦がある。
しかもおもしろいだけでなく、なんだか心がざわざわする。それがたまらない。
4つの短編が収録されている。
1.「とんこつQ&A」
中華料理店で働く今川さんの日常。今川さんとぼっちゃん、大将、おかみさんという人物の中華料理店の日常が描かれている。
2.「噓(うそ)の道」
ある兄弟が老婦人に親切で道を教える話。しかし、それが意外な結末を迎える。
3.「良夫婦」
タムと友香里、副所長(友香里のだんな)、テーマは最初は虐待、その後サクランボ、昇格、引っ越しなど。
4.「冷たい大根の煮物」
同じプラスチック部品工場の木野さん、芝山さんの日常。お金の貸し借りの話題。
という具合で、日常のほのぼのとした話題なのだが、結構シビアなことが起こるのだ。それがサウペンスとは言い難いが、面白い。
この作家の他の作品も読んでみたくなった。
久しぶりに小説を読んで衝撃を受けた。
『コンビニ人間』つながりでこの書名を知り、夕方に図書館で偶然見つけてなにげなく手に取ったので油断していた。
会話主体の文章や、会話の中のちょっとしたほんのりとしたユーモアや暖かさに気を許してしまったのだ。

普通の良い話だと思って読んでいたら、突然、目の前に奈落が開き、自分もまたそこに吸い込まれて落ちていくようだ。

もし地獄というものがあるならば、これは今風の《地獄》を描いた小説なのかもしれない。いまもし宗教家に「そうなんです。
現世とは地獄なんです。だから神の国で救われましょう」と勧誘されたら、そのまま入信してしまうかもしれない。
Amazonの紹介や書評も載せておきます。
真っ直ぐだから怖い、純粋だから切ない。あの人のこと、笑えますか。
“普通”の可笑しみから、私たちの真の姿と世界の深淵が顔を出す。

大将とぼっちゃんが切り盛りする中華料理店とんこつで働き始めた「わたし」。
「いらっしゃいませ」を言えるようになり、居場所を見つけたはずだった。あの女が新たに雇われるまでは――(「とんこつQ&A」)

姉の同級生には、とんでもない嘘つき少年がいた。
父いわく、そういう奴はそのうち消えていなくなってしまうらしいが……(「嘘の道」)

人間の取り返しのつかない刹那を描いた4篇を収録、待望の最新作品集!
今村夏子の作品は芥川賞をとった「むらさきのスカートの女」以来、「こちらあみ子」「あひる」「木になった亜紗」と読んできて今回で5冊目である。
「とんこつQ&A」はほのぼのとした展開で、最後は不気味な終わり方をするという著者特有のストーリー展開の話で、とにかく飽きずに読み進めることができた。何となく「あひる」を連想させる話だった。
認知科学の中国語の部屋を一瞬連想させたが、それは的外れな指摘なのかもしれない。
最後の終わり方が少し極端な感じでやりすぎ感があったので、もう少しやんわりとしたエンディングにすればなおよかったかなとも思う。でもとにかく著者の力量はすごいなと単純に思った。
「嘘の道」はひたすら怖く後味が悪かった。
「良夫婦」は最初はその設定に違和感を持っていて期待していなかったのだが、主人公が自分の抱える重大な問題に気づきつつも夫の助けによりそれが日常生活の中で忘却されていく過程がリアルに描かれていてとてもよかった。
「冷たい大根の煮物」は特に善人も悪人も出ずに、この4作品の中で唯一ポジティブな終わり方をする作品である。
芝山さんが意図的に借金をしたのか、またガス代を節約する意図によって主人公の家を使ったのかはぼかされているのだが、結局それを契機として主人公は自炊を始めることになった。
それが良いとも悪いとも言わずにさらっと描かれているのがなんとも言えずによかった。結論としては「良夫婦」「冷たい大根の煮物」の2作品が高評価であった。ともかく、今後も今村作品を追っていきたいと思わせる内容であったのは間違いない。

「TeddyLoidが語る音楽制作の裏側」を聴講してきた〜Adoの唱の作成秘話、新鮮で面白かった〜

2025-02-15 10:29:12 | 音楽
1種間前の土曜日「TeddyLoidが語る音楽制作の裏側」に行ってきた。
これは浜松市主催の企画です。浜松市も音楽関係は結構すごい企画がある。

