硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

「スロー・バラード」

2020-10-05 21:15:43 | 日記
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「あの後さ、マサカズのとうちゃん、めっちゃ怒って、マサカズ、とうちゃんにボコボコにされたんて、しっとる? 」

「マジで! 高校違ったから、あの後、誰が、どうなったかを全く知らなかった。ところで、マサカズって今何してる ? 」

「トラックの運転手しとるで」

「へぇー。意外といえば意外」

「あ~、分かるわぁ。マサカズって、少女漫画に出てくる男みたいやったでなぁ。けどなぁ、高校の時、女子にめっちゃモテモテやったんやって」

「・・・だろうなぁ。それは何となくわかる」

「あいつ、高1の時、バレンタインデーのチョコ幾つもろたと思う? 」

「めんどくさいな。まぁ、10個くらいだろ? 」

「甘いな。チョコなだけにな」

「おやじか」

「実はな、50個らしいで」

「マジで!! 」

「すごいやろ。マサカズは通学で電車に乗っとったやろ。そんなら、電車にはいろんな高校の女子もおるやろ。おまけに女子高の子もおるやろ。そんで、マサカズのかっこよさが噂になって、2月14日はすごかったらしいわ。それでな、あまりにモテるんで、電車に乗ってたヤンキーたちが、気に入らんかって、焼き入れたろかって言う話になったんやけど、霞のレディースの総番長も、やっぱり、マサカズの事が好きやったらしくて、焼き入れるのやめたんやって」

「すげえな! まさに伝説! 」

「すごいやろ! けど、あいつ、そんだけモテてても、硬派やったんな」

「マサカズ、もったいないことするなぁ」

「ほんまやで。彼女一人くらい紹介してくれてもええのになぁ。ケチな奴やで」