硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

おもひでぽろぽろ

2015-08-21 21:16:04 | 日記
おもひでぽろぽろを観ています。 この作品は映画館で観たのですが、その日、偶然にも僕が愚図だったばかりに別れた彼女と入れ違いで出会いました。彼女は新しい彼と一緒にいたのですが、すごくうれしそうに「やぁ。」と言って挨拶をしてくれました。すると、隣の彼氏の顔が少し曇りましたが、僕もつられて「やぁ」とあいさつしました。そんな思い出のあるいわくつきの作品でもあるのです。

だから、僕にとって画面に映し出される風景は、当時の「おもひで」でもあるのです。プッシュフォン式の有線電話。ブラウン管のテレビ、大きなラジカセ、ブルートレイン、0系の新幹線、伊藤博文の千円札。もうどれも見る事がなくなりました。そういえば、おもひでぽろぽろを観た映画館もなくなってしまいました。世は移り変わってゆくものですね。

でも、変わらない事も発見しました。まず、美術です。今見てもこの作品の背景がとても好きです。そして近藤善文さんのキャラクターデザインが好きです。

そして、この作品の世界観も好きです。でも、あの頃の印象とはずいぶん違い、なんだか小津作品の影響を受けているのではと感じました。

もしそうだとしたら、小津作品のように普遍的な物語が描かれているので、平成生まれの人たちが27歳になる現在において、分かりづらい背景かもしれませんが、時間をかければじわりじわりと感じられるようになる作品ではないかと思うのです。


主人公の彼女はもう50歳半ばくらいだろうか。彼女は今でも田舎暮らしを好きでいてくれているだろうか。実家に帰郷した際「やっぱり東京はいいねぇ」と言ったりしていないだろうか。大きくなった子供たちは「東京に行く」といって故郷を離れてしまってはいないだろうか。

田舎での生活は戸惑いもたくさんあったと思うけれど、今も自然豊かな山形で幸せに暮らしていてほしいなと思う。