浜松市は、創造都市としての更なる飛躍のため、クリエイティブシティブースター事業を展開し、新たに創造的な活動を始める人財の継続的な創出を目指しています。
今回、事業の一環として、様々なクリエイティブ分野のトップアーティストから制作の裏側やトップアーティストに至るまでの経緯を聞ける「Top of the Top series」を開催します。

フライヤーは以下の通り。実は私はこのTeddyLoidさんについては何も知らなかった。”音楽制作の裏側”という言葉に惹かれて無料だしということで、行ってきた。

主催は静岡エリアのFMローカルキー曲”K~MIX”のスタジオ。”K~MIX”のスタジオのスタジオにも一度行ってみたかったし。下はK-MIXの外観。そして、スタジオのドアにはポスター。
来ている人は、若い人が多いかな、後で質問タイムでわかったけど、小学生も多かった。そういう時代なんだな。
現地でフライヤーでTeddyLoidさんの経歴を読んだら、すごい人みたい。Adoの「踊」、「唱」が代表作らしい。
彼のWEBには以下のように書かれている。日本とアメリカを行ったり来たりの生活のようだ。アメリカのビザも持っているとのこと。それに、浜松出身とかあるいは住んでいたことがあるそうだ。
m-flo、中田ヤスタカ、ゆず、香取慎吾、HIKAKIN & SEIKIN、柴咲コウ、DECO*27、Giga、Reol、Ado、じん、たなか、ももいろクローバーZ、KOHH、Crossfaith、米良美一、the GazettE、ちゃんみな、DAOKO、アイナ・ジ・エンド(BiSH)、Kizuna AI、初音ミク、にじさんじ、IA他、様々なコラボレーション、プロデュースを手掛ける音楽プロデューサー。
DJとしても2017〜2018年には4カ国13都市に及ぶワールドツアーを敢行し、国内外から注目を集めている。

そして、当日は「唱」のトラックリストをPCで細かく紹介しながら、どのように作られているかを語ってくれた。
噂には聞いていたけど、今はPCで売り物になる楽曲が全て作成できちゃうんですね。しかも、Adoの歌は彼女自身から彼のところに送られてきて、それを彼がアレンジするということだそうだ。裏話としては、TeddyLoidさんはAdoさんおよびもう一人のアレンジャーとは一度も会うことなく、「唱」を完成したとのこと。
Adoの唱をご存知ない方のために以下の動画も紹介しておきます。
【Ado】 唱

このレクチャーの中で紹介されたのは以下のAbleton Liveというソフト。基本仕様で約6万円のソフトで作れちゃうらしい。
Liveはスムーズで柔軟性の高い制作とパフォーマンスを実現する音楽ソフトウェアです。
エフェクト、インストゥルメント、サウンドなど、各種制作機能を備えており、音楽のジャンルを問わず、曲作りに必要なものがすべてそろっています。
タイムラインに沿った従来のアレンジメントビューで制作できるほか、Live独自のセッションビューを使えば、タイムラインの制約にとらわれない即興演奏も可能です。
音楽を停止したり、制作の勢いを中断したりすることなく、Live内を自由に行き来しながらアイデアを試せます
紹介ビデオのリンクも貼っておきますね。
Ableton Liveとは?
今の世の中、このようなソフトで楽曲を作っているのですね。Yoasobiはこのようなソフトで楽曲制作をしているのはTVなどで紹介されていたので、私も知っていたけど、Adoもなんですね。現代的なアップテンポで字余りの難しい感覚的な歌詞(結構好きです)の曲はそうでないとできないかもしれないです。
当日TeddyLoidさんは浜松まつりのお囃子やTVインタビューの音源をサンプルして、その場で10分くらいの即興楽曲作成をライブで示してくれました。
私の持っているマックにはGarageBandというソフトがついているので、それを使って私もいくつか曲を作りたくなった。また、バンドでベースを弾いているのだけど、練習する際に、音符が実際どのようになるか?確認してみたり、キーボードを練習するときにベースをMuseScoreというソフトで入力して、練習してみたりしていた。また、ギターもやりたいなと思う今日この頃なので、その他のドラムやベースを、とりあえず、GarageBandで入力して自分一人でバンドとして演奏してみるなんてこともできそうだ。
新しい発見のある楽しいレクチャーでした。

