命がけで剣を振るう。知の限り、力の限りを尽くして、切り込んでゆくが、かわされ、防御され、一太刀も相手に触れる事すらできないでいた。
逆に、相手の剣は、ギリギリでかわす澪の狩衣の端々にその軌跡を残していた。
しかし、相手も手加減なしで打ち込んでくるのは感じてきていて、無心で打ち込んでいるうちに、力の差が均衡していっているのが、手ごたえとして伝わってきていた。そして、ある瞬間、澪が得意としていた胴を打ち込むと、その者の衣服の端に剣先が触れ、僅かに切り割けた。
その者は、切り口をじっと見て、再び笑みを浮かべた。
「ほう。やるじゃないか。では、こちらも、行くぞ。 」
その者の動きは一段と早くなったが、澪もその者から繰り出される剣を剣で受け止められるようになってきていた。それは、鬼神の面の助力もあったが、平凡で単調で刺激もなく、皆が、どこがおもしろいのだと思う習練を真面目に取り組んできた結果でもあり、心技体が結実する瞬間を迎えていたからでもあった。
命がけの戦いであるのに、頭は冷静になってゆき、お気に入りのDEATHが頭の奥で流れ始めると、それまで、追うだけで精一杯だったその者の剣の動きが、明確に見え始め、鋭く斬り込んできたその者の剣を剣で抑え込むと、その者も少し驚きの表情を表し、そのすきに右足でその者を腹部に蹴り込んで押し返すと、その隙に間合いを取り、中段に構え、呼吸を整え、目を閉じた。
「なるほど。いつでもこい、という事か。いいだろう。」
次の瞬間、その者は、上段から斬りかかってきたが、それは何度も頭の中で繰り返されたあのイメージだった。
逆に、相手の剣は、ギリギリでかわす澪の狩衣の端々にその軌跡を残していた。
しかし、相手も手加減なしで打ち込んでくるのは感じてきていて、無心で打ち込んでいるうちに、力の差が均衡していっているのが、手ごたえとして伝わってきていた。そして、ある瞬間、澪が得意としていた胴を打ち込むと、その者の衣服の端に剣先が触れ、僅かに切り割けた。
その者は、切り口をじっと見て、再び笑みを浮かべた。
「ほう。やるじゃないか。では、こちらも、行くぞ。 」
その者の動きは一段と早くなったが、澪もその者から繰り出される剣を剣で受け止められるようになってきていた。それは、鬼神の面の助力もあったが、平凡で単調で刺激もなく、皆が、どこがおもしろいのだと思う習練を真面目に取り組んできた結果でもあり、心技体が結実する瞬間を迎えていたからでもあった。
命がけの戦いであるのに、頭は冷静になってゆき、お気に入りのDEATHが頭の奥で流れ始めると、それまで、追うだけで精一杯だったその者の剣の動きが、明確に見え始め、鋭く斬り込んできたその者の剣を剣で抑え込むと、その者も少し驚きの表情を表し、そのすきに右足でその者を腹部に蹴り込んで押し返すと、その隙に間合いを取り、中段に構え、呼吸を整え、目を閉じた。
「なるほど。いつでもこい、という事か。いいだろう。」
次の瞬間、その者は、上段から斬りかかってきたが、それは何度も頭の中で繰り返されたあのイメージだった。