数日前、「女に生まれてモヤってる! 中野 信子, ジェーン スー」を読了した。内容は以下の通り。
なかなか面白かった、対談とのことで、軽いものかと思ったけど、後半は現代の課題に対してそういう視点もあるのかという発見があり、重いし、深い内容だった。
前半では、私は、かみさんの影響もあり女性に対してある程度いろいろ理解しているつもりだったけど、まだまだだなということを気付かされた。男社会というか、会社では、お茶を準備するのは女性や、美人がいると華やぐなどの発言、女性をもの扱う場面が多い。しかし、オスとメスという動物と考えると、私としては繁殖のためオスはメスに媚びるあるいは媚びられるように振る舞うというのは本能的にある程度仕方がないと思っている。それが間違っているとは思うが、動物としてはそういう感情は止められないと思っている。しかし、現在から未来に向かって、生殖が、魚や他の生物(両性具有というのかな)にあるように一つの性だけで可能になると、この価値観は変わるだろうと思う。このような内容も中野信子氏にエビデンスを含めながら語られる。例えばクマノミは生殖しない個体がいっぱいいる、オスになったりメスになったりする、ヒレナガチョウチンアンコウはオスはメスに食いつき、内臓まで捨ててメスと融合する、チョークバスは1日のうち何回も性別を交代する、Y染色体はX染色体より小さくて軽いなど。それが面白い。彼女は、我々の知らないことを教えてくれるというか、指摘してくれる。ゲノム編集は、もうすでに可能で倫理問題が解決しないから、実行はできないが、好きに編集すればいいので、子孫を残すという意味は、すでにほぼない。ゲノム編集で、望みの遺伝子を残すことも可能となると、近いとは言わないが将来、本当に生殖の意味や結婚の意味が変わってくるだろう
また、人間は10代から20代が一番自信がなく、そのせいで学習効率がいい、すなわち自信満々であることは、学ばないという指摘も面白い。
でも一番興味深かったのは、地質年代から地球を見るという話。地質時代は先カンブリア時代、古生代、中生代、新生代と来て、現在は新生代の第4紀の完新世を我々は生きているのだそうだ。しかし最近になって、「もう完新世は終わって、新しい地質年代に突入いるのでは?」という学説が検討され真面目ているそうだ。新たな地質年代は「人新世」。また、先カンブリア時代には、それまでなかった酸素を作り始めた。そしてそれまでの生物には酸素は超有毒だった。それを克服した生物が繁栄した。恐竜が絶滅したのは「過剰適合」が原因、つまり過剰に適合すぎると環境が変わることに対応できなくなるということ。そして、これから、人類の生存には向かない地球になる可能性がある。環境問題は、このように考えると、変化の流れのひとつにした過ぎない。つまり地球はすでに次のステージにいる。
以上のように、結構奥深い話のきっかけをもらった感じがする。お薦めです。
女に生まれてモヤってる! | 中野 信子, ジェーン スー |本 | 通販 | Amazon
内容紹介
女の損は見えづらい
生き方が多様化し、女性としてのライフスタイルに「正解」や「ゴール」がない今、
私たちはどのような道を選択すれば、心地よく生きられるのか。
コラムニストのジェーン・スー氏と脳科学者の中野信子氏が、
これからの女性の生き方を対談形式で語り合います。
【一章】「女らしさ」は誰のため br> -「女らしさ」とは自己決定権を手放すこと
-メイクや服は女ウケを狙ったほうがコスパがいい 他
【二章】敵と味方とルールを再検証する
-「女同士はわかり合える」という一枚岩幻想
-新自由主義の流れでカオス社会が爆誕 他
【三章】恋愛と結婚、私たちの戦略
-自分よりも能力が高い人を好きになるという通過儀礼
-パートナーはまっとうに生きるための漬物石 他
【四章】なぜ女は自信を持ちづらいのか br> -男は女よりも自信を持ちやすい
-依存相手は都合のいいスクリーン 他
【五章】いつか結婚も出産もレジャーになる
-妊娠・出産をアウトソーシングする未来
-私たちが本当に後世に残したほうがいいもの 他
【六章】ジャストフィットな生き方は自分で決める
-男社会で設定されたゴールがすべてじゃない
-今の選択が正しかったと思えるように 他
生まれてモヤってる!」 - 鈴麻呂日記
(マクロで考えて、「有性生殖とかいらなくなるかも」とか「新たな地質年代が始まってるかも」って想像するのは面白いけど。
でも僕がそんな時代を目にすることはないからw)