「全員犯人、だけど被害者、しかも探偵」 下村敦史 著 読了

2025-02-06 20:32:31 | 
この本は、多分朝日新聞の書評かなんかで、タイトルに惹かれて予約したと思う。
ビブリオバトルの3世代3大会のグランドチャンプ本にも選ばれた『同姓同名』の著者が新たに仕掛ける、
多重推理しかも密室しかもデスゲームだけど……
下村ミステリはフツーじゃ終わらない!
「私が犯人です!」「俺が犯人だ!」、全員犯人です!
社長室で社長が殺された。
それに「関わる」メンバーが7人ある廃墟に集められる。未亡人、記者、社員2人、運転手、清掃員、被害者遺族ーー。
やがて密室のスピーカーからある音声が流れる。「社長を殺した犯人だけ生きて帰してやる」。
犯人以外は全員毒ガスで殺す、と脅され、7人は命をかけた自供合戦を繰り広げるがーー。
これを読んで予約する気になったかは覚えていないが朝日新聞の好書好日も引用しておく。
「全員犯人、だけど被害者、しかも探偵」 [著]下村敦史
 なにしろ、登場人物全員が同姓同名のミステリを書いた作家だ。今作も設定からしてどんでん返し。
ある社長の死をめぐり、謎の「ゲームマスター」に呼び出された関係者7人が山中の廃虚に閉じ込められる。
そこから連続殺人の幕が上がる……のではなく、犯人だけが助かると通告されて一同は、我こそが犯人だと自供しあう。
このデスゲームを生き残る「犯人」はいったい誰なのか。
 タイトルに偽りなく、全員が犯人で被害者で探偵になっていくから驚きだ
物語は、7人が犯人だと告白して、7人が被害者だと言い、7人が探偵となって、他人の告白の問題点を指摘し、自分の意見を主張する。7人は、それぞれ、清掃員、ジャーナリスト、会社の課長、運転手、営業部長、社長夫人、遺族代表とバラエティに富んでいる。
その登場人物のそれぞれの主張は、今現実社会で起きている、兵庫県知事選挙などでのSNSやネットでの誹謗中傷合戦や事件を彷彿とさせる内容あるいは企業のリコール問題であるのが、タイムリーで面白い。
面白いので、350ページほどあるが、2日くらいで読了した。確かに面白いが、謎解き的には、結構複雑で100%はついていけなくて読み飛ばした部分はある。また、謎解きのユニークさなどはあまり感じなかった。
でも、ユニークな設定で面白い本でした。この著者は、他にもこのような内容の作品を書いているようなので、他の著作も読んでみたくなった。


成瀬は信じた道をいく 宮島未奈 著 読了〜普通のトピックだけど、成瀬のキャラクターはそれを凌駕する! 作者に敬意を表します〜

2025-02-02 15:53:08 | 
「成瀬は信じた道をいく」宮島未奈著を読了しました。
この本は、ベストセラーランキングトップ10にずっと入っていた本で、図書館でも予約が500くらい入っているんですが、剛書が19冊もあるので結構早く順番が来ました。
さて、内容ですが、人気に違わず面白い本で、大きな出来事があるわけでもないのに、200ページくらいのヴォリュームなので、面白くて約5時間で読了しました。
出来事としては、入試、万引き、クレーマー、けん玉、紅白、スマホを持たずに失踪程度の話です。にもかかわらず、面白くて一気に読んでしまいました。このような普通のトピックで、面白く読めるような内容を構成する作者は素晴らしいと思う。尊敬します。
主人公の成瀬あかりのキャラクターは前作「成瀬は天下を取りにいく」と同様、魅力的なキャラクター健在です。
彼女のスローガン「膳所(ゼゼ)から世界へ」もいいですね。
膳所は滋賀県大津市の地名。私は滋賀県には仕事で何度か行った経験があるので、それもこの本を興味深く読める理由の一つでしょう。
膳所(ぜぜ)は滋賀県大津市の地名。旧・滋賀郡膳所町。難読地名として知られる。
「膳所」を冠するものとしては以下のものがある。
ネタバレですが、以下のサイトで内容はほとんどわかってしまいます。
シリーズ1作目では成瀬あかりの高校時代が描かれていましたが、
本作は京都大学に進学した彼女が地元滋賀県大津市でまたも予想不可能な武勇伝を巻き起こす物語です。
Amazonの感想も一つ紹介しておきます。
Kana
5つ星のうち5.0 面白過ぎる
続編はそんなに面白くないんではという予想を裏切り、面白くて声を出して笑った。
途中で止めることが出来ず最後まで一気読みした。著者の大津市愛が溢れ出てる。
ここでこう来るか?という発想が著者ならではの続編で楽しく読めて最高!
面白い本でした。この成田あかりのキャラが私は大好きです。今後も続編を期待したいです。