温故知新~温新知故?

音楽ネタが多いだろうけど、ネタのキーワードは、古きを訪ねて新しきを知ると同時に新しきを訪ねて古きを知るも!!

江戸<メディア表象>論読了

2014-11-08 11:01:49 | 

先日のアーヘン出張の行き帰りと、今週の昼休みで読了しました。
奥野卓司先生は、以前の会社時代数回色々なお話を聞いたことがある。田中裕子先生(現在は総長ですね!。)も読んで色々江戸時代の話を聞いた。そんなわけで、江戸、億の先生というキーワードで興味をもった。さらにfecebookで先生のメッセージにコメントして、読んで感想を教えてほしいとの事だったので、これは読むしかないということ。
参考文献を見ると通俗書ばかりで、沖方丁の『天地明察』とか田中優子、佐伯順子『遊女の文化史』なんかが入っているから、これは相当ダメな本だなと思う。

「江戸」に対する誤ったイメージを転覆しようという意気込みは首肯できるし、実際これまで思い込んでいたことを改め、知らなかったことを知ることができ、読み物としてはとても面白い。のだが読み進めるうちにもう少し踏み込んでくれれば良いのに、という物足りなさを感じた。というよりどうも踏み込むだけの歴史知識が無いように思える。

読む前はamazonに上のようなけっこうひどい批評があるなあと思っていたけど、上で指摘しているようなことは著者が冒頭で、「ひとつひとつの事象を文献学的、歴史学的に検証するものではない」と明確にことわっているので、批判には当たらないと思う。
私の感想は、下に引用した方たちのものに近い。しかし、江戸に関してはすでに田中優子氏、石川英輔氏の本を数冊読んでいたので、我々が受けた教育で知った江戸時代のイメージと実態は違うものが多いというか、我々が受けた教育は恣意的なものだったことはすでに知っていた。逆にだからこそ、本当の江戸に事を知りたいという興味は強くなった。
でも、この本で改めて、教えられたのは、現代の江戸時代礼賛も偏った見方かもしれないということだ。本当に過去の事実を知るというのは難しいというか不可能だという感想を持った。先日読んだAmazon.co.jp: 確実性の終焉―時間と量子論、二つのパラドクスの解決: イリヤ プリゴジン, Ilya Prigogine, 安孫子 誠也, 谷口 佳津宏: 本の「歴史は振り返れない、時間はすべて瞬間の積み重ねで、タイムマシーンで戻ることなどできない」ということを実感。
この本で色々引用している文献を実際自分の目で見たみたいし、著者が訪れた場所(著者はいろいろな場所に行っていろいろ実際自分の目で現代の姿を見ておられるのは感心した)と思った。
坂本龍馬についても興味をもった。そして、坂本龍馬の本当の姿は。。。って言うことにも興味がわいた。先日、北方謙三の楊令伝を読んで、中国の歴史を、もちろんフィクションというのは十分承知しているけど、実際中国で1年間生活したことと照らしあわせて、干し肉を食べたりするシーンを「そうだ、そうだ」なんて思ったけど、気をつけないといけない。著者が恣意的にそれらしい、いわゆる歴史的事実を記述しているので、真の事実は別の形で自分なり検証しないといけないのかな、いや、歴史の事実は決して振りけれないのだった。
メディア表象が作る時代のイメージを自覚できる本です
投稿者 tkkymd 投稿日 2014/9/9
小中の教科書で歴史を学んだ普通の人が「士農工商」「鎖国」やテレビドラマを通して持つ「竜馬」で持っている歴史のイメージと実態との落差を気づかせてくれる本です。

人は後世の人のために生きるにあらず
投稿者 Amazon Customer トップ500レビュアー 投稿日 2014/8/28
現代の我々が知っていると思っている「江戸時代」は、我々がそうであってほしいと思っている江戸時代でしかなく、要は現代を肯定したり否定したりするのに好都合な部分を選んで、適当に切り貼りしているだということに自覚的になろう、という筆者の主張にはうなずける。