小説1ミリシーベルトを数日前読了した。この本は朝日新聞かなんかの書評で見て図書館で借りたと思ったけど、検索しても出てこない。
小説 1ミリシーベルト | 松崎忠男 |本 | 通販 | Amazon
第4回「エネルギーフォーラム小説賞」受賞作!
選考委員(五十音順・敬称略)
江上剛(作家)/鈴木光司(作家)/高嶋哲夫(作家)
元文部科学技官が福島第一原発事故での放射能問題と除染に携わった実体験をベースに研究者の葛藤を活写した渾身の作!
目次より
プロローグ
第一章 放射能分析
第二章 食品安全委員会
第三章 ALARA
第四章 校庭利用問題
エピローグ
中身は、以下の感想にもあるように、3.11の際に色々あった出来事が、どのような経緯で決められていったがよく分かる。実際担当しているものは、色々詳しく調べ、研究した上で最良の決定をしているのだが、それが一般の人や素人には、わからない。人間は感情で動くということが再認識させられる。
3.11原発事故後の状況を背景に、被ばくに関し一般の方々が抱く身近な問題や心配事を題材に取り上げ、主人公を中心に様々な場で様々な利害関係者との議論がテンポ良く展開する。緊急時なのに平常時の被ばく防護(1ミリシーベルト)に囚われ、結果として震災関連死に加担しているとの指摘にはハッとさせられた。放射線防護の最適化原則(ALARA)は奥の深い概念であるが、筆者の豊富な行政経験に基づく具体的な場面設定や平易な語り口により一歩理解が進んだと感じた。
「1ミリシーベルト」の意味を問う小説
2018年4月3日
本のタイトルに大変興味を持った。「1ミリシーベルト」が正しいのか、果たして科学的根拠がある数値なのか、福島での原発事故を収束させるために本当に必要なのか?
小難しい専門書ではなく、ノンフィクションに近い小説という形で一般読者に伝えようという著者の意図に共感を覚えた。主人公である研究者の葛藤や、政治家、官僚、そして地元住民の思いなど、複雑な利害も絡んで、日本という国が抱える原子力行政のあり方と風評被害について、いろいろ考えさせられた。